歳時記(diary):十月の項

二日

帰ってきて、まずは朝寝。旅行中結構朝が早かったからなぁ.....。

午後少し病院へ行って、夜は一年目研修医の研修中間まとめ会議の打ち上げ(飲み会)。みんな少しずつ、それでも確実に育っているのが嬉しいところ。
や、久しぶりに遅くまで騒ぎました。

三日

買い物した後、山帰りの両親の出迎えに出向く。大雨の中少し手間取りはしたもののしっかり回収して実家に送り届ける。そのままお茶飲んでメシ喰って帰ってくる。
ちょっとあった暇に、実家の本棚に並んでいた「山岳警備隊、出動せよ!」(富山県警察山岳警備隊 編/東京新聞出版局)を読む。山のお巡りさん達の奮戦記。夏山・冬山問わず、大小さまざまな事故はたえない。中には準備不足や力量不足もあるし、天候の読み違いや急変、病気やちょっとしたミスが大きな事故になることもある。そういった連絡が入ったときには、山のプロによるヘルプが必要になる。
山ごもりするような日々を送りながら任務を果たす彼らに、熱い拍手。

四日

外来曜日が変更になるので、今日の外来は少しだけ。
毎週いらっしゃい、といってある患者さんが来ないのであれ?と思って調べてみると、先週(休暇だった)も先々週(月曜休みだった)も来てないことが判明.....。電話してみると、なんだか毎週来ないといけないって言ってあったのを忘れられているかのようなのんびりした対応。
うーん、まぁ何度も繰り返し言うしかないかなぁ。

夜は研修委員会があり、その後指導医会議と銘打って密談。
研修医の性格傾向について診断してみたらこうなったとか、研修開始から見てきて到達点がどうだとかつまづきポイントはここだとか。
こういう情報があることは、先入観を持ってしまう可能性がある一方で、はっきりしている注意点・禁忌事項を回避できるといういいところがあるから、やっぱり大事なんだろうな。

五日

休み明けなのに明日から研修、なんて予定なもので、今日は患者さんと面談三件。ふぅ。

六日

朝もはよから虎ノ門病院分院にて研修に出かける。集合が七時半前、ということで必死で朝は五時半に起きて六時出発。──気づいたら病院に七時過ぎについてるじゃないか。(爆)
まぁ遅くなってしまうよりいいか。

日本腎臓財団というところの透析従事者研修という、以前に講義は聞いた研修。今度は実習ということでよその病院へ行かせてもらった次第。
手技・手術など見てみたいという希望を出したら、今日の予定はTAE(transcatheter artery embolization)。ここの施設で取り組んでいる成人型多発嚢胞腎患者の巨大嚢胞腎の治療としての腎動脈塞栓術を朝・夕と計二例。
この治療の対象になる患者さんは巨大になりすぎた腎嚢胞の圧迫のせいで腹部膨満・食思不振・便秘等々、さまざまな症状が出るとのこと。この処置でかなりの縮小が見られ、喜ばれているとのことだった。
なんでも根本を詰めるより末梢の細いところから順繰りに細かく詰めていった方が再発しにくいとのことで、プラチナコイルを一本一本詰め込んでいく。午前中の方は初回の方で、あまり大きな問題なく二時間ちょっとで終了。でも、午後の二回目の人は、詰めにくそうなところが残っているとのことで悪戦苦闘一時間以上。ようやく二本ばかり血管を詰めて終了。──やっぱりこういうのは根気が大事なんだなぁ。

電車での行き帰りの時間を使って「でたまか 黄昏落日編」(鷹見一幸/角川スニーカー文庫)読了。

七日

研修二日目。本日の予定は手術二件。
透析用内シャントと副甲状腺の手術の二件を見て、その後は腎生検カンファレンス。二日間で結構勉強した気は、する。(気だけかい>をれ)

