歳時記(diary):五月の項

一日

昨日から当直。もう終わりという辺りで病棟の受け持ち患者急変。まぁ本人は「ちょっと痛かった」とか言ってるレベルだったんですが。
診断つけて転送の準備してなんだかんだとやっていると午前中が終わる‥‥。

二日

朝礼で人事の発表がいくつか。病棟医長の任免などなどあったのだけれど。昨日の会議で決定して五月一日付発令ってのはどうかと。いやまぁいちおう時系列に混乱はないっていえばその通りなんですが。

三日

忙しいのか何なのか、だんだん夜に弱くなってきている。夜更かしすると翌日に響くし。
まぁ一つには、朝寝坊したいこっちの気も知らずに朝もはよから起き出して大声あげながら遊び出すとある人物の存在があるのだけれど。朝寝坊したい‥‥。

四日

透析当番にて出勤。
ごーるでんうぃーくなんてものは存在しない人たちの集まりだからなぁ>透析室 まったく日常勤務と同じだし。

「昭和天皇誕生日」が「みどりの日」を経由して「昭和の日」になったということで、じゃあ大正の日はいつになるのかと調べてみるとどうも八月三十一日か十月三十一日になるらしい。‥‥いっそのこと両方とも祝日にしていただいて、歴代天皇の誕生日を片っ端から祝日にしてしまえば毎日が天皇誕生日になる時代が(来ません)

五日

透析当番出勤して、午後は剖検を手伝って、夜から当直。
やっぱし疲れる‥‥。

六日

当直明け。家に帰って食事して‥‥そのまま寝て曜日。
わたしが寝た後子どももわたしの隣で寝倒れていたらしく。三時間近く昼寝して、子どもの泣き声で目覚めると昼の二時過ぎ。子どもの面倒見るとか約束していたような気もするのだが、これも一応立派に添い寝をしていたということで(違)

七日

連休明けの病院は連休中に入院した大勢の入院患者対応でなんとなくそわそわ。

医局会議の後でDPC(Diagnosis Procedure Combination)対応のための説明会。主にはDPCで医事請求を行うための書類の作り方が解説されたのだが、そもそもDPCって何なのか判然としていない一般医局員には基礎の基礎から解説してもらわないと状態。そこを丁寧に解説していく診療情報部長先生(医師)。
「DPCのコーディングは事務の方で行いますが、ご自身でなさりたい方はやっていただいても結構です(にっこり)」とか宣われる先生に、「そりゃ先生だけです」とか心の中でツッコんでいた人おそらく多数‥‥。
ちなみにDPCに必要な情報の入力プログラムはこの先生が作ったらしくて。この人が診療でも有能って辺りが恐ろしいというかなんというか。「プログラムのソースは机の上に置いときますので見たい方はどうぞ」とこれまた爽やかな顔で宣われる先生に「見ても分かる人いません」とツッコんでいた人もきっと多数あったと予想。

八日

わりと順調に仕事は進んだのだが。患者さん対応のお仕事以外がなかなか進まず。具体的には論文作成とか学会発表とか。大事な仕事でもあるのだけれどねぇ。

九日

多忙。午前中毎日透析の外来の対応しているから、仕事の組み立ての自由度が低いんだよね‥‥。

十日

夫の収入10万円減ったら… 平日の会話16分増で妻の満足度同じって記事に先輩の先生と見入る。
「そーかー、これで夫婦円満間違いなしだね☆」とか思っても、早く帰るのが難しい多忙な日々‥‥。

夜から当直。
どっかで名前みたな〜って患者さんが来院。かれこれ5年も前に受け持った患者さん。先方も覚えていてくれたのが嬉しい。

十一日

午前外来。飛び入りの患者さんみるのは緊張感もあり。

十二日

午後外来日直。千客万来でわさわさした午後。

十三日

一日、子どもの面倒みて過ごす。
まぁ放り出しておくと勝手に遊んでいる程度には育ってきているので、食事を食べさせたりぐずぐずしだしたときに寝かしつけたりする程度。それでも、わたしが何かしていると寄ってきてあれこれとろうとするので、できることというと本を読むくらい。
そんなわけで「眉山」再読。映画化されてもいるようなのだが、「神田のお龍」の啖呵は健在だろうかとふと思った。
物語終盤の、息詰まるようなすれ違いのシーン。文章ならではのその緊張感を、映画ではどのように出すのだろうなどと思いながら読んでいた。

十四日

いつも通りにいつも通りの仕事を。
それでも少し早めに帰れたので、「レナード現象には理由がある」(川原泉)と「あかちゃんのドレイ。2」(大久保ヒロミ)を買って帰る。

十五日

午後外来だったのだが昼まで驟雨が降り注ぎ。「『大雨のため本日休診』ってしてもいいですか」などと冗談を言っていた。
実際には割と律義に予約には来る患者さんが多いのだな。

十六日

夜は体調不良の先生に代わって夜間透析当番。一人医者が休めばその分の仕事は他の人に回される。医者の仕事量を減らすのって実は並大抵のことじゃないんだが、その辺があまり世間に知られていない気がする。

十七日

夜は透析室の宴会。少し遅れていったら料理が出尽くす頃で、余りたくさんは食べられなかった。

十八日

天体シミュレーター「Mitaka」正式版発表(in 4D2U)ですか。
こういう記事を見るとマシンパワーがしっかりあるWindowsマシンが欲しくなるのだが‥‥インストールしてもあんまり遊ぶ時間なさそうだな‥‥。

