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訃報と云うものは、概して突然に届くものと相場は決っています。 嘗ての仕事仲間というと、大体が同世代か精々何年か年上ぐらいで、まだまだ長患いでやせ細って死んでいく人間は少なくて、大抵が「突然死」やら「事故死」だったりするのが、そうした唐突な印象の原因のようです。動脈瘤破裂で救急車で運ばれた時点で、すでに手の施しようがなかったとか・・・そして、徹夜明けで自宅に戻る途中のバス停に倒れているところを見つけられたと聞くと、社長なんゾと名乗ってはいても、部下に仕事を押しつけるのがへたくそで、仕事が混合うと結局自分一人で明け方まで仕事をしていた、人の良さそうな彼の横顔がすぐに浮んできました。 美食家で血管系の持病が有った彼には不規則な生活とストレスまみれの仕事で何度か入院したことが有ったはずで、たぶんその事が若すぎる彼のその死の原因なんでしょう。残された家族の嘆きは大きそうですが、まぁ・・・父親や夫として同じ立場に立っている僕自身に置換えて考えてみると、それなりに良い死に方のような気がするのは、例によって自分勝手な感想なのかもしれません。 ボケ老人になり果てて、炊飯器から手掴みでご飯食べたり、洋服ダンスにウンコしたりして家族からとことん疎まれながら、なおかつ症状が進んで寝たきりになっても、頭以外の臓器はいたって健康で90歳迄生きてたりしたら、いい加減うんざりでしょう。本人はボケていて何も判らないと言うのは、やっぱり希望的観測で、日々消え失せていく脳細胞と残された意識の中で、人間は深く傷ついているような気がします。 もうひとつは、長い闘病期間となりがちな「癌死」の場合、少しずつ死んでいく事を本人と家族で確かめ合うような処があって、死んでいく人間にとっては、そんなに納得されたらどうもやりきれないような気がするのです。どんなに慫慂と死についたと聞かされても、やはり死につつある人間にとって自らの死は理不尽きわまりない筈です。死んでいく瞬間には、やはり「存在せぬモノの存在」について声を上げて罵ってみたいけど、もはや死ぬことにすら精根尽き果てているから、そうしないだけなのでしょう。 そう、冷たい路上に頬を付けながら、あぁ、俺はこのまま死んでいくのかとふいに実感し、暗い視野の向こうで乗合バスが少しづつ近づいてくるのをぼんやり眺め、不意に意識が途切れる・・・そうですね、やっぱり僕自身の理想にとても近い死に方かもしれません。
死んでいく人間とって、遺された家族の事なんて・・・そんなモノは知ったこっちゃありません。死んでからまで家族に縛られてるなんてつくづくビンボーくさい。死んでいくのは僕自身なんですから。
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