八日

上役の先生方が学会に行かれているので静かな金曜日。もひとりの先輩はなんでも六十時間連続勤務状態とのことで顔色が悪く。(当直明けで帰りかけたところに患者急変が重なって寝られていないらしい)夜間透析当番を代わって、休んでもらった。
夜間透析の患者さんは全体には元気で落ち着いている人が多い。基本はあまり大した仕事はないのだけれど、医者がいないことには話にならないからねぇ。

九日

透析当番。数も少なくて良かった良かった。
某大病院の医療連携係に受診の予約をとるためにFaxを送ろうとしたら、平日日中しか受け付けていませんとの由。Fax送ろうとしたら鳴りっぱなしで自動受信にもなってない。──せめてFaxを受信くらいしてくれても、バチは当たらないような気がしますけど?

十日

颱風一過でいい天気、を期待したのだがそうならず。うーむ。
休日ということで昼間からカラオケしたりして、ストレス発散など。

遅い昼ご飯に入ったのは犬連れて入ってOKという喫茶店、Indy house。看板犬のIndyは「これで白ければ『月は東に日は西に』(わかつきめぐみ)の米犬たちに似てるかも」なワンちゃん。犬グッズも盛りだくさんで近所の愛犬家たちの憩いの場になっている雰囲気だった。

夜、レンタルビデオ店でいろいろ仕入れてくる。「機動警察パトレイバー」OVAと、「KILL BILL」の前半部分を視聴。
「KILL BILL」──変。壊れてる。故に爆笑できるけど。なんか、斬鉄剣並の切れ味にされてないか?>日本刀 (そういえばこないだ、斬鉄剣並の切れ味の日本刀を造る!とかいってテレビでやってたなあ)
四年も寝てて廃用症候群で寝たきりになるのは理解できるが、そうだったら腕だけで体を動かしたり、ドアをどかどか動かしたりはきっとできないぞ、と。
そういえば、「Kanon」の月宮あゆは(自粛)

十一日

午前中に「KILL BILL」の残り半分を見る。ひたすら斬りまくり。
鎖分銅振り回すぢょしこーせーかぁ。この辺もしかして「バトル・ロワイヤル」の影響かなと思ったり。

夜は当直で出勤する。まぁふつうに忙しく。

十二日

某大病院医療連携係に再度Faxを試みる。無事に送信終了した三十分後には予約日時が決定していた。──素晴らしいね。

午後の救急当番は再び一人体制に。それなりに来て、結局二人入院させて自分で主治医を受け持つ。
一人は十九歳糖尿病なんて人だったけれど.....。今後が心配。

十三日

外来。固定の患者様がいないのでいろいろ診る。
この、いろいろってのがくせ者で。一過性健忘とか背中のほてりとか一年続くだるさとか、いろいろな主訴があり。それなりにへたばる。

夕方、そろそろ病棟の飲み会だな〜なんて思っているところへ透析の患者さんが受診したんですがとhelpが入る。透析する直前に来院した由で、入院が必要なら院内で透析しないといけない。結局日付変わるくらいまでなんだかんだとやっていた。

十四日

昨日入った人の貧血が進んでいることがわかって、夕方緊急胃カメラをお願いする。そろそろ始まるかな〜と思っていた矢先に病棟の患者さんが急変。結局心筋梗塞として緊急心臓カテーテルをやって、終了後に透析をまわすと.....もう一時を過ぎてるじゃん。
かくして二日連続の午前様。あーしんど。
しかし、腎臓内科所属して一年半で二例のIABPってのはどうよ。循環器科でもないのに。

十五日

朝ちょっと昨日の患者さん診て、往診。
今週は少ない週のはずだったんだけどねぇ。臨時とかインフルエンザ予防接種とかでかなり時間がかかる。

十六日

今月休みってどこへ行ったのかな〜(死)。狙ったように今月は土日に当直が集中しており。今日は出勤日ではないものの、そんなことを言っていられる状況ではないので、出勤。
無事に心筋梗塞後の患者さんのIABPを抜去。やれやれと思いつつ病院を後にしたら、その後やっぱり血圧が今一つということで、明日も透析をまわす予定になる。はぁふ。
とりあえず、お出かけしている最中に「ポストガール3」と「共鳴者」読めたからいいか。

