歳時記(diary):七月の項

一日

外勤。
長期にかかっている人が他医への転医希望ということで、外来終わってから紹介状作りに時間がかかる。経過長いからなぁ、カルテをざっと通読してみるとそれほど大きなイベントはなかったので、その経過をかいつまむのって実は難しいところがあり。

二日

総回診。
朝方研修医から電話連絡。実家から家族の体調不良が発生したので急に呼び出されたと。今日は休んでいいと伝えて電話を切った。
回診の前に「本日はお休みです」と伝えたら、一部で「本人が体調崩したのか」と誤解が。研修医のメンタルヘルスも重要、なんていわれるご時世だけに。
もっとも本人はあとから「ボスは回診休んで怒ってませんでしたか」とか心配していたらしい。そんな思考回路の人間はストレスためそうだよなとか思ったり、した。

三日

比較的穏やかに日はすぎて。夕方に他の病院から腎臓内科担当先生へ、とお電話。転入院の依頼を了承。忙しくなりそうかな。

四日

午前中病院へ自主出勤。転入院を受け入れて、検査して説明して。
夜は外病院の当直。

五日

当直明けて、ちょっと病院へよって帰宅。

下の子供のお気に入りが懸垂。歩道の手すりや階段の手すりを見つけては嬉しそうにぶら下がっている。今日は夕食をレストランで食べていたら、背もたれをよじ上って向こう側をのぞこうとする。‥‥このまま体操選手にでもしたものだろうか。

六日

転入院の人がじわじわと増悪中。
ボスから「血漿交換するか」と指令が飛んできたけれど、やったらよくなるって風には書いてないんだよね。もっとも、ほっといて悪くなるくらいなら何か少しでも良さそうなことをしたいって思いはあるのだけれど。
とりあえず、明日決めよう。

七日

昨日の人はデータ上改善傾向でほっと一息。

夕方、トイレからEmergency Call。どやどやと大量のスタッフが駆けつける。多すぎるくらいでいいから人を呼び集めるためのEmergency Callとはいえ、もうちょっと程よく呼び集められるといいなあ、とよけいなことを思ったりする。

八日

「モノレール猫」読みかける。加納さんらしい、というべきか、優しい物語。ほっとする感じがした。

九日

総回診して、夜は学習会。会場まで決して近くはないのだが、ふと思い立って歩き出す。三十分くらいかかっただろうか。その後飲み会ということでタクシー使うかと思っていたのだけれど、一人でタクシー乗るのも無駄な気がして歩き始めてしまった次第。

十日

夜、東京腎生検カンファレンスということに夕方気づいてあわてて仕事を片付けて参加。
比較的論点もわかりやすい症例でわかったような感じが、した。

行きがけに「レインツリーの国」(有川浩/新潮文庫)を読みかける。冒頭のライトノベルのあらすじ読んで「あ、これって妖精作戦」と思って嬉しくなる。こんどまた読み直そうかな。切ないラストまで。

十一日

休日オンコール。
やはり休日出勤していたボスから「解析することにしてた統計データが来たからわたすよ」とCD-Rが。開いてみると‥ファイル形式がテキスト(ちなみに180MB)。中みてみると、Excelなんかで読み込むことを欠片も考えていなそうなベタうちテキスト。「○桁〜○桁は○○のデータ」なんて説明書きはついてきたけれど。
一瞬perlか何かで文字列を分割するプログラムを書く方がいいのかと思ってしまったが、プログラミングなんぞやったことがない一般人はそんなことをしてはいけないと思い直して、地道にExcelで仕切り線を入れていく。仕切り線入れるのに結構な時間を費やし、それが終わった後ファイルが開くのにまた時間がかかり。やぁ、すごいですねぇ(棒)
んで、よぉくみてみると300桁のデータのはずが、Excelの画面からみると600桁とか900桁とかある。改行コードをExcelが検知できないために生じているとにらんでいるのだが、CR+LFに改行コードを変えるのに苦労。JeditXでやろうとしたらデータ大きすぎるせいか保存のところでクラッシュするし。Webで検索かけて結局X窓から "perl -pe 's/¥n/¥r¥n/g' a.txt > b.txt" として終了。

十二日

「キャベツの中から」(タイトルこれであってるのか?)という手遊び歌がある。「キャベツの中から青虫出たよ〜」と子どもがうたっているので(ちなみにこの先の歌詞が今ひとつはっきりしない)Web検索してみると、お父さんにお母さんの青虫が出てくるようで。
‥‥お父さん青虫とお母さん青虫が子ども青虫を生むとかそういう世界なのか?と思ったり。いや童謡だからいいじゃんって思いもあるのですが。

十三日

かなり透析室が混雑した状態が続いていたのだけれど、今日退院予定の方が相次いで、だいぶ落ち着く予定になる。
なんでかはよくわからないが、夏休み?

