2002.4.29
人工衛星の静止軌道

4月4日ごろ、静止軌道上に直径50メートルの謎の物体があるのが発見されました。
宇宙空間にある物体は、事故防止のため、把握できる限り数十センチのものまで
登録されているのですが、この物体は登録がなく、「謎の」巨大物体とされています。

ところで、『静止軌道』って、なんなんだろう..。


静止軌道の衛星とは、地球からみて相対的に静止している衛星のこと。
というのはわかるが、意外にも、静止軌道にできる軌道はかなり限られている。

静止軌道は、『赤道上の上空・35,786Km』のみである。
なので、「日本上空に静止」「上空10,000Kmに静止」というのはどうやっても不可能。
http://jem.tksc.nasda.go.jp/iss_faq/go_space/step_2.html

◆日本の静止衛星
ここに、日本をはじめ各国の静止衛星がひしめいている。
日本でメジャーなのは気象衛星ひまわり(東経140度)でしょう。
そのほかにも、東経110度にBSアナログ・BSデジタル衛星と110度CSの放送/通信衛星、
東経124度と128度にスカパーの通信衛星がある。
(東京は東経139度ぐらいなのでひまわりの映像は日本中心に撮られる)
(南に向いたら139度だから、124,128度は少し右..「午後2時の太陽の位置」になる)

◆静止するには
静止するには、地球と相対的に同じスピードで回らなければならない。
ということは、約23時間56分で1周しなければならない。
(地球は、24時間ではなく23時間56分で自転している)。
かつ、地球の引力とつりあったスピードでなければならない。
上記のホームページには、ほかの距離の場合の周回時間が載っています。

それがつりあうところが、秒速3.08Kmのスピードで進むこと。
秒速3.08Kmで23時間56分動くと、86,160秒なので、265,372.8Km進む。
これが一周。円周は2πrだったはずなので、代入すると、r=42,235.4Kmになる。
地球の半径は6,378Kmなので、引くと、35,857..おお!ほぼ一致!
1違うのは小数点以下の誤差でしょう。

上記は導き出したのではなくてただの検算ですが(^^;)。
42,235Km・3.08Km/sというのは、ケプラーの第三法則で求めるとのことですが、
ここでは割愛します(^^;)(そのうち追加するかもしれません)。

さっき衛星がひしめいていると書きましたが、0.25度に1つずつあるようなので、
約184Kmは離れています。


◆大きすぎるので小さいものでたとえると
地球を直径約12センチのボールとします。
空気がある対流圏は上空11Kmまでなので、12センチのボールでは、0.11mmしかありません。
飛行機は対流圏の少し上の成層圏を飛んでいるとのことなので、0.11mmより少し上を飛んでいます。
オーロラが80〜500Kmの熱圏にあります。ボールの上空0.8mmから5mmの位置です。
この大気圏500Km(5mm)より外は宇宙です。
ボールがでかいわりには大気圏は薄いですね。

静止軌道衛星は、そのボールの表面から36センチ離れたところになる。

月までは380,000Kmなので、3m80センチ離れたところにあります。
月の直径は3,476m(半径1,738Km)なので、3.5センチのボールです。

太陽は、149,597,870km(1.5億)なので、1,495メートル97センチ先です。あらら。
太陽の直径は、1,400,000Kmなので、14メートルのボールです。おいおい。
太陽の直径は地球の約109倍です。

[気象豆知識]
http://www.iris.dti.ne.jp/~hogawa/weather/weather_top.html


◆地表にいますが
ちなみに地球の中心から6,378Kmの地表で暮らす私たち。
1日(23時間56分)で、40,074Km進まなければならないので、
465m/sで進んでいます。時速1,674.4Kmです。
ありえませんがもしさからって停止した場合は、秒速465mのスピードで
西のほうへ吹っ飛ぶということになると思います。

ではなぜたとえばデスクの横の、地上1mのところで静止して
浮いているものができないのか。
それは、この程度のスピードでは地球の引力に逆らえず、地球の中心部に
向かって落下するからです。
私たちは、スピードがないので、落下しています。
一応落下して地表にへばりついて落ち着いていますが、さらに低いところがあると落下します。
なので溝にはまります。





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