夜はビデオ観賞会。「名探偵ホームズ」アニメ版と、「Kanon」のアニメ。

十七日

昼前には出勤。透析技士の到着を待って、昼過ぎから透析を開始する。順調に始まったのでやれやれと思いながら、少し休憩する。
その甲斐あってか(?)、夜からの当直は大忙し。上の先生の応援も呼ぶ羽目になった。痙攣なんてきらいだぁ。

十八日

午前中は臨時外来。"おなじみの人"だけ対応と誘導を。
昼にはICUの患者さんの人工呼吸器外し。──ヘタをうつと気管内チューブ抜去〜十分に呼吸できず〜酸素濃度低下〜再挿管なんてこともあるだけに、どきどき。無事に済んで何より。
やっぱり、人工呼吸器関連は事故も多いところで。できればさわりたくない領域ではあるのだけれど、ある程度は触らざるを得ない領域でもある。

十九日

今患者さんが四病棟に分かれており。結構せわしない。
普段行かない病棟にも一人いるのだけれど、病状が落ち着いていることもあってついつい後回しになって、回診が夜になってしまったりする。それでも赦して貰える状況もあるだろうけれど、あんまりいいことではないなぁと思ったり。
医師-患者関係というのも人間関係の一種なわけで、いろいろな形にたとえられる。たとえば友人同士であったり、探偵と依頼者であったり、教祖と信者であったり。わたしにとっては多くの患者さんは年上の方であり、それ相応の敬意を払いつつも、協力者になれたらいいな、と思う。

二十日

午前中外来。
相変わらずスローペースな外来ではあったけれど、この日は颱風襲来中ということで、患者さんも少なく。よかったのかねぇ。
もっとも、建設など現場系のひとにとっては雨の日しか病院に来れないという事情があったりもする。今日もそういう患者さんがいて、「検査の予約をしましょう」とは言ったものの、日取りが決まらず頭を抱える。「雨の降る日にしてください」って言われてもねぇ。

二十一日

──なんだかせわしない。患者さんもそこそこ多く、重症もそこそこ多く、めどのつかない患者さんもそこそこいて。
「業務量の多さ」と「せわしさ」って対応しない気がしている今日この頃。今日はほぼ一日病棟にいたし、業務量としてもそんなに多かったわけじゃないのだけれど。

二十二日

ほんっきでせわしかった日。
朝は(珍しく)早出。ICUの患者さんの様子を見に行って、落ち着いていることを確認してから往診へ。
往診はインフルエンザの予防接種が始まったばかりで希望者多数。出る前に「帰りは一時半ですね」と宣言してたら帰ってきたのは一時四十五分。そこから書類書いたりしてると二時を回り。カンファレンスをやって──ほとんど患者さん対応できないまま四時過ぎてるじゃん。
まぁ、回診の時に少しずつ患者さんに会うので、急変してない限りはそこで様子はうかがえるのだけれど。でもしんどい。

二十三日

昼前に出勤して、午後から日直。外来は大盛況。切れずに患者さんは来るし、入院させてくださいと紹介はくるし。おまけに不安・焦燥感からくると思われる症状を訴えて受診してくる患者さんもいて──こいつの鑑別ってゆっくり話を聞かないとできないんだよね。
ある程度救急外来って「さばく」「効率良く対応する」ことも求められるのだけれど、一般救急には精神科的問題を抱えた患者さんが受診することも多くて、そちらの対応に時間をとられることはままあって。そういう人は時に時間を惜しんだことがあとでトラブルにつながるケースもあるから、難しい。

二十四日

病棟当直して、終わった後ちょっとへたばりながら国営昭和記念公園へ。相方と、わたしの後輩と後輩の子供とでしばし遊ぶ。
天気も良くて、ふらりふらりとそぞろ歩くにはもってこいの日。子どもをかまいながらのんびりするのは久しぶりかもしれず。
コスモスのお花畑も見ごろでなかなかよろしい。

