デーテーペーな1日 デーテーペーな1日


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2月28日(Sun)


「深夜の断片」

 「あなた」が寝たあと、わたしはモニターの前でひとつの就眠儀式を始める。

 それは孤独な世界の、孤独なひとり言。そう・・・孤独であることは意外なほど心地よい。「あなた」が眠っていることを知っていれば。
 誰に宛てた訳でも、独り言でもない、それは・・・未明の時間の中で揮発していく夜の闇にまぎれて消えていく泡沫のごときもののようです。
 確実なモノは、電子的に細分化されたコトバだけ。銀色のコードに流れるものは、実体のないパルスのくりかえし。何だか不思議な気がする。

 少し、昔話をしよう。

 かつて、一人の少女がいた。僕にとって、すべてと思える瞬間があった。毎日手紙を書いた。ただし、最後に自分の名前を入れるのが恐くて出したことはなかった。

 実際に出す事のなかった手紙は、毎日僕のかばんの中でその数を増やしていた。いま手元にあれば、読み返したい。記憶の中のコトバの切実さをもう一度僕自身の裡に取戻してみたいと、ひたすらそう思うからなのだが・・・その事の不可能さを知るのもまた、こうした深夜故なのでしょうか。

 断片はあくまでも断片にしか過ぎないのだが、その鋭利な切っ先は断片だけが持つものだからこそ、わたしの記憶をさいなみ続けるのかも知れない。断片は少しずつ集められ、全てを覆いつくすほどに巨大な鏡となって、何れはわたし自身の裡なる深夜を映し出すのだろう。

 遠くにある記憶を手繰り寄せる作業には深夜という時間は絶好なのでしょう。ただし、あまりに切実でいささか厄介な記憶まで甦るので取扱には注意が必要なようです。


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