歳時記(diary):四月の項

一日

新年度最初は未明の電話から始まる。どうも浮腫で救急受診した人がいたらしい。寝ぼけた頭でとりあえず翌日の外来に回す旨の話を聞いてから再度寝倒れる。
新人ばっかりがたくさんいる四月一日は、エイプリルフールジョークを考える暇もなく(ただし比較的落ち着いて)過ぎていった。翌日の回診の準備をしてまたもや午前様で帰宅。

二日

総回診して、午後の透析をして‥‥いいのかってほど落ち着いている。前年度末の嵐ぶりが嘘のように。まぁ平和が一番なので何も言わないことにするが。

夜は今年度初の当直。頭痛を主訴に受診して、緑内障発作というケースがあり。無難に診断できてよかったぁ。

三日

夜は歓迎会ということでビール専門店へ。バイク出勤ということで飲めなかったけど。しくしく。

四日

オンコールで出勤して、ひとり透析実施して帰ってくる。
夕方のんびり子どもの相手しながら「ピタゴラスイッチ」みたりして。「アルゴリズム体操」観ながら「これ余興にやってもいいな」と言ったら相方から「かなり前から放送してるよ」どーせ観てる暇なんてないですよだ。
ひきつづいて「ひみつのちからんど」ではテルミンを特集。欲しくなったけど、いじってる暇ないのが難点だな....。

五日

のんびり寝ていたら子どもたちに起こされる日曜日。
朝ご飯食べて、近所の桜の名所へ。まだ五分咲き、と言うところだったけれど、花見客はけっこうにぎわっていた。

六日

年度代わりの混乱も落ち着きつつあるところ。割と早く帰れた。

七日

朝出がけにバイクをみると誰かにいじられた様子。なくなっているものはなかったのだが。

病院実習にきている学生さん(♀)と話していると、今後進路のことと結婚・出産のこととなど気になったりすると。女性の方がこういう問題に直面しやすいのだろうと思う。自分を振り返るに──相方に任せっきりだからなぁ。

午後、血小板減少・腎不全の方が尿量減少ということで透析用カテーテル挿入して透析を。──血小板九千の人に太い針刺すのはめちゃプレッシャーなんですが。なんとか無事に切り抜けてほっと。

八日

外勤日。これから毎週高速道路を飛ばす生活になるらしい。
午前中透析をみて、午後は予約外来。数は少ないのだけれど検査の結果が出るのに時間がかかったりして、それなりに時間がかかった。
一人そろそろ透析レベル、という方を他院へ紹介。──新規透析導入を診るだけの力がなくなっているんだな、この病院では。こんなときは非常勤であるがゆえの非力さを感じたり、する。

九日

午前中総回診。年度が替わったらなんだかさっくりと回診が終わる。新入院が少ないせいだろうな、きっと。

夜はネフローゼ症候群をお題に勉強会。各病院ごとに治療についてまとめを出して比較検討、という趣向で当院からはわたしが報告。謝礼なんかももらってしまったのだが、いいんだろうかと思ったりする。とりあえずつつがなく終了。

十日

コンサルテーションの依頼が舞い込んだりと忙しく時間が過ぎる。
春に国家試験受かったばかりの研修医たちもよちよち歩きで仕事を始めている。「丁寧に教えてもらえて感謝してます!」といわれるのはちょっと嬉しくあり。

十一日

当直バイトへ。道すがらで「二十世紀少年」を古書店で買いあさり、当直の合間で厚生労働省へ臨床研修に関する省令改定についてのパブリックコメント提出。
パブコメ考えながら思っていたのは、政治の思惑抜きで政策を決めることは困難だろうけれども、それでもことが教育であるだけに、目先の課題にとらわれて人材をつぶすことがないようにしないといけないよな、ということ。なかなか難しいことだとは思うが。

十二日

当直あけで子どもらと一緒に遊びに出る。消防車から放水するようなアトラクションに「乗る!」といって乗りにいった息子は、水が撥ねてくるが怖かったらしくて楽しむよりはじっと親にしがみついていた。うーむ、まだ自分から何かをしにいく系統のアトラクションは早いのかな。
下の娘の方が怖いもの知らずないきおいで暴れ回っていたりする。まださすがに兄より妹の方が強いとはならないが、あんまり女の子とみてもらえないらしいのはちょっと心配。

帰って来たところでバイク屋に先日いじられたバイクを修理に。ついででオイル交換や転倒したときに曲がったレバーの交換なども頼んでくる。‥‥しばらく自転車通勤かなあ。

十三日

本日は自転車出勤。予想よりはやや早めに到着。ときどきこれからも使おうかな。
仕事はなんだかあっという間にすぎた気が。
普通に透析して、回診して、気がついたら一日が過ぎて。早い‥‥。

十四日

雨模様の予報ということで、相方に送ってもらう。
病棟の様子自体は落ち着いていてまったり。研修医もゆっくり仕事できているみたいだし、やや力を持て余し気味かな〜とか。なかなかバランスが難しいところで。

