歳時記(diary):九月の項

一日

うっかり外来の誘導をこの日に集中させてしまったためになんだかめっちゃ忙しくなっていた。一応普通の時間に終わったからいいか。
夜は早めに帰って子ども相手をして。

二日

夜医局ケースカンファレンス。腎臓内科担当で、MCTDからSLEに転化した一例を。結構あるものではあるのだけれど、知識の整理にもなって面白かった。

三日

福島で作業員が白血病死したってニュースを聞いたときには「実際にはもっと多量の線量を浴びているのを隠しているんじゃないか」って疑っていた人が、高線量地域に立ち入って犬猫の里親捜しをしていた人が白血病死、ってニュースを聞いたときにはそのまま受け取っていたりするのを見る。
後者は結局高線量地域への立ち入りはしておらず、病死の理由と放射線の影響に関係はないことがわかったのだけれど、軽く後報を捜せばすぐにデマと分かっただろうにというレベル。
わたし自身は原発反対と思っているしどうやったらなくせるかの真剣な検討を、と思っているのだけれど、思いはともかく都合がいい悪いにかかわらず事実をきちんと突き詰める姿勢のない人とは一緒にやれないなぁと思ったりする。
都合のいい話を本当に都合のいいことかと検証するようなものの見方、大事なんだろうな。

四日

子ども服買いに出かけたら、物置の安売りしている店を見つけて、イナバ物置を購入。自宅は収納スペースが少ないのでいっそ物置を、と検討していたところ。売り尽くしセールでお米とかもついてくるということでとってもラッキーと言い合っていた。

五日

午前外来。夜は医局会議で、大したこともしないうちに夜....。

六日

「三陸に家立ってるのおかしい」 愛知・蒲郡市長ってニュースをみて、へえ、蒲郡市は三河地震で被害を受けなかったのかねぇと思ったり。津波だけが地震の被害じゃないだろうし、実際に三河地震での被害は市のWebページで紹介しているわけで。想定東南海地震では震度6弱の地震が蒲郡市で起こることが想定されているわけで、けして高みの見物できる訳じゃないと思うのだけれどなぁ。

七日

当直明け。そいでもって午後は救急当番。けっこう引きも切らずだったので終わってはぁ、という感じで。

八日

午後の外来に見当識障害の人あり。印象としては認知症なんだが、一人暮らしで症状の推移がさっぱり見当がつかない。生活状況の変化もはっきりしないし。
画像診断検査を出して来週おいで、にしたのだが、さてこの人予約の日にきちんと来てくれるかしら。

九日

夏休み。一日だけ。
車にいろいろ積み込んで那須へ。道中でどこに行こうか考えていたのだが、子どもの機嫌を取るためにSLランドミュージアムへ。HOゲージが走り回るのは息子的には大興奮であった様子。
その後はそろそろ晩飯にしようということであ・かうはーどへ。今話題の安愚楽牧場の肉が食べられる由。
しっかり食べたあとはホテルでのんびりした。

十日

朝起きてからりんどう湖ファミリー牧場へ。牧場といっても遊べるスポットは多岐にわたるのでミニテーマパークというのが適切な感じ。山羊に餌やったりはできたが牛の乳搾りまでは手を出す気なし。娘の方はまだ動物は少々怖いようで。まぁでもアプト式鉄道に乗ってみたりボート漕いでみたりアスレチックで運動したりでたっぷり体を動かし。4-5時間昼食含めて過ごしたけれど、体力の限界になったようだった。

日帰り温泉入って帰りたいというリクエストにお応えして、幸の湯温泉へ。娘が玄関上に飾られていた天狗面を怖がってしまって、結局交代で入ることにはなったのだが、お値段含めて手頃な温泉だったと思う。

十一日

昨日の疲れが出たのか娘が熱を出していたので、物置の組立に来てもらったくらいで家でじっとしていた。

十二日

午前中外来。
前回の外来で浮腫を主訴に来院した人がいたのだが、各種検査の結果は薬剤性疑い。薬やめて今日おいで、ということにしたのだが、ほんとに落ち着くか、少し自信がなかったのでどきどきしながら。一応著増するということではなかったのでもう少し経過を見ましょうといってみたり。
最近判断に困る人がぼちぼちいてなかなか難しい。

十三日

夜は腎生検カンファレンス。これまた判断に困る二症例。病理の先生もなかなか難しいといっていたのでまぁいいか。

十四日

研修医がローテーション開始していて、指導医もやっているのだが、できる方だけにさてどんな課題を出していこうかと悩む感じ。
できるだけ伸ばしてあげたいしねえ。

夜は病棟の宴会。楽しく飲んで食べて。

十五日

午後外来では検査結果聴きに来院した人で手を取られる。──正確には本人は来院せず両親が代理ということで。正直、責任能力があると思われる若者が「検査の結果を聞くのが怖い」って親をよこすってどうよと思うし、それもやむなしとしている親もどうよと思うわけで。
病気に対しては、正面からやり合うのが多分一番正しい対処だと思っている。相手は血も涙もなくて、的確にこちらの弱いところを突いてくる。生活習慣の乱れ、微妙な体調の悪化など。となればいかにこちらは一番いい体制を組んで一番いい対応をするか、ということだし、力比べの手をゆるめればすぐに防衛ラインは崩壊していく。
けれども実際にはなかなか病気に対して正面から組みあえるだけの精神的時間的経済的余裕がある人は多くないんだよねぇ.....。

十六日

当直明け。朝は1台腹痛の救急車が来たくらい。
そんなちょっと気だるいところで穿刺困難なシャントを刺さなきゃいけないとなると、「これがわたしの全力全開!」とか(心の中で)叫びながらじゃないとなかなかうまくいかない...

