歳時記(diary):八月の項

一日

夕方出張の合間に「黒と茶の幻想」下巻も読了。
Y島の幽玄さと合わせて進む話の雰囲気が何とも。雰囲気で読む作品かもしれない、と思った。

二日

先日紹介で一度受診された患者について入院依頼がある。紹介といっても入院だの何だのに全く触れていない検査依頼の紹介だったのだけれど──相手の先生、受診したときに入院させてくれたってよかったじゃないかとでも言いたげな口ぶり。
入院させた方がよさそうだとかそういう話はまったくなかったですがと切り返してはおいたものの。なんというか、自分に都合よく物事が進まなかったいらだちをこちらにぶつけられても困るんだが。

三日

「そんな教室作ろうや」という詩がある。蒔田晋治さんという方が書いた詩で、Webで検索してみるとちゃんと本になってもいるらしい。
わたしがこの詩に出会ったのはもう20年近く前の小学生時代になる。担任の先生が学級通信で紹介してくれたのだが、未だに憶えているあたり、なかなか執念深い。
実は医学教育学会の講演を聞きながら思い出していたのだが。

四日

こんなイベントがあるそうな。企画元のページ見るとコミケットの注意事項を読めとかそういう注意もないし。──子どもの圧死事件とか発生しなきゃいいけど。危ない気がする。

五日

実家にお出かけして、その後買い物して。
家族サービスって疲れるのね‥‥。

六日

「ねじまき博士と迷い猫」(樹川さとみ/コバルト文庫)読了。博士のズレ具合がわりとお気に入り。
巻末の著作リスト見て、「楽園の魔女たち 楽園の食卓」が前中後の三巻構成であったことを初めて知る罠。前後編だと思ってたってことはオレ中巻読んでないってことじゃんか‥‥。

七日

昨日ごそごそ本棚を漁ってた勢いで「楽園の魔女たち ミストルテインの矢」読了。
このお気楽さが好き。

八日

夕方、元軍医の湯浅謙先生のお話を聞く。
中国で軍医として勤務中に、生体解剖を自ら行った経験を語っている方だけれども、その話は、なぜそのようなことができる人間が育つか、に焦点が当たっていた。中国人への偏見や蔑視があり、戦争が正しいものであるという教育があり、上司の命令は絶対という上意下達の文化があり。
二度とそのようなことは起こしてはならない、そしてそのためには、どういう環境下で自分は生体解剖を進んでやる気になったのかを知って欲しい。そのようなメッセージを感じた。

九日

ボスが夏休みしている関係でひぃひぃ言いながら諸業務を。ぜんぜん落ち着いて仕事できない‥‥。

十日

以前オフハウスGRACO製のJumpsterという遊具を買ってあったのだけれど。そろそろ遊べるかな?と思って使わせてみたら大ご機嫌。乗せてやるといつまででも飛んだり跳ねたり飽きずにやっている。
いい加減疲れてきたところを寝かせにかかったりしている。しかし、見た目にはこんなに跳ね回って危なくないか?って勢いなので、あんまり目を離せない感じなのが誤算か。

十一日

「ドグマ・マ=グロ」(梶尾真治/新潮文庫)読了。病院住まいの人間にとっては、当直できなくなりそうでちょっとイヤ。(苦笑) 病院舞台のホラーって真に迫れば迫るほど、読みたいような読みたくないようなそんな気がする。
描写がそれほど生理的嫌悪感に訴えてこない、とわたしは思ったけれども、ぐちょぐちょねとねととかの擬音を聞いただけで鳥肌が立つ人はきっと違った感想をもつのだろうな、きっと。
痴呆老人を見る目がちょっと変わりそうな、そんな感じがした。

十二日

土曜日。普段となーんも変わらず仕事する。いじょ。(^^;

十三日

有明の祭。
事前にはほとんどカタログチェックできておらず、かろうじてC67のときのCD-ROMカタログチェックデータを流用した程度。普段訪れるサークルが二日目と三日目に分散しており、収穫は少なかった。
それでもStudio MaruanのMacマンガを手に入れられたからいいか。

