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あり合せを弁当箱に詰め、おにぎりの具はこの際だから子供達が大好きな小梅にして、飲物は手近なコンビニで調達すればそれでイイやと・・・ほんの30分程で準備を終えて昼食がわりにお花見でもひとつと昼過ぎから車で出かけてはみても、何処といってあてもなければ何をするという目的もなく、なんとなく小高い方に向って車を走らせると、春めいた風がいまだ冬枯た梢をかすかに揺するのはまぁ、要するにこれが季節というモノの正体かなぁと、「ふむ」などと愚にもつかぬ一人合点でホコリっぽい空を見上げ、おもむろに車から降りてみて、日差しはすっかり春だというのに少しばかり身震いするというのも、いかにも「お花見」という気分に浸るには上々の陽気だったりするようで、人気のない山際の公園で子供達はひとしきり走ってはおにぎりをほおばって紙パックの牛乳を一息で飲干すのを見て、おにぎりにはやはりお茶だろうがと奥さんに訊いてみると、だってお茶はみんなキライだからと至極もっともな返事も、花びらの散らぬ桜にものたりなさを覚える僕には実はどうでも良くて、だったら言葉などかけなければ良さそうな気がするのだが、何時も何時もそうするのはいかにも気詰りな事のように思えて、どうかすると無理矢理に何かを演じてる予感がしてなんだかみんなに申訳ないよなぁ・・・と振り返ると、子供達はいつの間にか雑木林の向うで小さくなって駆けていて、木漏れ日と春の日差しに幻惑されてその姿がチカチカと僕の眼球の奧で明滅を始めて、ふいに風景の中から消え失せてしまって慌てて立上がってみるのだが、声をかけるには遠すぎてただ呆然とあたりを見渡してみると、このままいずれかに子供たちは永遠に消え失せてしまったのではないかと愚かしい想念に捕えられて訳もなくむなさわぎがして、まるで望遠鏡を逆さまに眺めたように世界が僕の裡から一瞬に遠のいていくあの感覚に捕えられるのに気付いても、やはりそれは錯覚だったりするのだが、なぜか振り返ると子供達の姿は本当に消え失せてしまうような気がして、僕は何気ない顔をしておにぎりをもうひとつ手に取ってみても、いつになく落ちつかぬ気分でダメだダメだと心の内で呟きながらつい振り返ってしまうと、そこには何事もなく小さな池のはたで遊ぶ子供達の姿があって、今度はその事がなんとなく腑に落ちない気がするのにも我ながらウンザリするばかりなのは、やはり僕の頭の上で一心に咲きほこる、この桜の花が見せてくれた白昼夢だったりするのかもしれません・・・などと、
花見にはまだ少し肌寒い陽気だったかもしれません。しかし、花見の頃は何時も肌寒かったような気もするのですが・・・確かなことは何も判りません。
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