歳時記(diary):十二月の項

一日

アマチュア吹奏楽団のコンサート告知ポスターをみた。曲目に「ルロイ・アンダーソン"クリスマス・フェスティバル"」と書いてあったので、これはどんな楽器でないものを楽器として使っているのだろう(ぉぃ と思いつつyoutubeで探して聴いてみる。……割と普通の吹奏楽曲だった。

二日

日本維新の会が「負の所得税」を政策として掲げたというニュースを読んで、どんなものかと調べ始めた。
提唱したのはアメリカの経済学者フリードマン。新自由主義の考え方の中で出てきたものであるらしい。ただまぁ気になるのは負の所得税、もしくはベーシックインカムと抱き合わせで生活保護も年金も廃止、って議論ですな。医療職としてはそういった人たちがどれだけの医療費を使用しているかに目が行くわけで、おそらくその金額は最低所得保障として渡される金額より多い人がかなりの人数いると思われ。もしこの政策を実行するならば医療費無料化(もしくはかなり低い額での定額負担制)とセットでなければ医療難民が発生してアメリカ以下の状態になるのは間違いないでしょう。
アメリカはメディケイドで低所得者・身障者に一定の医療を保障していますので、保険料納付とともに原則二−三割の自己負担を必須としている現在の日本の医療保険制度だけでは低所得者層は受診が出来なくなるでしょう。

三日

外来の予約が少なめでのんびり。現在結構偏りがあるので来週からしんどいのですが。

四日

夜、小さな学習会で講師を務める。終わったあとで飯を喰いに行ったら選んだところは患者さん家族の店....まぁ別にいいんですが。

五日

レセプトの山を処理するので帰りが遅くなる。

六日

糖尿病の壊疽部、切開して見ると中央部から膿が出てくる。熱も高かった人なのでここかと得心。……内科医ですが何か。

七日

少しのんびりした一日。

八日

午前中から仕事して、午後は当直。
引きも切らずに胃腸炎が来る。ノロはやってますな〜。急性アルコール中毒も二人ばかり相手。
とどめに急性心不全が来院してICUに入室させた。

九日

当直明け。ちょっと子ども連れて買い物でたくらいで基本はだらだら。

十日

外来。
病気通院中の人はいろいろなタイプがいるが、気にしすぎの心配性というのもなかなか難しいキャラクターになる。少しでも数字が動くと動揺し、なにか症状があると気にする。
「こないだ受けた検診で少しだけ数字が上がってて、結果説明の先生に『大丈夫ですか』って聞いたら黙っちゃってわたしどうしようかと思ってて、そしたら大好きで追っかけまでしてた勘三郎は死んじゃうし、もうどうにでもなれって思ってやけ酒して泣いてたら娘に莫迦みたいって冷たく言われて....」とかってまくし立てる患者さんに「うん、冷静に突っ込んでくれる娘さんがいてくれてよかったね」とか思ってしまったわたし。「やけ酒してもそう簡単には腎臓悪くならないから一回くらいいいですよ」とは言いましたが。

十一日

外来透析の回診して夜透析の回診して。拘束時間が長いのが問題でねぇ。

十二日

夜少し時間をとって論文のデータ見直し。書き直し中なのだがいろいろ取り紛れて放置に近かった奴。
改めて解析データそのものを見てみると、なんだか結論そのものが違ってくる感じで。……何でこんなの見落としてたんだ?

十三日

夜は透析室忘年会。ちょっと参加して軽く喋ってきた。

十四日

東京腎生検カンファレンス。
遅刻してきちんと聴けたのは一例だけだったのだけれど。「身体所見などから考えれば要らない治療だったと思います」なんて発言はきわめて真っ当すぎてこのようなヲタクなカンファレンスの場には似つかわしくないなどと偏見に満ちた事を考えてしまった。

十五日

土曜休み。少しゆるりとして午後には息子をスイミングスクールに連れていって。
夜は妹と姪が来てクリスマスパーティーと洒落込む。こどもらも大興奮でわいわいして、大人側も普段しないような話をあれこれと。

十六日

朝から日直で出勤。
自宅でCPA、という救急車の依頼がある。ヘルパーが呼びに行っても反応なし、鍵を壊して中に入ったらCPA、という状況からこりゃあ助からないだろうと踏んで「看取り対応のみなら受けます」ということで来院。
改めて状況確認してみると身寄りのない方のようで、ケアマネとかヘルパーとか程度しか普段出入りしない方の様子。丁重にお看取りさせていただいた。一応異状死体ということで検死に回すことにはしたが。