十九日

仕事終わってから床屋に寄って髪を切る。その足で書店に寄って「Dark Seed 2」(紺野キタ)を確保。
帰って玄関の電灯をつけてみると、壁にアマガエルが張り付いている。どうも日中ドアを開け放していた時間があったとのことでその間に入ったのであろう。ほっとくのも可哀想なので捕まえて庭に放してやる。ヘビの餌にならなければいいのだが。

メモ代わり。ハッブル望遠鏡の画像の壁紙

二十日

朝方一回目を覚まして、もう少し寝ようと寝直したら次は十時。爆睡してしまったらしい。
買い物でて、Studio Aliceで撮った写真を引き取ってきて。あとは少し庭掃除したりとかまったりと。

「蛇行する川のほとり」(恩田陸)と「Dark Seed 2」など読了。

二十一日

一日、週末に入院したとある患者さんの対応で追われた気がする。
ウチよりもっと大きい病院かかりつけで内科精神科両方の対応が必要で。入院加療がよさそうってかかりつけ病院からの話なんだけれど、かかりつけ病院は入院できないと。なんだか貧乏くじ引いたような気分になりながらあっちこっち電話をやり取りして。
多くのいわゆる精神病院は内科の体制が脆弱かほとんどないところが多く、内科病院はたとえ精神科入院が可能でも精神病の病状が重いと対応が難しくなる。両方備えた病院ってほんとに少ないのでね。

二十二日

六月上旬締め切りな仕事が計三件。同時並行でやっつけるしかない。修羅場かな〜。

、S.B.さんが買うんじゃないの?

二十三日

朝は子連れで保育園、のパターンもだいぶ定着してきた。出る時間も安定してきたし。
あとは寝る時間が安定してくれれば。10時すぎても寝ないんだもんな〜。

二十四日

夜は当直。激混みというわけでもないが手が空かない程度に来院される。なぜか腹痛がはやっていたが。

二十五日

麻疹流行が続く。麻疹ワクチンが在庫切れになりつつあるというニュースの後は試薬不足により麻疹抗体検査が一時中断になるというニュース。
広く用いられているHI法での検査が一番影響が大きいようだが、EIA法(主にわたしはこれを使っている)など軒並み検査受託中止もしくは報告遅れが予想されるとのこと。
麻疹なんてどこでもできる検査じゃないから、BMLとかSRLとか、検体検査の会社しか取り扱ってないわけで。これで麻疹対策は神に祈るとか布団かぶって寝てるとかそういうことしかできなくなったわけですな。
空気感染ということで伝播力が強いので入院させるのもためらいがあるし、検査ができないということは麻疹であるともないとも決定づけられないわけでやっかいこの上なし。

さて、この責任誰がとってくれるのかねぇ。もっとも(対策のやりようははっきりしてる)HIVの感染が拡大しているのにだれも詰め腹切らされたりしてない国だからねぇ‥‥。

二十六日

週末から週明けにかけて三人ほど退院なので書類書きでひいひい。実は当院の電子カルテの診療情報提供書作成システムはExcelベースというかなり狂ったものなので重い重い。
メモ帳で書いて貼付けるってのが基本スキルになっているのはどうよ。

二十七日

だらだらしているうちに日はすぎる。夕方買い物して自転車修理して。月に2−3日しかない平和な休日☆

二十八日

医局に届いてた毎日新聞の朝刊の一面に医療ネタ二つ。
医師人口比:日本、20年に最下位へ OECD30カ国中ってのと、医師不足:政府・与党が対策案 研修医のへき地誘導などの二本。
統計から導きだされる結論は、普通に考えれば「端的に医者の絶対数が足りない」ってことなのに、政府・与党の緊急対策は「医者が足りないのはへき地・地方でだけ」って誤った前提に立っている。おまけに「研修医さえ地方にまわしておけばOK」みたいなにおいがただよう、かなり分析の甘い案にしか見えない。だいたい、へき地に研修医を送るっていったって、ほんとのへき地には臨床研修指定病院はありませんって。それに、新臨床研修制度で大きく変わったところは、研修医を雑用係や即戦力として使わず、幅広く勉強させる方針にしたことであるわけで、大学出たての研修医をきちんと教えなければならなくて却って現場の医者の業務が増えることにもなりかねない。
でも、根本的な解決をしようとすると医者を増やす→医療費の総額が増えるってことになってくるから、それが嫌な財務省とかが抜本対策に反対してるんじゃないかと思っているのだけれど。

二十九日

外来に紹介患者二人。初診の紹介患者は一から病歴聞き直しになるのでえらく時間がかかる。
ようやく処方まで出して医局に戻ったところで電話。処方の問い合わせで、患者さんが言っていることと処方が食い違うとの由。指示して電話切って、もう一回電話が鳴る。
「患者さんが『自分で調節してるんだからかまわない』って言って帰りました」‥‥。ソレはかなり危険なことなんだが。そういえばほかにも「食べた量に合わせてインスリン増やしてる」ってのたまっている糖尿病患者さんいたな。

三十日

週末に発表三件。いずれも発表内容が違うということでそれぞれに原稿を用意しないといけない。その上入院患者は順調に増殖中。
遅寝早起き生活が続く。当直が入っていないことが救いなのか。

三十一日

午前午後と透析当番して病棟みて入院患者一人受け持ちして会議二つでて発表のためのPowerPoint作り。まぁいつもと変わらぬ日常ってところでしょうか(炸裂)


Written by Genesis
感想等は、掲示板かsoh@tama.or.jpまで。リンクはご自由に。

日記のトップへ
ホームページへ