デーテーペーな1日

日記関係の発言はこちらで。
11月27日(Thu)
 ある特定のジャンルに偏るのですが、戦後派の作家や評論家が死んだりすると日記のネタになるのはどうやら最近恒例のようです。

 文芸評論家・奥野健男。享年71才・・・死亡記事の扱いをみても文壇での位置はそれなりにあったのでしょうが、新聞での文芸時評以外になにか新しいものは書いていたんでしょうか? それよりも最近の人達には「奥野健男」といっても、やっぱり「誰?」というのが正直な感想なのかも知れません。まぁ、僕の場合はある時期、彼の語る作家論をほとんど丸写しで得意げに話していた事がありました。センチメンタルな彼の文章が僕にはとても心地よかったようです。
 71才と言えば、生きていれば僕の父と同世代の筈で、意外と若かった事を改めて認識しました。彼が愛してやまなかった無頼派の作家達とは親子ほど年が離れていたようで、個人的な親交が一切無かったからこそ、ああした全面肯定に満ちた坂口安吾論や太宰治論が書けたのかもしれません。
 評論家などといった種類の人物は、本筋での己の才能に見切をつけた人間がいつまでも未練がましく周辺で騒いでいるだけという認識を改めさせたのが奥野健男でした。彼が良いという作家を手当たり次第読んでいた時期もありました。
 ブンガク自体が衰退の一途をたどっている近ごろでは、文芸評論家などという職業自体が時代遅れな存在のようで、まぁそんなちょっと気恥ずかしい肩書を堂々と名乗ることのできた最後の人物だったような気がします。
 晩年はほとんど目立たない気がするのは、彼が本当の意味でのオマージュをこめて語るべき作家が三島由紀夫以後には現れなかったからのようです。語るべき作家が存在しなければ、文芸評論などは所詮は要約紹介にしか過ぎないと言うのは・・・やはり、奥野健男にはあまりにも失礼な物言いかも知れません。

 彼の略歴みてみると東京工業大学出身ということで、理系の人だったんですね。いわゆる文壇というものから少し外れたところにいたような気がしたのはそのあたりに原因があるのかもしれません。


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