十五日

外勤。
午前中で透析患者を回診して、午後は外来。だいぶシステムにも慣れてきたのでペースは上がっている。

十六日

総回診ということで出勤して準備していると、昨夜遅くから急変患者ありとのこと。回診中もちょこちょこ抜けて様子を見に行ったけれども、残念ながら午後にお看取り。
夜は剖検までいただいて、お見送り。何かできることはなかったかと思い返すのだけれど、思いつくことがなく。

十七日

午前中はそれなりに落ち着いていて、夕方のんびりしていたら研修医から電話。かなりあわてている風なので病棟へ駆けつけてみると、患者急変。
ある程度落ち着いたのが八時過ぎ。みんなで晩飯買って来て食べつつ、ちょっと落ち込み気味な研修医にフォローを入れながら、人工呼吸器について簡単なレクチャーをしたり。しばらく精神面と病態にフォローを入れないといけないかな。

十八日

妹夫婦と一緒にJAXAの筑波宇宙センター一般公開へ。
敷地内に仮設された駐車場に車を止めて歩くと、すぐ近くで水ロケット打ち上げ体験実施中で。子どもがかけ回って楽しんでいた。ま、ウチのお子様達について言うとまだ小さすぎて宇宙センターの楽しさはまだわからなかったかと。今後に期待、かな。それでも広い敷地内を歩き回って疲れたようで、家に帰ってきたら爆睡...。

十九日

玄関先の小公園で子どもと遊ぶ。シャボン玉作っていたら、公園で遊んでいた小学生達が毀しにかかる。(苦笑) 彼らもわたしたちも、遊べたからいいか。
公園でホトトギスの声がけっこう聞こえて、息子は鳴きまねしてたけれど。

修理に出していたバイクが帰ってくる。燃料タンクを交換したのでタンクを開けるためのキィが別に装備される。他にもキャブレターが詰まっていたそうで、エンジンかけてみると、ちょっとふけはいい感じ。

二十日

入院患者が少ないなぁとか言っていたら緊急入院二人。ちょうどいい、というところか。

「赤い星」読了。これは幻想小説というべきか。大団円があるわけではないが物語は終わってしまっている。放り出されたような感じ。でも感覚的には確かに"終わり"がきてしまっているように思えた。

二十一日

SASで統計解析を試みてみたいのだが、いい解説本がないか検索中。こんど本屋に行こう...。

"A.S.A.P"って言われるとオイレンシュピーゲルシリーズの三人を思いだすんですがそれじゃダメですかね。もちろん意味はAs Soon As Possibleで。

二十二日

外勤。大分慣れてきて、スムーズに仕事が終わる。

帰りがけにSASの解説書を探して本屋を逍遥してみたのだが、最新版に対応した本が乏しい様子。うむむ。

二十三日

総回診。その後まぁいつも通りな業務があり。
研修医と雑談していた時に「某先生って誰かに似てると思ってたんだけど、思い出した」って、出てきた名前が水島上等兵by"ビルマの竪琴"ときたものだ。‥‥古いねぇ。
余談。水島上等兵のモデルであるらしい中村一雄氏は2008年末没と。

二十四日

夜、勉強会の後ここんとこ大変そうだった研修医達の慰労会。五月病対策でもあったような。‥‥でも酒飲む準備してなかったの。しくしく。

二十五日

朝から大宮まで出て腹膜透析に関する勉強会。
腹膜透析って普及度が低くて、わたしも自分でやったことはない。けれどもからだに与える負荷が少ないとか通院の頻度が少なくて済むとかメリットも多く。できれば身に付けたいと思っているので、みっちり勉強する会に行ってみた次第。話聞いただけでなんだかすぐにもできそうな気になるのはきっと間違いなんだろうけれど。でも面白く話を聞く。
わたしが勉強会でている最中に息子は鉄道博物館を堪能していたらしい。そっちも行きたいな。

二十六日

オンコールで朝から出勤。一件透析回して、あとは自分の調べもの。
夜「ミニスカ宇宙海賊2」(笹本祐一)読了。

二十七日

SASをいじってみるのだがやはりオンラインヘルプ(英語)を見てても今一つプログラムの組み方がわからず。解説書は注文したけれどしばらくかかるしな。
放置プレイやむなしか。

二十八日

穏やかに過ぎる。善きこと、ではあるか。

二十九日

祝日で透析日で回診前日。
今月来月と二週続けて回診前日は祝日。とはいえ、動きが少ないので早めに終わる。

三十日

夜、帰ってきたところで「二十世紀少年」(浦沢直樹)を読み進める。
なかなか読む時間がないのが残念。

世の中では新型インフルエンザの話題が猛威を揮っている。一応旧来のインフルエンザの検出キットは有効らしいので、海外渡航歴のある発熱患者は軒並み検査かな。
毒性はけして強くないらしいので人類滅亡みたいな事態にはならないと思うが、世間を動揺させてパニックになるとよくないよな、とか。最終的にはワクチン開発まで混乱は続くのではないだろうか。ワクチンできても打たなきゃ意味ないとかいろいろあるんですが、多分「ワクチンができて接種が始まった」と報道されれば混乱が広がることは減るのではないかと想像するものです。


Written by Genesis
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