デーテーペーな1日 デーテーペーな1日


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7月9日(Thu)


 今日のキーワードは何故か「泣き虫」のようです。そう、メールの中の一節に触発されて、そんな「泣き虫」な頃の記憶が鮮明に蘇ってきました。

 「泣き虫」な子供と云う事で、何かあるとすぐに涙が湧いてきて自分ではどうすることも出来なかったのだが、そんな小さい頃、一番よく泣いたのは食事の時だったかも知れません。当時、僕の母親は日々の暮しに追われていたせいか、なにかと苛立つ事が多くて、父親が食卓につく夕食の時などが、そんな日々のうっぷんを晴す格好の場となっていたようでした。
 何を言っても反応らしい反応の返ってこない父親は食事が終れば黙って食卓を立つと、妻の言葉には一切答えないままごろりと横になると、手近な本などを読みふけって居るばかりだった。そうなると、彼女の苛立ちの矛先はそんな頼りない父親に代って、小さくなって一緒に食事をしている僕に向ってくる。
 きっかけはいつもささいな事だった。やれ茶碗の持ち方がおかしい、箸の使い方が間違っていると5才の子供に言いつのるのだが、そう言われれば言われるほど僕は表情もこわばって、一層手つきが怪しくなる。うっかり食卓に食べ物でもこぼしたら、怒声と共に母親が持直した箸でしたたかに手の甲を打たれて、その拍子に今度は味噌汁が膝の上に・・・もうその頃には僕は泣くのを止めることが出来なくなっている。
 泣けば一層母親の怒りがエスカレートすることを知っているだけに、必死で涙をこらえようとするのだがそうすればするほど涙が湧いてきて自分ではどうにもならなくなる。ただ声だけは出すまいとうつむいたままで、膝の上にポタポタと落ちる自分の涙の粒をじっと眺めて母親の怒りがやむのをじっと待っていた。

 「また泣いてるよこの子は・・・男の子の癖に・・・」

 嘲るようでそのくせ何故か満足げな、そんな母親の一言があれば、今夜のところは彼女の怒りは終りなのだが、明日もまたきっと同じ事がくり返される事を知っている僕は、どうしても嗚咽を止めることが出来ないまま、じっと自分の膝の上に広がった味噌汁のしみをを眺めて、ひたすら絶望していた。

 もう何十年も前の記憶の筈なのに、今でもあの頃の食事の時間のことを思い出すと息が詰るような気がするときがあります。決して毎日そうではなかったとは思うのですが、僕の中の幼い頃の食事の記憶はいつもそんな風。


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