夜、帰ってきたところで「ONE」の続き。四苦八苦しながら七瀬シナリオエンディングに到達\(^^)/
シナリオクリアの難易度っていろいろだと思うのだけれど、予備知識無しでトライしたとして、この七瀬シナリオが一番試行錯誤を繰り返すシナリオではないかな〜と思った。気づくのが難しいのが繭シナリオだろうか。
七瀬のシナリオに入り損ねたときにそのまま続けていったら年末に長森と一緒にラーメンを食べるシーンに出くわし。ほのぼのと仲良くラーメンを食べる二人がそれでもえいえんの絆を得るには至らないというのがこのゲームでの世界観なのかと、何かを覚ったような気がした。
さて、残すは茜シナリオか。

二十五日

午前中外来がないと、なんだかやけにスムーズに業務が進み。よかったようなそうでないような。最近うまくいかないこと多いし。

日本内科学会の内科認定医の試験のお知らせに目を通したら、受験の際に提出する症例要約の書式が変わったなどというお知らせが出ており。去年準備しかけて結局受け損ねた先生に教えてあげたら断末魔の悲鳴が上がっていた。──まとめるの、面倒なんだよね。
でも、内容は個人情報保護の観点からと思われる記載必須事項の厳選と、書き方の明確化で必ずしも悪いとは思えず。頑張ってまとめないとな。

二十七日

午前中外来。──普段診察ボックス四つの体制のところ、二人しかいないってどーゆーこと?
応援で来てもらったりしながらひたすら診る。結局四時間半以上かかって、診た患者さんは二十五人。ちなみにほとんどが初診。──遅いですかそうですか。

そいでもって五時から当直に入る。初めほとんど来なかったからよいようなものの....。

二十八日

夜間にあまり呼ばれず、やれやれよかったと思ったり。

夜になったところでICUをうろついていたら緊急心臓カテーテルをやっているとの話を聞きつけ。なんでも外来にカゼといって薬をもらいに来た人だったらしい。
重症患者が「わたし重症なんです」て言って受診してくるわけではないのは当たり前なのだけれど、「あけてみれば重症」「見た目だけは軽症」を見抜くのは大変。よくそこで心電図をとりましたねと、外来の先生を称賛したい気分。

二十九日

往診は比較的数も少なく。比較的早く終わって帰ってきたら、医局にいた午後の往診担当のY先生が「今日は早いですね」だって。──そりゃあまぁ、普段はY先生が準備に来るころまで往診の事務所でばたばたやってますからねぇ。

夜には他科の重症患者に血漿交換と持続透析を開始。またもやしばらく忙しい日々になりそう。

三十日

診断のはっきりしないリンパ節腫脹の患者さんをひとり、他の病院へ紹介する。‥‥と、午後そちらの担当の先生から電話がかかってくる。
「あの、つかぬ事をお伺いするのですが。──リンパ節、小さくなってません?」
そんなばかなっ。──でも確かにそう見える。CTでもはっきり写ってたのに。電話の向こうとこっちでしばし頭を抱えてみる。患者さんにとってみたら自然治癒でよかったねなのかもしれないけど。こちらとしてはそれでは収まらない。診断不明ってのではね。
仕事が増えてしまった....。

夜帰ってきてから「ONE」茜シナリオにトライ。最後にとっといて良かった。
このシナリオが、一番切なくて哀しい感じがして、良かったと思う。キャラクターとしては長森瑞佳が一番気に入ったけれど。次いで茜・みさき。妹萌え属性はないらしくて繭・澪はサブキャラ的な感覚。
世界をとらえるのに足りない情報が多くて謎が残るけれども、それを差し引いてもキャラクターの魅力と緩急のある台詞回しとで楽しくプレイできた。
そのうちサイドストーリーとか、書いてみたいとも思ったり。

三十一日

お休みの日はねぼすけ〜。
起きだして買い物へ。CASIOEXILIMS3を購入。安くて小さかったから。
仕事場でポケットに入れておこうかと思案中。  


Written by Genesis
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