歳時記(diary):四月の項

一日

外来やりながら処方せんを出すと健康保険情報がない人が目立つ。ある患者さんと話をしたら「なんでも今日から後期高齢者だそうで」
強制的に保険が切り替わっているので、後期高齢者医療保険に切り替わった人たちは新しい保険証を診察前にみせた人だけ処方の際に保険情報が入力されているとのこと。最近は何も考えずに治療に邁進することができないつらさがひしひしと迫ってくる感じで。

二日

診療所の外来を。午後まで当番してから戻り。

平成名前辞典。長男と同名は平成15年のデータで調べると3人、長女と同名は平成15年のデータで22人。同姓同名のランキングには登場せず‥‥。
オリジナリティの高い名前を贈れたと胸を張るべきと考えるしかないかな。

三日

午後から普段透析している人から、調子悪いと連絡があったのが朝。早く受診しなさいと返事して、しばらくたってから連絡すると普段通りの時間に行くと返事がある。受診をせかせて来たところを調べていくとしっかり消化管出血。一時は血圧測れないくらいになりながら各種処置をてんこ盛りで加えて、何とか持ち直し。
‥‥死にかける前に病院来てくれればと小一時間(ry

四日

午後から出張ということで午前中の外来を巻きを入れながら進める。──結局一時回りましたが。
結局、電車の接続を間違えたのもあって予定の新幹線に乗り遅れ。のぞみの自由席に相方と子供連れて乗る破目になる。なんとか一人掛けを二ヶ所確保したものの元気一杯というよりは不穏なお子様の面倒見てたら、隣の方が席の移動を申し出てくれて、無事相方と並んで座ることができた。
そろそろ子供用に一つ席を確保した方がいいかも‥‥くらいに思い始めた旅路。

五日

朝から臨床研修研究会。
全体としてはそれほど大きな発見はなく。医師不足問題について、そもそも絶対数が足りなすぎという議論にはあまりならず、世間一般の認識レベルはその辺なのかな〜と思ったり。
夕食懇親会で大学時代の同級生に会う。何でも今は母校の医学教育室に在籍とか。「透析してるとどんな病気でも腎臓内科受け持ちになるよね〜」とかってテンションの低い話題で盛り上がる。

「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで」を読み終わる。設定の重たさを感じさせない明るさが魅力、だろうか。最後の方で出てくる「記録の極意」に打ちのめされてみたり。

六日

せっかく京都まできたんだし、ということで花見の計画。帰る時間のことも考えて、朝一番で見に行くことに。初めは南禅寺の予定だったのだが、拾ったタクシーの運転手さんの「この時間なら醍醐寺までいっても間に合いますよ」の言葉に予定変更。
昨日は一万人の人出があったとかニュースでいっていたが、時間のせいもあってか乳幼児連れでも歩ける程度。短時間ではあったが堪能して帰ってきた。

朝ホテルの部屋に届いていた京都新聞の社会面に門川市長の談話掲載本、選挙前に配付なんて記事があったんだが、Web版では省かれている市教委の談話を読んで吹いた。手もとに現物がないのでうろ覚えなのだが、「共産党議員に送らなかったのは送るまでもなく教育問題などに詳しいから」みたいなことが書いてあり。
‥‥そーゆー問題なのか?

七日

帰ってきてみると調子が悪くなっている患者が一人二人。
「やっぱり先生がいなくなると患者が調子悪くなる」とか真顔で言われましても。

八日

当直。まぁそれほど忙しくなかった方か。

九日

朝起き出してから、サテライトの透析診療所へ。
回診終わったらのんびりできるかなと思ったら、立ったまま回診するのが予想以上にしんどいことに気付く。当直明けで疲れとりきれてないのも重なって。
‥‥それとも体力低下?

十日

割と早く帰れたら子供寝かしつけの大役を拝命し。一緒に布団に入って、子供より早く撃沈した夜。やっぱり疲れてるのかな.....。

十一日

最近の個人的注目ポイントは栄養療法。実は外来と入院とでは視点ががらっと変わる。どちらかといえば外来では栄養過剰の患者が多いので食べ過ぎ飲みすぎをいかに押さえるかを考えていることが多いが、入院では逆に栄養不足傾向の患者の率が高くなるので、しっかり食べているか、栄養は足りているかという目で見るようになる。
この使い分けと(特に入院での)栄養処方はやりだすと結構工夫すべきことも多くて面白い。──いくら練りに練った栄養処方でも患者さんに嫌われて食べてもらえなければ元の木阿弥という辺りも含めて。

十二日

仕事終わった後、以前通りかかって気になっていたお店「たこ然」へ。たこ焼きとうどんと釜飯が食べられるというなんだか面白い組合わせが気になって。
たこ焼きは醤油味・塩味とちょっとあっさりした味付けなのだけれど上品で美味しくて。うどんも讃岐系と思われこちらも美味しくいただきました。

十三日

朝から内科学会へ。行き帰りの道中で「ばいばい、アース 懐疑者と鍵」(冲方丁/角川文庫)読了。
内科学会総会って実は初めて行ったのだが、広く内科医向けというだけあって間口が広い。深さはともかく、その広さがいいのではないかな。

庭先の野いばらがいい感じ。かなり短く切り詰めたのだが、しっかり枝が伸びてきて、新しく誘引し直して雰囲気良く育っている。まぁこういう植物は園芸初心者には扱いやすくていいが。