帰ってきてから投票をして、晩飯を食って。

十七日

外来。数が多い上に皆様出足が遅く。
合間で警察から昨日の検死対応患者について書類が回ってくる。……べつに書くのはいいんだが、警察には医者はいないのかと思ったり。

十八日

外来透析診療所の回診。
いくつかのマイナートラブルがあって結構時間がかかった....。

十九日

夜は院内の腎生検カンファレンス。
提示された診断がかなりレアだったので結構盛り上がり。
そのまま夜透析の回診を終えないまま当直に突入してしまった。急変ありの入院同夜の死亡ありの、結構荒れた当直だった。

二十日

午後外来が千客万来な感じで。"ただの内科"の幅広さを実感したり。
一人四日前からの発熱といって高校生が来院。38度こえても学校は行っていると。検査してみた結果はインフルエンザ。
「学校で移しちゃったんじゃない?」
「そうだと思います。ダチが熱出してました」
「じゃあ学校やすんでるんだ」
「いや、学校には来てます」
お前ら揃いも揃って何で学校休まないんだよ.....。

夜は近くの病院でリウマチカンファレンス。終わって飲み会まで出てから帰宅。

二十一日

午前中透析外来の回診、午後は総回診、夜はCPC。
CPCのお題は看取り対応していた患者の死亡原因。剖検してみると疾患がはっきりし、生前に診断できなかったか、治療できなかったかと検討。……難しい課題で。

二十二日

年賀状作りなどはじめながら、ふと画像の色変換が必要になる。赤一色の絵を青一色に塗り替えるような作業なのだが、わたしが持っている画像編集ソフトはImageMagickなので(ぉぃ、RGB値で指定すればやれることはわかった。
MacでRGB値を調べる手だてとしては、標準添付のDigitalColorMeterを使えばよいらしい。あとは convert -fuzz 20% -fill '#zzzzzz' -opaque '#xxxxxx' A.png B.png でできた。
-fuzz の値を大きくしすぎると、まわりの同系統色をまとめて置換してしまったので、いろいろ試した結果20%で今回は実施。

二十三日

朝早くから荷物と子どもを車に積み込んで中央道に乗る。大月−勝沼間の通行止め区間は国道20号線を走り、シャトレーゼスキーリゾート八ケ岳へ。
あわよくば子どもをスキースクールに放り込んで親はのんびりスキー、という夢を描いたのだが、こどもらはあっさりソリや雪遊びを選択したため監視部隊が必要になり。ちっ。

宿は近くのBooFooWooというペンション。カーナビに任せているとたどり着けない所にあるという。……歩行専用になる道を案内するなよ>カーナビ
笹子トンネルの事故ですっかり観光客が減っている由。今がチャンスかもしれない。

二十四日

朝多少雪が残っていたのだけれど、走り出してみるとノーマルタイヤでも危なげなく走れる程度。
軽くソリ遊びなどして、帰りがけに蕎麦を食べて帰ってきた。

そしてそのまま当直に突入であったりするが。

二十五日

少々眠い当直明け。
透析当番やって入院を診て。夜透析当番までやって帰宅。

二十六日

一人で合計四人入院受け持ち。そいでもって外来透析に夜透析当番までやって。結局聴診器すらあてずに入院処理を済ませてしまった患者もいたり。まずいよねぇ。

二十七日

午後外来がほどよく荒れていましたがその程度。

二十八日

午前中一人で透析当番。外来患者に入院患者に本日透析用カテーテル穿刺を必要とする患者に。ふぅ。
夜は医局忘年会。せせこましく医局の片隅を片づけて開催。それでもそれなりに盛り上がって終わった。

二十九日

コミケット一日目
バイクで行ってみたのだが、天候も程々の寒さだったのでこれはよさげ。来年も駐車券を申し込もうっと。
業務は割と穏やかで。天候の影響は大きいのぉ..

三十日

朝から実家へ行って餅つく。腕の力が落ちているのぉ.....
終わったあとは盛大にすき焼き大会を開催して終了。

三十一日

コミケット三日目。
戦利品リストを下に。


Written by Genesis
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