歳時記(diary):七月の項

一日

泊まり明け。
結構疲れたその頭で初の予約外来やるってどうよ。しかも前の担当ドクターの字はむちゃくちゃ読みづらいと来てるし。(爆死)
予約外来ということはまぁ定期観察のみの人が多いということで「変わりないですか?じゃあいつもの薬で」でも済ませられるのだけれど、はじめとあってはそういうわけにも行かず。
なんかとっても疲れた‥‥。

二日

透析当番出勤。少し落ち着き気味だったのだけれど、徐々に患者さんが増えてきていて‥‥。

夜は登山教室の講義。「地図の読み方」はなかなか参考になった。

三日

ぼへぼへ〜と起きる。とても久しぶりな気が‥‥。
都議選投票して、投票所になっている学校の前のお店に寄って。
夜からは泊まりだったけれど‥‥なんだか危ういところで誤診しかける例が複数‥‥。まだ修業がたらんのぉ‥‥。

四日

抗がん剤治療中の人の愁訴が多くて振り回され気味。もともと元気な人が突然病気とかいわれて不自由な入院生活を強いられているのだから、そりゃあストレスの一つもたまるだろうとか思うけれども‥‥。
幸いなのは治療の反応が悪くはないこと。なんとか元気を取り戻していきたいところなのだけれど。

五日

少しは余裕のある日。──となれば受験勉強でもするしかないとか(炸裂)
なんか二月の再来という感じ。こんどは問題集眺めながら「難しいねぇ」と唸っているのだけれど。

六日

外来透析当番の日。検査結果の説明しながらゆっくり回診してると一時間半以上、とか。ちょっとかかりすぎたなぁ。最後の方なんか、患者さん昼ご飯食べ始めてたりしたし。

その反省を生かして、夜は透析指示だしと回診を分離してスピードアップ。少しはこの方がましかも。

七日

試験勉強に日常診療に患者さん向け学習会のレジメ作りといろいろ重なって落ち着かず。
ここのところ日常診療が穏やかなのが救い、だろうか。透析室は混雑しているんだけどね。

八日

外来。まだ患者さんが把握しきれてなくてどたばた。
中には前の先生の対応が悪かったと文句を並べる方もおり。──言われても困るんですが。はぁあ。

九日

試験前だろうと何だろうと仕事はあるし、出勤もあるわけです。(涙)
透析室はほぼ満杯状態なのだけれども、比較的落ち着いて進んだ、かな。ほぼ予定通りの時間に帰れてやれやれ。

朝一で他院から外線電話。開口一番「腎不全が進行しているので透析をお願いしたいのですが」って。薬処方するのと訳違うんですがと小一時間問い詰めたくなったり。
話聞いていると痴呆もありそうだし在宅療養はそれなりに困難を抱えていそうだし。透析すれば患者さんが幸せになると思うんですかと小一時間(略)。
来院いただいて診察、精査と経過観察で入院に。家族の方は案の定、慢性腎不全が進んでいますと言われて驚いていたり。大病院の医療ミスも問題だけれど、診療レベルの低い開業医による状態の悪化の方が、きっと数は多いんだろうなと思ったりする。

十日

お稽古の発表会(違)
いちおう気持ちを引き締めておこうとワイシャツにジャケット姿にしてみたのだけれど、集まった人々は結構ラフな格好の方が多く。わたしと同年代も多くて知らない人はこれが内科認定医試験の受験者集団だとは思いもよらなかっただろうなと思ったり。
試験自体は非常に難しく感じられ。基本からできてないなぁとがっくりしたり。
終わってから一緒に受けた先生方と反省会というか残念会というか。

十一日

一つ終わったら次は患者さん向け学習会の資料作り。PowerPoint使っているんで慣れないアプリの不審な動作に四苦八苦。どうしてこう、MSのアプリはおせっかいな機能ばかり装備している(んで、そいつがなかなかOFFにならない)のだろうか。

十二日

昨日に引き続き、資料作りを夜行う。なんとか完成させて印刷。
さて、あとは当日の読み原稿とその翌翌日の看護師さん向け学習会の資料だ。(滅)

十三日

外来透析当番。大分慣れても来て、患者さんもわたしに慣れてもきて。
週に三度も医者に会う(そしてそれが何年も続く)病気って他にはないから、透析患者さんと医者の関係はともすれば悪慣れになってしまったりするらしい。距離感が大事、なのだろうと思うけれど。

