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例のオーロラ輝子のモデルということで名前が知られるようになった「通天閣のアイドル・叶麗子」のファンといえば、ベタベタの大阪のおっちゃんということでも有名なんですが・・・それぞれがそれぞれの屈折を抱えながら、いかにも怪しげな風体の演歌歌手に残りの人生の情熱すべてを賭けているようなそのひたむきな姿が、なにかとても切なかったりします。 とるに足らないプレゼントや追っかけの費用を捻出するためにつましい日常を耐えているように見えて、実はそうした「3000円の花束」やら「深夜バスによる上京」という動機付けがあって初めて、自分自身が生きていることの意味を確かめることが出来るようです。わずかな年金暮しのなかでどれほどの贅沢や生きる充実感が味わえると言うのか・・・辛うじて生かされている己に我慢がならないからこそ、身近で見つけた生身の「演歌歌手」に精一杯肩入れすることで、粗末な食事や侘しいアパートでのひとり暮しにも辛うじて耐えていくことが出来るのでしょう。 仕事とねぐらを失い雨の中を放浪する男の後ろ姿の、その迷子のようなつぶやきに、ひたすら言葉を持たぬままに朽果てていくことの焦燥と諦念が滲んでいた。少しづつ少しづつ、お前はこの世界から必要とされてはいないのだと告げられるために男は町をさまよっているようにも見える。重い脚を引きずりながら、それでも歩く事をやめない男の後ろ姿が雑踏の中に消えていくのをいたたまれない思いで眺めていた僕はといえば・・・ただテレビのスイッチを切って、何事もなかったかのように「この町」にも降る雨をぼんやりと眺めているだけでした。 そう、僕自身の裡にも、あの男と同じような空虚さへの恐れが潜んでいることにはあえて気付かぬフリをするばかりのようです。 「孤独」に恐怖しながら、しかしその「孤独」にひそかに憧れるというのも生来の寂しがり屋の本質のようです。
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