十四日

必要があって日本の人口データを取り寄せている。e-STATからとれる年齢階級別人口データは、2005年までは90歳以上がまとめられているのだけれど、2006年データからは90-95歳・95-100歳・100歳以上の区切りに変わっている。
地味に、高齢化社会の影響を見る思いがしたり。

十五日

外勤。合間で「世界の中心、針山さん」を読了。「バッカーノ」といい、成田良悟、面白いかも。

十六日

総回診して、夜はのんびり勉強会‥のはずが、小児科患者さんに透析をするしないで悩むはめに。結局午後七時過ぎから透析開始、終わったら午後十時を回る。‥‥なんだかなあ。

十七日

少しずつ書いていた論文が一応まとまり。あとはこれをボスに見せてオッケーが出たら英語に訳してもう一回ボスに見せて。‥‥道のりが遠いような気がするのは多分きっとおそらく気のせいだ。

夜、「東京マグニチュード8.0」を視聴。それなりに研究したというだけあって地震の際の建物の壊れ方とか液状化現象とかはよく描けていたように思う。無茶する主人公が何とか助かるのは必要なご都合主義というべきか。
続きにも期待。

十八日

子どものお守をする週末第一日目。
朝方駅まで車で相方を送り、そのままパン屋でパンを買って公園で子どもらと食べて朝ご飯。帰ってからおもむろに「崖の上のポニョ」DVDを見せていると昼になったのでうどんを作って喰わせる。
「ポニョ」劇場で見て以来、かな? とりあえず安心して子どもに見せてられる。ファンタジーなのであまりつっこむ必要もないし。「となりのトトロ」もDVD買ってこようかな。
特典映像まで見ていたら気になったのは「久石譲 in 武道館 〜宮崎アニメと共に歩んだ25年間〜」とかってライブDVD。ジブリアニメの楽曲を集めたコンサートのライブらしい。ウチの子どもら、音楽好きだから買っとくかなあ。

そんな思いもあって午後は近隣のショッピングモールへお出かけ。行きがけの車内で長男が寝てしまったので、ベビーカーに積んで長女を歩かせてうろつく。好き勝手な方向へ行くところをなだめつつ、「アントキノイノチ」(さだまさし)、「世界の中心、針山さん(2)」「デュラララ!!」(成田良悟)を確保。
晩飯作って喰わせて寝かすつもりでそのまま自分も沈没....

十九日

朝七時前から叩き起こされたけれど、昨日が早かったのでまだ何とかなった。
長男に何か見たいものを聞くと「電車」「ロボット」が最近の流行りらしい。ロケットはどうかと聞くとロケットも見るというので(やや強引)、筑波宇宙センターへ。行ってみると結構見学の人多い。ツアーも毎週組まれているみたいだったし。自由見学者の手続きして、展示室見て来た。
建物正面のHIIを見た長男、「ロボットみたいだね〜」‥‥巨大なら何でもロボットになってないかお前と小一時間(ry 展示室では「現代萌衛星図鑑」で予習していけばすぐそれとわかる(違)「かぐや」の模型やらN-I〜H-IIまでの打ち上げロケットの変遷、「きぼう」についての展示などが狭い展示室に凝縮して並べられていた。
昼は外食してうどん、夜はチャーハン手作り。洗濯して干し物もしたし、まあ及第点、のはず。

二十日

休日出勤して、まあまあ落ち着いているのを確認してほっと一息。
夜「デュラララ!!」を読了。最近ややダークな話を買ってくることが多いらしい。あんまり意識はしてないんだけどなぁ。「デュラララ!!」も、裏社会な人やスレスレな人も出てくるけど、救いがない話ではないし。

