歳時記(diary):三月の項

一日

しねばいいのにってムダにさわやかな曲ですなぁ.....

二日

当直。
夕方に自分が普段診ている患者が入院して、その相手をしたりなんだり。

三日

未明に急変。昨日入院したばかりの方。
かなり高齢で病気も長くあり、家族の受容は比較的スムーズだったけれど、それでもこういう急変に際しては、もう少しなんとかできなかったかという思いに駆られる。

四日

温泉旅行というご希望があり、近場で、という事でJNファミリーにお出かけ。
微妙に当てが外れたのは息子があんまり泳がなかった事で。浮輪がないと楽しくなかったらしい。空き時間で「地震雑感/津浪と人間」(寺田寅彦/中公文庫)を読む。科学技術を防災に役立てようという人間はまず読むべき作品だろうなぁと思ったり。

五日

雨の中小旅行から帰ってくる。

Copyright and Open Access at the Bedsideなる文がNew England Journal of Medicineに載ったと聞く。MMSEという認知機能評価スケールについて、広く使われるようになったあとで著者らが権利を主張し、Psychological Assessment Resources (PAR)に出版・配布などの管理を委嘱したそうな。その結果、MMSEは急速に使われなくなりつつあるとの事。
昔もこんなことあったよなぁと思い出したりする。
ただ、ちょっと気になるのはこのことを紹介しているblogで「著作権問題」としてこの事を取り上げている事。MMSEのオリジナルの論文がいつ発表されたかはすぐに調べられなかったのだけれど、論文の著作権って普通編集部に帰属するので、とすると著作者らが主張する権利とやらがいったい何を源泉とするのかが気になる。特許でも取ってあるという事ならばなんの反論もできないので黙って金を払うしかないとは思うのだが。それにしても、他の認知機能スクリーニング検査をつぶしにかかってみたりするあたり、やる事に品がないねぇと思ったりする。

六日

午前中透析診療所の外来。午後病院へ戻って病棟回診する。
バイクを車検に出しているので道中は電車。「浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト」を読了する。

七日

夜は当直。
交代間際に来た患者さんはえらい痛がりようだったのだが血液検査観る範囲ではそれほど重症感がなく。自覚症状と病気の重さとはかならずしも対応しないとはいえ、鎮痛剤への反応が悪い時は何かしらがっちりした病気がある事が多いので、いったいなんだと思っていたりする。

八日

この夜は他院かかりつけ患者が数名。かかりつけ患者を夜きちんと残さず診る、ってのは実はそれなりに大変な事ではある。だから、受診断ることがあってはいけないとは思わないし、対応できる範囲では診るのは吝かではない。
とはいえ、あっさりと受診をお断りした上に「時々診ているだけなんでかかりつけって訳じゃありません」みたいな反応が返ってきたりすると、どうしてくれようかと思ったりはする。

九日

夜は東京腎生検カンファレンスへ。お勉強お勉強。
行き帰りの道中で「マルドゥク・フラグメンツ」と「神様のメモ帳 6」を読む。

十日

最近立川市で相次いで孤独死の事例が報告されていて、気になっている。けして遠いところの話ではないだけに。
介護者の側が先に倒れ、要介護状態であったほうが餓死に至る、という経過も同じようで。しっかり介護者がいると、よもや介護者が突然病気になるという事を想定しておらずに対応が遅れるような気がする。実はそんな話は別に珍しいものではないのだけれどね。
一寸先は闇だし、元気に見える人が急病で死にかける事などいくらでもある話だ。となるとこの手の事件を撲滅しようとすると、病気して動けなくなったりしていればすぐに何らかの気管が察知できる仕組みを作らなければならない。しっかりした同居人がいれば、二人が同時に動けないほどの状態になるというのは可能性が低いのでなんとかなるだろうが、今回の事例のように認知症の親とそれを介護する子なんて組み合わせだと、子に異変が生じた時それがきちんと覚知されるかはわからない。
一定の基準を満たした時役所や警察・民生委員などが室内に踏み込めるような決まりを作らなければ、機敏に動く事は難しいだろう。もちろん、なにか言われたらイヤだなぁというような自主規制・事なかれ主義が蔓延していてはうまくいかないだろうが。