十四日

夜は泊まり。あんまり呼ばれないな〜と思っていたら、交代間際に呼ばれるパターン。

十五日

ちょっと憑かれた(おひ)状態で外来へ。
数も多くてひぃひぃ言いながら診療。初めましての方がまだ続くので気づかれもするし。

外来終わって職員検診を受けて、ふらりとICUへ行ってみると、なんだかばたばたしている。あれっとみれば、当直で入院させた人が挿管になってしまったらしく。
来たときはそれほど悪そうには見えなかったんだけれどねぇ.....。入院させておいてよかったと安堵。

十六日

比較的穏やかに過ぎた土曜日。透析患者さんは多かったけど。
化学療法中の方の検査結果が今一つなのだけれど、本人はいたって元気とのこと。治療を加えたものか、様子を見たものか。
悩みつつあちこちに相談を持ちかけて、結局先手必勝ということで投薬開始。うまくいきますように‥‥。

十七日

朝から透析患者さん向けの学習会。わたしを紹介するのに「若手のホープ」とか大嘘ぶっこいていいんですか>ボス
入院患者さんにはだいぶおなじみとなりつつあるのだけれど、外来だけの患者さんには初めましての方が多く。面通し顔つなぎがてら、「リンのお話」で一席。
具体的な治療は担当の先生が考えるだろうということで、なぜ治療をしなければならないかに力点をおいて話を作る。さいわい比較的好評だった様子。
患者さんの自己管理へのモチベーションが上がってくれればいいのだけれど。

終わってからボウリングやって、着実にスコアを落としてから(爆)帰宅。握力落ちたなぁ‥‥。
夜は久しぶりに「AIR」して遊んだ。

十八日

吉祥寺へお買い物とか。
「GOTH」(乙一/角川文庫)読了。ハードカバーでは「GOTH リストカット事件」というタイトルだったけれども、文庫ではタイトルがちょっと短くなって、代わりに(?)「夜の章」「僕の章」と上下巻構成となった。(らしい。というのはわたしがハードカバーを読んでいないから)
僕と森野夜はクラスメイト。たまにしかことばを交わさないけれども、話すときの話題は異常な事件や、人の死についての話題。ある日、森野が拾った手帳には、世間を騒がせている猟奇殺人事件の克明な記録がされていた。手帳に記された内容を元に、僕と森野はまだ発見されていない新しい犠牲者の元へ向かった──。
「暗黒系」「犬」「記憶」/「リストカット事件」「土」「声」の計六作の連作短編集。二作のみザ・スニーカー誌に掲載され、他四篇は書き下ろし。
「僕」と「森野夜」の二人がメイン登場人物。前半三篇では「僕」の視点を中心に森野夜の姿を描き、後半三篇では事件の関係者の目から「僕」の姿が描かれる。
文章中にいろいろと目眩しを置きながら、意外な結末へつながっていくあたりは本格ミステリ大賞をとるだけある、と思う。見事にだまされつつ、なるほどと思ったり。
猟奇な描写全面拒否な人は受け付けないだろうとは思うけれど、猟奇を描きたいだけの作品とは思えず、そのあたりはやっぱり乙一らしさ、なんだろうなと思う。

十九日

帰ってきてみると相方が「ぶたぶたの食卓」(光文社文庫)を読みふけっていた。い〜な〜読みたいな〜でも未読が二桁くらいあるなぁ(死)
AIRも進まないし。

二十日

外来透析の回診をひぃひぃいいながら。数多いし。
三十人からいる患者さんに検査結果のポイント説明しながら回るのは結構たいへん。昼と夜とで計二回あるし。

二十一日

腎生検の日。ちょっと風邪気味ということだったけれどまぁ問題なかろうということで実施。
ボスからは「そろそろ先生も腎生検できるようにならないとね〜」とおどかされている。透析用カテーテル挿入は今日も二件やり、最近大分成功率も上がってきた。あとは腎生検ができれば手技はOKということらしい。
ひとりだちしてしまうのはそれはそれで恐ろしいことではあるのだけれど。

二十二日

泊まり明けで外来。今日は数が少なくて落ち着いてやれた。
予約外来ということは「何時に来てください」と指定しているということで、その時間を大幅に越えてしまうとやっぱり患者さんに申し訳ない気がしてしまう。遅れ始めると気が焦ってしまってきつい今日この頃。