早めに撤退して相方と遅い昼飯を食べて、その後当直へ。

十四日

黄昏フロンティアEternal Fighter ZEROがネット通販で届く。「残僅」の文字に思わず反応してしまった。
さて、自分ところのパソコンで動くのか調査せねば(滅)。

十五日

EFZは結局自分ところのWindows98マシンでは動かないようで。メモリを64MBしか積んでないんじゃやっぱりだめか。(滅)
いまさらメモリ買い足して動かそうって気もしないしなぁ‥‥。仮想メモリにアクセスしているとおぼしきHDDアクセス音がかなりうるさいマシンではあるんだが、現実にこのマシンを使ってやっていることって、ONEAIRしかないしね。

十六日

「時をかけるMac少女」が笑える人は医療関係だとまぁ少なからずいるかもしれません。もっとも、今はウチの病院も含めてWindowsが幅きかせてますけどね。
もっとも、笑ってくれないで泣いちゃう人もいるかもしれませんが。(爆)

十七日

小泉首相、靖国参拝は信教の自由と言っておりましたが、本当にどっかの神社の氏子なのかしら、と思ったり。別に氏子総代やったって檀家総代やったって多分大きな文句は出ないと思うのだけれど、地元では神社に参らずに靖国神社だけ参る、ってことなら、一般的に神社に参るのではなくて、靖国神社だけ信仰しているってことなんだろうと思う。
その場合は当然靖国神社の教義とのからみが問題になってくるんだと思うのだけれど。なにせ靖国神社の主張は太平洋戦争や東京裁判など、歴史上の事実に対する評価を含んでいるのだから。

十八日

外来やって回診やって退院時要約を書いて受け持ち二人増やして。
給料につり合わないくらいたくさん仕事した気がする。

十九日

‥‥昨日に引き続き、仕事がてんこ盛り。土曜にも関わらず次から次へとトラブルやら相談やら持ち込まれてくる。昼を食べたのは二時過ぎたし、帰りはしっかり十時過ぎ。

二十日

まりさん来訪。四月にひきつづき、たつやくん連れて。
相方との初顔合わせ含めていろいろ雑談。

その後焼鳥食べに出かけようと思っているところで病院から呼びだし。一人患者さんをお看取りする。

「AIR」のDVDをようやくレンタルしてきて観賞。
第二話まではかなり原作に忠実な作り。エピソードは一部はしょっているけれど、もともとやや冗長気味な感じもあったのでこれは好印象。さて、どのように展開していくのか。

二十一日

ふと勘定してみると、病棟を見ていられる時間が極端に少なくなっていることに気づく。外来・他院所勤務が入るのと、透析室での当番がほとんど張り付きになるため。ううむ。

二十二日

「継続は力なり」わたしなりに少しアレンジするなら「継続できるのは力なり」同じような仕事をただひたすら続けられるのは、一つの能力なのかもしれない。
そんなことをふと思った。

二十三日

相方がわたしのFE10で撮った写真が現像から返ってきた。露出不足の写真が何枚かあり。相方に聞いたら絞りも何も考えずにとったとのこと。ピント合わせは以前教えたのでそんなに狂ってはいない。
ピント合わせ・絞りの設定・シャッタースピード。ほとんど考えなくても写真撮れるようになっているからなぁ‥‥。しょーがないのでちょっと講義。
使えるようにしたところで将来性のある技術ではないのだが(滅) いいじゃないか使えない特殊技能の一つくらい。

二十四日

‥‥人が休みに入ろうってしてる前日に急変しなくてもいいじゃないか(涙) 言っても詮ないとは思いつつ。
輸液プランをいろいろ考えて、とりあえず明日の分まで決めておく。それ以降は‥‥また来てやるしかないか。

二十五日

年次有給休暇。とはいえ、ちょっとだけ病院に顔を出す。ちょっとで済んでやれやれ。

「時をかける少女」を新宿で観賞してくる。
わたしのイメージで言うなら「夏を駆け抜ける話」だろうか。作品中で真琴がやたらと走っていた印象が強い。「かける」と書くと「架ける」「賭ける」「翔る」などの字が当たるのだけれど、この作品ではきっと「駆ける」の字が当たっているのではないだろうか。そんな気がした。
こういう力いっぱいな話はやはり夏が似合う。クソ暑い中を汗を流しながら駆け抜けていくからお話になる。そんな気がする。