十一日

「月の影 影の海」で蒼猿が呟く「痛みなら、一瞬で済む」の言葉が最近気になっている。蒼猿は陽子に揶揄うようにその言葉を投げつける。けれども、その言葉を自分の事と思うようになるのは、深い絶望と孤独を感じる時だろう。自殺志願者のような。
そんなことばが実感できてしまうのも、よい状態ではないのだろうなと思っていたり。

十二日

当直明けで外来。若い患者さんに「今日テンション低いですね」と言われる。……そんなに俺、普段テンション高いのか?

十三日

夜病棟の歓送迎会。透析当番終わってから行く。
久しぶりにカラオケまで、した。

十四日

割りと早めに帰ったら相方が風邪で寝倒れている。
夕食を適当に済ませたあと、明日の分と思ってお料理を始める。片づけまで含めて、好きとは言わないが嫌いではない。

十五日

そろそろ午後外来開始の時間だな〜と思っているところで患者急変あり。……外来行っている余裕がなくなる。幸か不幸か予約の外来ではないので外来の患者は他の先生に見てもらって病棟の対応を続ける。結局看取りとなり、お見送りまで。
なんだったのかよくわからなかったのが心残りではある。

車検に預けてあったバイクを回収してきたら、帰り道がえらく寒くて閉口した...さすがに自転車なら大丈夫って程度のジャンパーでは薄かったらしい。

十六日

夜、CPC出てから買い物して帰る。明日はお出かけ...

十七日

未明から起きだして、七時前には実家に到着。兄妹一同で雪洞掘り&雪遊びという企画で土合駅近くまで。目的地としては「お菓子の家」というドライブインだったのだけれど、この日はあいにくの雨で、そこで雪洞掘って遊ぶって訳にはいかなそうだったので、さらに上の谷川岳ロープウェーに乗って、天神平スキー場で軽く遊んだ。
そこも雨っぽくなってきたところで撤退して、「お菓子の家」の店先の「関東一の巨大かまくら」をお借りして中でうどん作って食べた。湯テルメ谷川に浸かって汗を流してから東京へ戻ってきた。結局夕食までみんなで食べてお開き。

あとで調べたら、「かまくら崩れ1人死亡 岐阜・高山」って事件の巨大かまくらと基本的に同じ作りっぽい。入り口がかなり狭くて奥はそれなりに広い作りで、壁の印象は手掘りだと思うけど、雪を押し固めて凍らせておく作業をしておかないと、強度が足りなくなる可能性は十分にある。
サイズを比べてみると、平湯のものは直径20m、高さ5mとなっているのに対して、水上のものは横幅15m、高さ8mとなっている。写真の印象では、平湯のもののほうが内部は天井が高い感じ。水上のものは一番高いところはおとなが背伸びしても大丈夫だけれど、手に持ったスコップが天井に届くだろうという程度。形状の違いも影響したのだろうかと思う。

十八日

早く起きる必要はなかったのだが結局普段通りの時間に起きてしまう。「大科学実験」と「モーレツ宇宙海賊」を観て、こどもとお散歩に行って。帰ってきてからプリンタ購入に出かける。現在手持ちのCanon BJ M70のプリンタカートリッジがすでに生産中止ということで、動きは大丈夫そうなのだが買い替える必要が発生したため。
初めは小型のものを考えていたのだが、値段に惹かれてEPSONのPX-404Aに。スキャナついてるし安いし、という事で。

本日の購入本。「COPPELION 5」「南極点のピアピア動画」「七人の敵がいる」「三匹のおっさん」「"若紫"ヒカルが地球にいたころ(3)」
「そもそも野尻さんがちゃんとしたSF作家だったというのは驚きだった」(byドワンゴ会長)ってひでぇ....。

十九日

外来みて病棟みて。まぁいつも通りの進行で。
本読む時間がなかなかとれず。

二十日

緊急地震速報がオーケストラだったら。聞き入ってしまうと逃げられないと思うのですが。

「南極点のピアピア動画」(野尻抱介/ハヤカワ文庫)読了。子どもを公園で遊ばせながら。
知らない子に話しかけたりして一緒に遊んで「お友達になった」と笑顔の息子は得な性分なのか空気読解障害なのか。