十四日

当直。
──カゼを何人か診たくらいでおしまい。まぁ楽っていえばそうですが。

十五日

楽な当直でも明けはなんとなく怠い。熟睡はしてないんだろうな。
午後外来終わって腎病理検討会やって。子供の添い寝したらしっかり撃沈‥‥

十六日

サテライト透析外来。
新薬、ってものについて思いをいたしてみる。新しいってことはこれまでなかった効果がある可能性がある一方で、これまで知られていなかった害を出す可能性もまたある。時を経てその中で試されてきたものは良くも悪くも確実な効果を見込め、もしくは予想された副作用を示す。未知なものであるがゆえに、新薬というのはむしろ扱いづらいものではないか、そんなことを思った。

空き時間を使って「雲雀」(佐藤亜紀/文春文庫)を読む。面白いんだけど、とりあえず「天使」を読み直さないといかんなこりゃ。

十七日

なんだか透析回診にえらく時間がかかった日。なんでかなぁ。

十八日

夜、病棟の歓送迎会。二次会でカラオケ行った先はUGAが入っていた。さだまさしで「流星雨」とか「October」などシブい曲が入っているのはよし。あとは「修二会」をいれてくれないかなぁ。

十九日

土曜出勤。
今週はえらく調子の悪い方がいたのだが、透析不十分かと疑って対応していたら徐々に上り調子。口をきく元気も食事をする元気も出てきている由。
もうちょい、と思っていたら別な病気を起こしたりするので、こういうときにむしろ慎重になったりする。

二十日

日曜出勤。
帰ってきてから、ビデオ録りしておいた「図書館戦争」を視聴。
個人的には面白かったんだが──図書館のしくみを把握してない人間には面白くも何ともないシーンがいくつか。まぁこのタイトルに魅かれて見てる人間が十進分類の基礎を知らないとは考えにくいのだが。

二十一日

普通に月曜日。そして当直。
なんだか入院適応が多い日で。重症呼吸不全で人工呼吸器つけたり緊急手術があったり。
一歳足らずの子供が熱を出したということで診る。話をしながらふと「保育園行き出したりしてます?」「はい、先週から」 ──どーしても周りの子からウイルスもらうんだよね。初めのうち風邪引かせに通わせているような感じさえするくらい。

二十二日

ひところ入院患者が減っていたのだがまた増えて来つつあり。それほど重たくはないのが救い、だろうか。

二十三日

サテライトの透析診療所に。
たまたま届いていたメディカル朝日の岡田斗司夫インタヴューを読む。ある意味ではヲタク向けというか、かなりのこだわりを持って記録することに情熱を傾けないと成立しないレコーディングダイエット。減量は目的ではなくて結果であったというのはさもありなんと思う。

二十四日

わりと穏やかな一日。
──そろそろ疲れはたまってきてますが。

二十五日

午前外来終わって、カンファレンス終わってのんびりしていると救急外来に腹痛の患者さんがきたらしいと噂が届く。透析の人らしいと聞いて身構えていると緊急手術になるとの由。もう一人同時進行で緊急手術するとか何とか、夜中とも思えない気合いの入った話が進行していく。
嵐の夜は終わらない‥‥

二十六日

夜半過ぎに手術が終わり、それから透析を開始(しかも二人)。夜通し透析についていると翌日勤務の体力が無くなりそうなので、朝までほかの先生にお任せして四時に帰宅し就寝。
んでもっていつも通り八時半に出勤。業務はいつも通り.....。少し落ち着いたところで昼寝を追加。そうでもせんと集中力つづきません。

二十七日

日曜日直。
出勤早々心肺停止患者が来院、蘇生成功して心電図とってみると心筋梗塞の波形。緊急で心臓カテーテルを実施して、それでも効無くその日のうちに看取り。この方の対応だけで終わったような気がする.....ほかに臨時で透析を三件くらい実施していたのだけれど(滅)

二十八日

眠い目をこすって早起きして、朝の検査目的で出勤。ホルモン負荷検査。
合間で患者さんの様子は早めにみに行けたので後は楽でしたが。それでも病院在院時間15時間ってどうよ。

二十九日

約一月ぶりに家でのんびりする。
しっかり子供に朝叩き起こされて、買い物出かけて本を五千円ほどまとめ買い。ARIEL新装版とか「DARK SEED3」(紺野キタ)とか。それから「FREEDOM」をレンタルしてきて視聴。

帰りにガソリン入れていこうとしたら小さいスタンドが一杯になっている。みんな考えることは同じなのね。
なんだかガソリンタンクを買ってまで買いだめした人もいたらしいが、ガソリンタンクのお代を考えたらマイナスになるんじゃないかと思ったり。

去年に引き続いて麻疹流行ですか。百日咳も流行ってるらしいんだよな。
とりあえず当院では特に対策らしいことはしておらず。新入職の若者達には抗体検査くらいやったのかもしれないが。一回かかれば生涯免疫とされる疾患であるだけに、患者が来たときは普通に診察して疑いがあれば検査、でよいし、職員に発生しなきゃいいやという感じなのではないでしょうか。特異的治療があるわけでもない疾患ですから。
特に識者というわけでもないのでこんな感じ。

三十日

サテライトの診療所へ。
道中で周りの車を観察する。アイドリングストップとかして燃料節約しようという車があるかと思っていたのだが、信号待ち程度ではまず見かけない。踏み切りでも見かけたためしは無い。
爪に灯をともすように節約、ってのは流行らないのかなぁ。

後日註:アイドリングストップが燃費向上に役立つのかについては自動車の燃費を解析に詳しい分析があります。車種その他によってどのくらい効果が出るかは違うもの、20秒以上の長時間信号待ちの場合にはアイドリングストップで燃費が節約できるとの結論がそこでは出ていました。


Written by Genesis
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