二十六日

「はやて」に乗って岩手へ。九戸に住む祖母に、曾孫を見せに。
盛岡でバスに乗り換えて、オドデ館で下車。

夕食として宴会が開かれ。従弟達とは大分年が離れているので子どものイメージが強かったのだけれど、大分成長していた。
我が息子殿は人見知りが始まっていて、抱っこをされると大泣き。もう少し愛想とか我慢を知れといってもムリだしなぁ。

二十七日

二戸を出て、盛岡経由で角館へ移動する。
盛岡では少し観光しようかと企んでいたのだが、連れ子(ぉ の機嫌が麗しくないので断念する。博物館なんかで泣かれるのは困るしね。
昼飯は相方の注文で盛岡冷麺。最初のお店はかなり並んでいたため諦めて、駅構内の小さなお店へ。辛いってイメージがあったけれど、それほどでもなく。キムチは別添えで付いていたけれど。
その後駅構内の書店で「夏の日のぶたぶた」を買う。「高飛びレイク(全)」も見つけて相方と二人「買う?」「書き下ろし一作か‥‥」「ここで買わないと、次いつ見つかるかわからないし」「じゃ、買うか」などと不謹慎な会話を交わした後購入。

着いた先は西木温泉ふれあいプラザクリオン。日帰り温泉もあるところで、わりとこぢんまりしたホテル。
夕食とって風呂に行ってみると「当温泉は最新の消毒法を使っておりレジオネラの心配はありません」とかって掲示してある。
いやそりゃ確かに一部では温泉でレジオネラ感染ってのは有名な話だけどさ、ここまで気合い入れなくともよいんでは? と思ったり。念のため付け加えておくと、レジオネラ以外の菌もちゃんと殺菌できているとのこと。

二十八日

のんびり起きて、角館の武家屋敷を見に行こうというプラン。車で数分のところに秋田内陸縦貫鉄道の西明寺駅があるのでそこまで出て‥‥と思いながら時刻表を確かめにいくと。九時過ぎの列車が出るとそのあと十二時まで列車ないじゃん‥‥さすがローカル線。
この時すでに九時過ぎ。いまさらばたばたする気もしないので、タクシー呼んで角館まで出た。

角館の武家屋敷町は割といい雰囲気。時代劇の撮影ぐらいしていそうで。上級武士と中級武士ではやっぱり家も違うのね。さすが封建時代。
伝統工芸館を見て、昼に稲庭うどんを食べて。帰りがけにレンタカー借りてから抱返し渓谷へ。レンタカーのカーナビに位置が登録されていない罠を乗り越え行ってみると、遊歩道が崩落して通行止めになっているせいか見事に人がいない。天気もあまり良くなかったけれど、子ども連れでなけりゃもう少し歩いてみたい気がした。

二十九日

旅行最終日。この日は田沢湖周辺のドライブ。
天気は薄曇りでちょうどいい感じ。国道を抜けて湖畔に出るとまず辰子像を拝む。──金ぴかなのが個人的にはどうも。その後で見た御座石神社にある石づくりの人頭蛇身の辰子像の方がそれっぽい感じがして好み。
ぐるりと田沢湖を一周して、たつこ茶屋で昼を食して角館に戻る。もう少しゆったり時間を用意しておけば、要所要所で歩いたり水遊びしたりできたと思うのだけれど、まあやむを得ないか。最後はこまちに乗って帰ってきた。

旅先が田舎だったせいもあるのか、赤ん坊連れのわたしたちに声を掛けてくれるひとが少なくなく。赤ん坊を媒介に、つかの間話がはずんだりもした。
そういう行きずりの出会いは、けして嫌いな方ではない。

三十日

ぁぅ、休み明けから普通に仕事だよ‥‥。(当たり前)

三十一日

八月が終わる‥‥。最後の日は当直で締め。
空床が無茶少なく。やりくり三段でなんとか対応していく。「入院できない病院に、意味はあるのでしょうか」とかなんとか。


Written by Genesis
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