二十一日

普段通りに仕事〜。準夜透析当番までついて。

二十二日

午後外来やって当直へ。
当直はいりたてのところで急変あって、その後は数少なくて。なんとなく大急変があった夜は、それ以外にイベントが起こる事は少ない気がする。

二十三日

明けて夜はケースカンファレンス。司会という事で眠気をこらえつつ進行。

二十四日

子どもの卒園式。あいにくと小雨ぱらつく中で。
式自体は滞りなく進行。保育証書授与の際に園長先生からひと言ずつお祝いの言葉をもらっていたのだけれど、マイクが声を拾えていなくて聞こえづらかったのがちょっと残念。一人ずつ工夫していただけに。
終わって写真撮影なんぞもやっていただいて、この辺のサービスのよさは私立ならではかなぁと思いながら終了。

謝恩会が予定されていたのだけれど、人数制限があるのと下の子がいるのとでわたしは参加しない予定。ならばという事で実家に。たまたまだが貰ったもち米を搗く予定があるという事で軽くもちつきしてきた。

子供らは結構疲れたようで、昼寝しなかった事もあって夕食でき上がった頃にはかなりおねむモード。風呂も入らずに寝てしまった。

二十五日

いくら昨日早く寝たからって普通の時間に起きてパン焼いたり始めるなよ>息子

「高杉さんちのお弁当5」確保&読了。晩飯作って喰ったあとに読むとまた趣深い感じが。
他に「七人の敵がいる」(加納朋子/集英社文庫)も読了。……相方が仕事をしている身としては他人事として読むわけにもいかないですな。近くに住む母親にいろいろ頼んでいるのも事実だし。

すしをもっと軍艦らしく!。その発想はなかった...。

二十六日

午前外来は結構混んでいて、患者さんに申し訳ない思い。

帰ってきて洗濯機準備して皿洗いして。毎日やるとなるとそれなりに気合いが必要。

二十七日

処方日〜。ひたすら処方戔を書きまくる午前。

退院の予定が次々と上がるので、それに合わせて紹介状の用意も。

二十八日

朝起きて洗濯物干し。ニコニコ動画でBGMに「only my railgun」をかけていた時はぴくりともしなかった息子が、「Destin Histore」をかけるとよっこらやっこら起きてきて動画に見入っている。そんなにGosickの印象強かったのか?

Kidney-Share MLで片腎腎生検は禁忌かという話が盛り上がっている。おおかたの意見としては慎重適応ではあるが禁忌ではないという感じ。道具がよくなってリスクが下がっている事が背景にあると思う。
一度決めた基準でも時代の変化に伴って見直していくのは大事なのだろうな。

二十九日

腎生検一件。そして午後は外来。
数少なかったけれど、他の先生にかかっている患者の比率が多かった気が。
初診でEisenmenger症候群とか来る外来ってどうよとか思いながら。

三十日

昼過ぎにEmergency Call。救急外来で頭部外傷患者を相手する。一時的に意識が落ちたのだけれど点滴したら戻ってきてほっと一息。でも頭の傷は結構大きいので縫合などしていたのだけれど。「痛くないです」とか喋ってる患者さんの頭頂部にはどう見ても痛そうな傷、っていうのもなんだかシュール。

三十一日

普段通りに土曜仕事。
昼過ぎに入院二人。一通り相手して、月曜日まで指示を出すともう夕方。

「蒼白の髑髏星」(笹本祐一)読了。

息子娘を風呂に放り込んで、体を洗うところを監督して上がらせる。自分も体を洗ってから脱衣所に出てみると、出てだいぶ経つのに娘がタオルをかぶって座っている。あれ、と思ったらすでに寝ていた。昼寝をしていなくて、風呂で体が温まったところで眠気に負けたものと思われ。だいぶ暖かくなってきたとは言え、脱衣所だぞと思ったり。


Written by Genesis
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