歳時記(diary):三月の項

一日

当直明け。
救急に高カリウム血症の寝たきり患者が来る。透析してしまえば改善は難しいことではないが、腎機能についての既往歴が不明で、慢性腎不全末期であるならこのまま透析導入を必要とすることになる。透析の治療はしないでくれとのことで薬剤投与のみで対応する方針に。(回復しない可能性についても了承の上)
こういう縛りプレイ(違)でいい結果を出すのは難しいことなのだけれど.....。

二日

朝起きしてつくばへ。腎と妊娠研究会。普段聞かない話が多くて刺激になる。行き帰りで「天冥の標VI 宿怨part2」を読む。

三日

朝起きて食事してから、mewで読んだメールのうちspamをbsfilterに学習させるところのショートカットを。結果的にはbsfilterに付属のmew.elを自分が使っているmew.elに書き足しただけだが。

ときどきeGFRを計算する必要が出るのだが、実は手元にそれ用の計算ソフトはない。たまに必要になるのでMacOSのウィジットでそれらしいものがないか調べてみたのだが見当たらず。結局計算できるページを見つけてきた。ローカルに保存した状態でも作動するのがウリ。

四日

午前外来・午後カンファ。で受け持ちも増やし。

五日

午前から透析診療所の外来。空き時間で「宿怨 part3」を途中まで。

六日

急遽当直を代わることに。まぁ体調不良とかいろいろ都合とかあるからねぇ。

七日

当直明け。
病棟診て腎生検をやって、外来へ。

八日

帰ってみると夕食はなく。息子お手製のおにぎりが供された。……勉強ができるより自分で食事が作れる人間であるほうが生き抜けるような気がしてしまうのは親のひいき目という奴だろうか。

「悪夢の耐性菌」に米当局が警告、最も強い抗生剤も効かずの記事を読みながら。
記事の中で「いかにカルバペネムを使わないようにするかが大事」と書いてくれたら、わたしはたぶん一生CNNを信仰しただろうと思う。

九日

土曜出勤。比較的落ち着いていて、合間で「天冥の標 宿怨part3」を読了する。
長い歴史の断章を積み重ねていくような構成だけれど、少しずつピースが増えてきて歴史の流れが見えてきたような気がする。でも、その流れが行き着く先はまだ見えない感じで。個人的にはこの作品では「救世群」が気になっている。治癒することなく病者として生き続けなければならない彼らと、多くの"未染者"が和解できる時は来るのか、そんな関心を持っている。

十日

日曜出勤。休みなしって奴ですが何か。

十一日

外来。予約数が不均等で、本日は(医者の)待ち時間が発生したりしていて。効率良く、という意味では患者が待ち時間発生することになるんだけどねぇ。

十二日

透析外来の処方をこなす。合間で病棟対応を。

十三日

夜は当直。
熱が出た後皮疹が出てきたと受診してきた若者がおり。ウイルス感染の後皮疹が出ることは珍しくないのだけれど、結構皮疹が全身に出ているのと、流行状況から考えてこいつは麻疹か風疹か、と当たりをつける。……ま、どっちも対症療法だけなんですが。検査だけは出して、症状軽減のために薬処方して経過を見ることに。

十四日

当直明け。
午後外来には二人続けて軽い腹部症状が受診。一人は腸閉塞、一人は急性虫垂炎でいずれも外科入院へ。どっちも元気そうだったけれどねぇ。

十五日

病棟の業務中心だとわりとのんびり時間を使えるのだけれど、それは自分の都合で仕事をできるから、でもあるんだろうなぁとふと思った。

十六日

土曜出勤。しっかり夜まで仕事。
午後日直の女先生がお子様発熱のため子ども抱えながら仕事していた。自分は待機状態だったのでしばらく子どもを預かったりして。

十七日

朝からアクアブルー多摩まで車を走らせる。すっかりプール好きになった息子のリクエストにて。流水プールだけでなく可動床の50mプールの方も行ってみたりしてから帰宅。
昼飯喰った後で昼寝、と思ったらしっかり4時間ほども寝てしまった。

十八日

外来やって、病棟みて会議に出席して。月曜日は変に忙しい....。

十九日

透析診療所の回診へ。合間で「ARIEL 10」を読了する。

二十日

休日出勤。
夜になって腸閉塞で緊急手術、という話が聞こえてくる。後で子宮広間膜異常裂孔ヘルニアであったと聞く。ふーん、いろんな病気があるもんだねぇ。

二十一日

腎生検予定がないので他の仕事をぱたぱたぱた。少し落ち着いてきた、かなぁ。

二十二日

入院依頼が複数。流石にこなしきれんと思いながらそれでもなんとか片づけているあたりがダメなのかも。

二十三日

Comparison of Presenting Complaint vs Discharge Diagnosis for Identifying “ Nonemergency” Emergency Department Visitsを読む。結論から言えば、主訴から緊急性の高い病気であるかどうかを判断できるケースは少ないという、実際に救急医療に携わっている人間からすると極めて常識的な結論が導かれたわけで。
まぁ研究デザインへの異論も指摘されている事を考えると丸のみは危険と思いますが、さまざまな政策を実行する前後で、その有効性や限界について検討することがとても大事であるはずなんですがね。

自転車で出かけると駅前の桜満開を写真に収めようとしている人を複数見かける。それ自体は止めないけれど、歩道を占有するように立って記念写真を撮る家族連れを発見。しょーがねぇなと思いながら自転車を停めて待っていたら、写真を撮り終わったところでおかーさんが「ほら、あんたたち通る人の邪魔よ、早く空けなさい」……気付いてんなら写真のんびり撮ってないではじめから通れるようなポジショニングするとか人が通っていないところで写真撮るとか、もう少し考えて欲しいと。

二十四日

……何してたっけ?ってくらいあっさり時間が過ぎて終了。バイクを修理に出したくらいか。

二十五日

夜は腎生検カンファレンス、その後飲み会。久しぶり、か。

二十六日

二日続けて夜は宴会。病棟の歓送迎会ということで、二次会まで出て帰る。流石に太りそう.....。

二十七日

今度は医局の歓送迎会。もっともこちらは軽く終了。透析当番もあったので結構帰りも遅く。

二十八日

ここのところ遅かったので夜は早く帰ろうかなぁと思っていたのだけれど、受け持ち患者の調子が悪く、結局夜になってから血漿交換を開始することに。神経難病とか、詳しくないんだけれどなぁ。

二十九日

ルーチン業務こなして夜は当直。……流石にちょっとへばりぎみで省エネ運転。寝られるところでどんどん寝る感じで。

三十日

明けて、土曜勤務。手の空いたところで少し昼寝を要する。夜間当番まで業務があったしね。

三十一日

のんびり日曜日。……なのに朝起こされて「宇宙兄弟」をリアルタイムでみている。


Written by Genesis
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