普通に仕事して、夜帰ると子供らが「お弁当〜」と寄ってくる。どういうわけかお弁当箱に詰めた食事が好きなようで、息子は自分でおにぎりを作ると奮闘し始めるし(手には白米をべたべたつけて)。しょーがないので具なしのおにぎりを作ってやって食べさせて、それから荷造りなど。

十七日

朝起きして相方と子どもたちを東京駅まで。最寄り駅までの交通手段は自転車を選択したのだが、こういうタイミングでパンクしているってのはどうよと。駅ついて新幹線ホームへ行き、入場券買ってのぞみの自由席の空席を探していたら、ドアが閉まってしまって発車するし。そもそも入場券で車内に入っちゃいけなかったはずなので自業自得なのだが。
なんだかうまくいかない感じで家に戻ってきて、帰りに自転車を修理に出した。

その後はちょろちょろ息抜きしながら試験勉強。マミさんのテーマを聴きながらだと妙に捗るのはなぜだろう。

明日試験が終わったあと用に〜と本屋に言ったらついつい三千円くらい買い込んでしまった。

十八日

朝から総合内科専門医試験。五反田で百分×三セットの試験尽くし。一セットにつき80問ほどの問題を解いてマークシートを塗る。けっこうきつかった。
終わったあとは品川から新幹線で米原まで。車中では「クロノスの少女たち」(梶尾真治)を読む。「クロノス・ジョウンターの伝説」のクロノスは冷厳で融通の利かない神の顔だけれども、この作品では少し優しい顔をしている、そんな気がした。「つばき、時跳び」の仰烏帽子寿が再登場するのも楽しい。

近江八幡休暇村にて夕食と温泉。のんびりした。

十九日

琵琶湖のほとりでカヤック教室。やったことないと思っていたのだが、そういえば大学時代に授業でカヌーを漕いだことがあったことを思い出した。息子と二人乗りにのって、のんびり。
帰りは新幹線で、指定席をとっていなかったので少々きつかった。

二十日

好天の中でカヤック漕いでた影響で、日焼けした足が少々痛かった日。
夜は当直だったけれど、あまり呼ばれない夜で。雨だと足が鈍る傾向はあるけれども....。

二十一日

台風襲来。それでも透析は通常通り。
夜透析開始時あたりが一番激しくて、電車止まって来るのが遅れた人とかいたけれど、最終的には皆さん来院され、終わる頃には天気も落ち着いてきていた。
一瞬停電もあって機械が止まったりして。停電対応もときどき訓練しとかないとだなぁ....。

二十二日

昨夜の強風で庭の檸檬の木が傾いていた。道にはみ出すような感じになっているので切るか引き起こすかしないといけないなぁ...。

二十三日

透析当番で出勤。
業務としてはいつも通りで。

二十四日

透析当番して、午後から日直当直。
潜函病の人が来てみたり。「ダイビングした」って病歴が聴けないと絶対わからんなこりゃ。高気圧酸素治療が重症例では必要らしいのだが、どこの病院にあるのかもわからない。

二十五日

当直明け。
帰っておもむろに傾いた檸檬の木の剪定。結局大枝を根元から落として、仕立て直し。落とした枝の整理で四時間くらいかかってしまった.....。

二十六日

普通にお仕事。そんなに患者多くないのになんだか時間がかかる....。

二十七日

ベクトル形式の画像作成するフリーのソフトはないかねぇと探していたらpotraceに行き当たる。bmpをepsのベクトル形式画像にしてくれる由。
ただ、使ってみるとどういうわけか画像がモノクロになる。トレースがソフトの目的のようなので仕方ないのか?
結局ImageMagickに戻っていたり。

二十八日

午前透析から夜透析までみっちりと。

二十九日

午後外来やって夜当直。がんの末期とかいろいろ、それなりに。
気候が落ち着いてきたせいか数はそれほどでもない気がする。

当院の所属する地域に隣接する二次医療圏の救急態勢が貧弱で。結構市を二つ程またいだ先から搬送依頼が来るのだが。簡単にはなんともならない課題だけれど....。

三十日

イグノーベル賞化学賞を日本人研究者が受賞した由。”for determining the ideal density of airborne wasabi (pungent horseradish) to awaken sleeping people in case of a fire or other emergency, and for applying this knowledge to invent the wasabi alarm.” だそうで。
ワサビはhorseradishの一種かよとか思ってしまいましたが。とりあえず日本の科学は世界いちぃぃということで素直に寿ぎたいと思います。


Written by Genesis
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