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他局では愚にもつかない「国民アニメ」等を懲りもせず放映している日曜日の夕刻・・・いわゆる家族団らんの時間帯に「痴呆老人」や「エイズ」等の暗い中身の報道番組が続いていることは、それなりに人気を集めているからでしょう。日本のテレビ局が資本の論理以外で日曜のゴールデンタイムの番組を決定する筈もなく、アニメにもスポーツにも興味のない世代がこうした番組を支えているからこその結果なのでしょう。 明日はわが身などと言いながら、所詮は他人の不幸は蜜の味で、自分たちだけはこんな厄介ごとには巻込まれるはずがないと、僕たちは大した理由もなくそう信じているのかも知れません。だからこそ、人間としてのIdentityを喪失する「痴呆」に一層恐怖が募るのかも知りません。 しかし、人間というモノはそれほどに貧相な心しか持ち得ない存在なのか?記憶力の低下や見当識の混乱によって、それほど簡単に人間としての感情が失われてしまうモノなのでしょうか。 初期症状の痴呆症の老人に顕著な「徘徊」を過去の習慣への郷愁や代償行為として簡単に判った気になるのはなにやら不遜なような気がします。まったく外界への認識を失って寝たきりになった老人達の萎縮した脳細胞が、もはや何の夢も見ないと断定するのは、つまらない科学思想に毒された人間の思い上がりでは?人間の頭蓋骨の奥で営まれている思考を直接見た人間は誰もいない以上、アルツハイマーと診断された老人達の萎縮した脳細胞が、はたしてどんな夢を見るのか?誰にも断言することはできないはずです。 街を徘徊する老人達の映像にことさら悲しげなBGMを流すのは、まぁ・・・相変らずの「テレビ流」としか言いようがないのですが、そうした痴呆老人の心の裡に流れるのは、テレビ局が押しつけようとする心象風景とは違う気がして仕方がないのです。出口のない回廊を深夜まで彷徨する人間をつき動かす動機は、「愛」などではなく、やはり、たぎるような「怒り」なのでしょう。
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