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6月13日(Sat) 過去の記憶が「イツマデモ・ナンドデモ・アリアリト」蘇って、居ても立っても居られないような気持に囚われることがあります。 紙の上に記されたコトバも、銀塩の粒子に固定され色あせた写真ひとつある訳でもないのに・・・いや、僕の裡にしか存在しえないが故に、その記憶は決して消えることがないのかも知れません。 全体の印象は、もはや霞がかかったようにボンヤリとしているのに、ほんのささいな事どもがまるで昨日のことのように思い出されて身を焦すような焦燥に包まれてしまうのが常なのです。すべては取返しのつかない記憶の向こう側にあって、こちら側に立ってただ呆然と立ちすくんだまま、何ひとつ手出しの出来ないことに心底打ちのめされてしまうかのようです。 そんな時はひたすら鬱々とした一日を過すことになるのだが、あえてその記憶をさらに鮮明に思い出そうとする時もあります。 例えば・・・雑踏のなかで偶然に出会ったときの思いがけないほどの人なつこい少女の笑顔とか、手慣れた愛撫に何時ものように反応する女の、枕に押しつけるようにして隠そうとした涙の正体にふと気づいたときの後ろめたさなどが、例えようもないほどありありと思い出されたりするのです。 アレは現実にあったことなのか・・・それとも夢ともうつつともつかぬ黄昏の記憶と同様に、すべては僕自身の願望やみにくい欲望が垣間みさせた、ただの「夢の記憶」なのかも知れません。不確かな現実とリアルな夢の、果してどちらがどちらとも言えぬその曖昧さの裡に閉じこめられたまま、実は僕自身の記憶などどこにもある筈もなく、それは単なる感傷にしか過ぎないことに気付かされて、ようやく「いま在る自分自身」の存在を辛うじて許すことが出来るようです。 すべての記憶は、脳細胞の記憶野に確かに刻み込まれている筈なのだが、それを認めるほどには人間は強くは出来ていないようです。過去の記憶のすべてがいつでも蘇ったとしたら、人はその場所から一歩も動けなくなってしまうような気がします。
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