二十一日

しきしまふげんさんのページからリンクをうろうろして遊星商會やらシャッツ・キステやら、見つける。
うーむ、どうやっていこうかなぁ。

二十二日

夜、担当してた患者さんの剖検検討会。前日にぢつは資料が作られていないことが判明して自分でさっとやっつけ仕事。
でも外勤が終わらないと行けないということで、全速力で外来を片付ける。こんなタイミングで予約外飛び込み受診に来る人までいたけど(滅)、それまで含めて枠いっぱいの外来を終わらせて普段より早めに戻った。
検討会自体はつつがなく終了。終わった後で病理所属の同期に「プレゼン簡潔でよかった」みたいなほめられ方をされたのはちょっと嬉しかった、かな。なにせ半年の経過がある人でしたから。

二十三日

夜は勉強会、の予定が、患者さん家族への説明をしようと待機していたら時間がすぎ。ほとんどお話聞けないで終わってしまった。ぐすん。

二十四日

本日より一人夏休みということで、普段よりやや忙しく。
金曜日は来週の入院を決める日なのだが。同じ病棟で仕事をしている某科はただいま相当な在院数過剰。それでも入院依頼は引きも切らず。「あの、入院依頼が十件ありまして‥」「ベッドは五床しか空いてません」みたいなやりとりが。
なにせ大病院で、近隣の病院が対応できないがんの患者さんが大量に押し寄せているのが背景にあるようで。車で数時間かかるようなところから通院したり入院したりしている状況が基礎にある。
病院の集約化ってのも限界があるような気がしている。たとえばもともと内科三十床・医者二人という病院が三つあったとして、しばしば集約化で内科七十五床・医者六人くらいの構想になっていたりする。んでもって、患者さんにしてみると通院先はえらく遠くなるし。実際に稼働するときは医者が減ってて四人くらいになっていたりとか。ベッド数は減る、医者は減る、になってはいいことなしって感じになるわけで。

二十五日

オンコール。
呼ばれたら対応、みたいな本来の意味とは裏腹に、普通に出勤してICUでCHDFまわして、終わりかけたところで血液内科の患者さんのことで相談を受けて。普通に忙しく仕事。まあ、法律用語の当直(宿直)と医者用語の当直との差、とでもいいましょうか。

二十六日

家でのんびり。「ARIEL 06」を読了。
書き下ろしの短編はARIELキャラ中わたしの一推し岸田絢メインなのですが‥‥今ひとつ不幸度が足りないというか(ぉぃ。やっぱり絢というとおじーちゃんや妹や叔母やらの行動に巻き込まれて気がつくと貧乏くじを引いてそこで「どうせ私は不幸な星の下に生まれたのよ!」とぶち切れるのが様式美というもので(ry

二十七日

ちょっと関心を引かれて、トムラウシ山遭難のニュースを追いかけている。ウチの親も中高年登山者だけに人ごとではない。
「常に最悪の事態を考える」生き残るためにはやはりこの言葉を胸においておく必要があるのだろうか。

二十八日

午後は腎生検。すっかり毎週穿刺していたりするのだが。
今日の人は甘く見ていたら思いのほか腎臓が深く意外に刺しにくい。姿勢をもう少し気を使えば良かったかなあ。

二十九日

外勤。
先週は外来枠いっぱいの患者を二時間半で捌いたが、今日は枠の半分ほどの患者を三時間かけて捌く。‥‥検査して診察、と思ってたら検査結果が出ないのだもの。しくしく。

三十日

総回診して、夜はローテート終了予定の研修医の送別会。焼肉を食いまくる。
久しぶりに酒を飲んで帰って来た。

三十一日

夜、仕事の一環でSASのプログラムを組む。
詳細なマニュアル本がないということでろくなhelpもないまま試行錯誤するしかない。初心者というものの存在を無視しているかのようなアプリケーションなのだがそれでも使わざるを得ないあたりにムズカシイ問題が。
年齢を求める式を書くのに試行錯誤していたところで、詳しい人に聞いたら生年月日をSAS日付データとして読み込んで、(現在の日付-生年月日)/365.25でよいとのこと。0.25はうるう年の分か。
あとはINT関数で小数点以下を切り捨てて満年齢というわけで。

リファレンス:
"v_mt"with SAS
SAS programming guide subfile
Technical Support (SAS JAPAN)


Written by Genesis
感想等は、掲示板かsoh@tama.or.jpまで。リンクはご自由に。

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