外交特権
2002年4月、カナダで日本の外交官が飲酒運転をして信号機に衝突。
しかし、外交特権により、飲酒運転による訴追を免れた。
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外交特権は、「外交関係に関するウィーン条約」に規定されている。
ウィーン条約は1961年に採択された多国間条約。53条からなる。
いわゆる外交官だと思っている方々を、全体をさして使節団という(イメージと
少々違っている。たとえば在日大使館に常駐していても使節団である)。
使節団を出す国を派遣国、受ける国を接受国という。
■[外交関係に関するウィーン条約](日本語全文)
http://homepage1.nifty.com/arai_kyo/intlaw/docs/diplomat.htm
22条 公館の不可侵・接受国による保護・強制執行の免除
23条 公館などの租税公課の免除
24条 公文書・書類などの不可侵
27条 通信の自由(設置には接受国の同意必要)・外交文書の開封禁止
[29〜36条]外交官の特権
29条 外交官の不可侵(拘留拘禁の禁止)(不逮捕特権)
30条 外交官の個人的住居も公館と同様に不可侵
31条 外交官の刑事裁判権からの免除と民事裁判のほとんどの免除
32条 派遣国は派遣した外交官の裁判権免除特権を放棄することができる
33条 外交官は社会保障規程の適用を免除される
34条 外交官は租税公課を免除される(内税間接税,投資,不動産取得など一部を除く)
35条 外交官は軍事上の義務を免除される
36条 外交官が持ち込む物品の輸入は許可される・手荷物は検査を免除される
37条 外交官の家族にも外交官と同様の特権を付与する
44,45条 武力抗争が生じた場合でも保護する・退去に便宜を与える
さらに、「領事関係に関するウィーン条約」がある。中国での日本領事館侵入
事件ではこちらがクローズアップされた。
こちらの全文はみつけられなかった。
よく聞く「領事」とはナニモノなのかということになるが、おそらく領事関係に
関するウィーン条約に定めがあるのだろう。
領事は外交特権を有するが、国を代表する権限は持たないとのことである。
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日本国憲法の規定には国家元首の定めがないが、一般的には天皇と認識されている。
日本から派遣される大使および公私は、天皇の認証を受ける。
また、日本へ派遣されてきた外交官は、信任状を持って天皇に挨拶に訪れる。
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なお、「ウィーン条約」はいくつもあるようだ。確認できただけで以下の
ものがある。
・外交関係に関するウィーン条約(1961)
・領事関係に関するウィーン条約(1963)(日本の加盟は1983)
・条約法に関するウィーン条約(1980)
・オゾン層の保護のためのウィーン条約(1988)
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