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この季節の街の喧噪ぶりに耐えられなくなると、私は私にしか意味のない一人芝居を始める。 駅前の雑踏の渦に逆らうことをせず、人だかりのする店先にうず高く積まれたケーキを手にレジへむかう。 駅から続く道を同じような包みさげた男達が歩いている。幸せな家族の待つ我家へ向う父親・・・私の一人芝居はまだ続いている。 灰色の高層マンションの前に立ってふと見上げる。ほとんどの部屋の窓には明りが灯っている。私の部屋は何時ものように真っ暗なままだった。エレベータを降りて薄暗い廊下の奥にあるドアを開けた時点で、私の一人芝居は観客を失う・・・さて、この緑と赤の原色に彩られた包みをどうしたものか。 家具ひとつない部屋の中央に立った私の姿が窓ガラスに写っている。その灰色の顔色をした男が乾いた目で私を見返していた・・・観客のいない一人芝居の幕引きをいつまでも先延しにする事もないだろう。 人が浮れるている季節というと何かと不機嫌になるというのは・・・まぁ、不幸な性格なんでしょう。
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