歳時記(diary):十月の項

一日

明日休みを取るし退院は二人予定があるしで少し気ぜわしい一日。

二日

腎臓学会東部会。午前中に聞いた小児腎臓科から内科への移行医療の課題についてがなかなか興味深い。一般には15歳位を境にしてそれから年長になると内科への通院に切り替わっていくが、腎臓疾患に限らず神経・循環器・内分泌などの慢性疾患の患者ではそのまま小児科への通院を続けているケースが珍しくない。新しい医師と関係を作り直すことへの不安や、内科では大人扱いされることからそれへの不安などが背景にあるのだが。「患者を大人にして内科へ送り出す」作業の重要性という表現が納得できた。

三日

土曜出勤。大体普段通りのことを。

四日

休日。父母が出かけて祖母が一人で留守番中ということで、メシを食べてもらおうと和食レストランに連れて行く。体も細くてそんなにたくさんは食べないのだけれど、年取ったらできるだけたくさん食べてもらったほうがいいからねぇ。
夕方呼び出しで病院へ。

五日

カルテシステム変更で混乱の一日。目立った患者さんへの影響はあれこれの待ち時間が長かった程度のようで、大きな実害がなければ無問題、なのだろう。

六日

透析診療所へ行って、夜は当直。
イレウス二件も来て外科医の手を煩わせる..。

七日

当直明け。普通に仕事して、夜は某会議に出て。

八日

今週から新しくローテーションしてきた研修医。カルテ記載の細かいところをつついたら、後で鬱屈を爆発させていた。……割と日常的にそういう行動の報告があるらしく。困ったなあこれ。医者稼業やってけないぜこれじゃ。

九日

研修医の受け持ち症例がなかなか難渋しており。カンファレンスでいくつかの診断候補を挙げてそれを確認する方向性で。集団的な検討で知恵を集めて、これで進んでくれれば。

十日

診断難渋例が内視鏡検査で診断ほぼ確定。研修医が感心していた。
午後にはステロイドパルス治療開始。これでよくなってくれればいいのだけれど。

十一日

当直明け。歯医者に子どもを連れていって、夜はかたわ少女プレイ。茨崎笑美ルートENDまで到達。あまり選択肢は多くなくて、引き込まれるように読める、感じ。始めBAD END, その後TRUE ENDへ。過去に選択した選択肢がわかるので、それを外すように選ぶことがあまり難しくない。
"独り立ち、できる?"という台詞が彼女の主要テーマ、とWikipediaには記載があるが、彼女の場合義足などの利用によって運動能力・生活能力は通常人とそれほど変わらない。障害能力の問題抜きに、独り立ちするってどういうこと?と考えさせられるような、そんなストーリーに思えた。

十二日

のんびり起きる。子どもたちが家で遊ぶ日ということで、多少フリータイム過ごしてよいと許可が出たので映画館へ出て「図書館戦争─The Last Mission─」を見る。
原作での茨城県展警備篇を実写化した感じ。原作では県展の会場を警備する設定だったが、映画では県展会場に展示すべき書物が茨城図書隊に搬入されたところで襲撃がある設定で、その分バトルがだいぶ長い。ラストはだいぶ原作と違うけれど、個人的にはこのラストも好き。閃光が映し出した意外な助けは……?という感じだろうか。

帰ってきてから「かたわ少女」静音篇Act2まで到達。何この強引女子。この後デレるのだろうか。

十三日

病棟の受け持ち数が少ないので割とのんびりしている。

十四日

外来の処方山のように書く。‥‥はあ。

十五日

夜は当直。こまごまと受診してくるのだけれど....「昨日から調子悪い、今日日中は仕事に行った」くらいは割といくらでもいるけれど「歯医者の予約があったので受診した。夜になっても調子が悪いので救急に来た」ってのが新しいかな。‥‥歯医者の予約より先に内科外来受診しろよと。

十六日

当直明け。夜のケースカンファレンスは年に一度くらいは登場する症例なのだがその度「よくこれで診断したな..」てな症例で。パターン認識が大事だったりする病気の一つ、だろうか。

十七日

少しだけ病院へ行って、夜は話し合い。

十八日

のんびり朝起きて、「かたわ少女」プレイ。静音篇True End & Bad Endまで到達。
最後まで進めて、静音に対して「不器用」という印象が。家庭環境の影響もあるのだろうけれども、誰に対しても張り合い、一直線に最高のものを求めようとする。自分に対しても甘くならず。でもそれってかなり息苦しい人間関係になりそうで、実際に人間関係を豊かに持つことにはなっていない。序盤はとても仲良しと描かれていたミーシャとの関係も終盤はだいぶぎくしゃくして、その中でミーシャの心情も描き出される。ミーシャは独自エンドがないので言ってしまえば静音・ミーシャルートという印象もある。
最後に至って卒業式の爽やかさはすっきりとしていて、よい印象だった。

午後お試しで肉を買ってきてバーベキュー。

十九日

夜透析まで対応して帰宅。

二十日

診療所にて外勤。

二十一日

昨日緊急入院の患者を今日腎生検。まだ若い人なので早めに診断〜治療へ持っていきたいなーと。

二十二日

まあまあ落ち着いていた日。

二十三日

夜は当直。最初に続けて救急車とった後はそれほど混みあわず。

二十四日

明けて、普通にお仕事して帰ってきた。

二十五日

朝から子供らつれて秋祭りイベントへ。屋台でじゃがバターとか買って昼ご飯にして、午後は家でのんびりする。
不幸があったので通夜に出席。‥‥行ってみたら神式だったので正式には通夜祭、ということになるようで。祝詞を聞いて、玉串奉奠してきた。

二十六日

昼の外来が結構遅くまでかかった。最近はこういう時はそのまま昼を抜くようにしている。そのくらいでカロリー摂取がちょうどいい様子で。

二十七日

仕事は夜当番まで。

二十八日

夜、科内で今後の長期展望について雑談を。
医者も少しずつ成長するし衰える。同じように仕事が続けられるわけではないし、やりたいことも変わってくる。それをどうとらえ、どう変化させていくか。

二十九日

腎生検一人やって外来やって。
勉強会ということで少し電車で出る。薬の代謝の話だったのだけれど、相互作用って難しいなと。複数の薬を使うほどに相互作用が絡み合うわけで、できるだけ少ない薬の種類でまとめるのがポイントかなぁ。

三十日

最近の電子カルテは訪問診療先でも使えるものが出ているらしい。ネットワークセキュリティはそこまで向上しているのかとちょっとびっくり。

三十一日

朝方ちょっと病院へ行って、それから戻って家に居る。

”かたわ少女”華子篇TRUE & BAD End到達。ACT1でリリールート・華子ルートが分かれた後,華子ルートは選択ミスが即BAD Endと聞いていたので慎重に進めたつもりだったけれども、それでも最初は怒られるエンドへ。なんとなく、このゲームではヒロインに対し庇護的になりすぎるとBADになる気がする。
障害があり困難があれば、それは消極的になったり悲観的になったりする理由になる。それはけして根拠のないことではないのだけれど、だからといって個人として尊重されない理由にも過剰に保護という名の牢獄にとらわれる理由にもならない、そんな思想が感じられるように思った。


Written by Genesis
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