二十三日

気がつくと試験を受けていた。隣の席には同僚のY先生。何の試験だったか覚えていないけれど、少なくとも医者が受けるような内容の試験ではなかった。──そんな夢を見た。

義妹夫婦が上京してきているということで、サーカス観賞とプロペラカフェ。後者は乗り物大好きな甥っ子むけの企画だったりしたけれど。前回より人の数も子どもの数も多かった気がした。

朝夢を見たから、というわけでもないけれど、夜はAIRを。ようやっと神尾観鈴ルートクリア。
DREAM篇が終わってタイトル画面に戻ったところで、表題のところが鮮やかなブルーから夕焼けのオレンジに色が変わり、「NEW GAME」の表示が、塗り替えられるように「SELECT GAME」に。凝った演出がちょっと気に入った。

二十四日

朝から府中の郷土の森博物館。お目当てはプラネタリウムでの特別番組「プラネテス」。
アニメのプラネテスの第十話「屑星の空」をベースに(と思われる)プラネタリウム用に編集されたお話。アニメのプラネテスはまだ観ていないのだけれど、できがよさそうだなと思わせる。スクリーンに投影された宇宙空間のシーンはなかなかの迫力。

それから、夏コミの準備会。行き帰りで「半分の月がのぼる空3」(橋本紡/電撃文庫)「ジェニーの肖像」(ロバート・ネイサン/創元推理文庫)。「ぶたぶたの食卓」(矢崎存美/光文社文庫)と、読みかけを三作読了。
「ジェニーの肖像」は、有名な作品だけあって地味だけれど印象深い。「えいえん」を感じる作品だと思う。

二十五日

看護婦さんというのもいろいろで。病棟だとどうしても三交代という勤務のきつさも手伝って若い人が多くなるし、病棟ごとにも少しずつカラーがある。
「半分の月がのぼる空」の亜紀子さんみたいな、てきぱきしててさばけてる人もいれば、四角四面な人もいる。
──なかには「Kanon」の名雪みたいな性格の人もおり。一緒に仕事してるとある意味癒されるっていうかなんというか。あ、もちろんいつもそうであるわけじゃないんですが。慢性疾患管理が中心となっている病棟であることはもちろん関係していると思うのだけれども。

二十六日

なんかえらく早く帰る。
これは天の配剤!とか喜んでAIR始めてるあたりが(炸裂)

SUMMER篇にはいる。わーい、掛け合い漫才だぁ(死)
柳也と裏葉の掛け合いが好き。柳也と神奈の掛け合いはもっと好き。──でも後半結構きつそうな展開の予感。

二十七日

栄養とか運動での消費カロリーとかの話題から検索をかけていて、気がつくと葉鍵アカデミーとか見つけている自分‥‥。(鬱)

クレクレくんのFlashとか見ながら。
教わる側って、できるだけの手だてを講じて見聞を広げる、って姿勢が必要だと思う。人に聞くのもそうだし、本を読んだりネットの情報を仕入れたり、自ら実験してみたり。まぁ医学にかかわることを自分で実験するってのも無謀なので、いきおい伝聞による情報収集が多くなるのも仕方のないところではある。何も聞かずに自分だけで突っ走る研修医はかなり危険だし。
じゃあ何でも聞いてくる質問魔がいい研修医かというと──そうでもない。自分の代わりに物事を考えてくれる"イマジネーター"にすべてを預けているような──そんな研修医も少なからずいる。はじめは指導医の言われる通りにしか動けないかもしれないけれども、目標は指導医がいなくても診療できる医師になることなのだから、いつまでもクレクレくんではいられないわけで。
いやまぁ、実際"VSイマジネーター"やろうとすると結構たいへんなんですけどね。

二十八日

夜は泊まり。
外来終わって帰りかけたら胸痛、という人。きっちり心筋梗塞であったり。カテーテルだなんだとどたばたする。

二十九日

午後は休みを取ろうかと思っていたのだけれど、患者さん不調により夢は潰える。あう‥‥。

三十日

夜、AIRのSUMMER篇を見終える。
涙腺緩みそうな展開。お手玉のシーンで泣いた人は数知れずと思えた。
あと気に入ったのは柳也と裏葉の二人の約束。未来へと希望をつなぐ──それが現在の物語へつながっていくのだろうけれども。

三十一日

日直勤務。
昼過ぎに競馬場で気分が悪くなったという患者さん。「いつから調子が悪くなりました?」と聞いたら「第八レースの頃から」。‥‥とりあえず、ハマりまくっていることだけはよくわかりました。(爆)

 


Written by Genesis
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