歳時記(diary):十一月の項

一日

当直明け。
そんなに多忙というわけでもなかったけれど、眠りが浅いのでちょっと眠い。

二日

保育園から届いた園だよりで、園長がいわゆる「幼・保一元化」について疑問を述べていた。費用の問題や独自に実施している教育への配慮の問題等々。
わたしも保育園申し込んだら下の子が入れなかったという経験がある。低年齢層で待機児が多いという現状からは、低年齢層を預かる機能をいかに充実させるかがキィになると思うのだが、そうなるとこれまでまったく扱ったことのない年齢層の子どもを幼稚園に扱わせるのはかなり大変なことではないかというのが一点。
さらに、申し込みが直接施設へ、という方向で変えられるようなのだけれど、そうなると「どこでもいいからお願いします」という希望を調整する役割を持つ人が誰もいなくなるのが一点。仕事しているorしようとしている親に「たくさん申し込みを出しておけばいいんですよ、足を使いなさい」とかしたり顔で言う気でいるならばそいつは滅殺決定ということで。
さらに、都道府県知事会が狙っているような保育基準の緩和もしくは廃止が行われるのであれば、ただでさえぎりぎりと言われる基準をさらに下げるもので認容できないと思う。

三日

祝日日直。今週はハードです。
時期的に保険請求事務のまとめ時期ということで大量のレセプトが回付されてきている。みなかったことにして現実逃避したくなる今日この頃。

四日

夜、栄養士の方への講演。「CKDと食事療法」ということでひとわたり。わりと好評だったのでほっと一息。

終わって携帯電話をチェックしたら相方から鍵を持ってなくて締め出されたと連絡が入っていてあわてて帰った..。

五日

貸していた「秘密 -top secret-」が返されてくる。「続きもよろしく☆」だそうで。

夜は当直。副直ということで入っていた先生がいたので自分ではあまりみなかったが、それでも数は少なめだった。

六日

夜半、胸が苦しいということで来院した方は、よくわからないが入院適応と判断。入院ベッドがないので近隣の病院へお願いした。
言ってしまえば能力不足のなせることなので心苦しくはあるのだが。

当直明け、いくつか仕事した後帰宅。その後子どもの面倒みたりしていると日が暮れていく.....。

七日

朝から子どもつれてお出かけ。
人ごみをかけずり回るのはまだしも、迷子になりそうな勢いですっとんでいくのは思わず大声で止めてみたり。帰りにはしっかりグロッキーになっていたので、少々遠回りでも乗り換えの少ない路線を選んで寝かせてみたり、した。

八日

午前外来、午後カンファ。
夜まで透析当番と病院から出られない一日....。

九日

当院の外来透析は二週間に一度定期処方を行っている。血圧の薬やらなんやらを二週に一度処方しているのだが、今月は二週後が祝日。処方箋がかけないわけではないがメンドウなので今回だけ四週分処方することにしていた。が、電子カルテで四週処方するということは、前回の処方の日数をすべていじらないといけないということで、普段より手間がかかる...。

十日

午後から臨時で診療所の透析外来。単車で昼過ぎからおでかけ〜。

衝突事件の映像流出、犯人は海上保安庁の職員とのこと。司直の捜査が入っているのでそれを待つしかないだろうが、思うのは守秘義務ってなんだろうってこと。
医師にも守秘義務は課されている。私たちが扱う情報は、自分たちのものであるようでいて自分たちのものではない。私たちが扱う情報は患者さんのものであり、私たちが好きなようにあつかっていいものではない。
では、公務員が課される守秘義務の源泉は。個人情報である可能性がひとつ、もうひとつは公開されることそのものが何らかの害をもたらす情報である可能性がひとつ、だろうか。そして公開の必要性の判断は、情報を持っている(預かっているといってもいい)人が個別に判断していいことではないはずだ。
youtubeに投稿した彼はそれによって起こるあれこれについての責任を取れる立場ではないはずだし、結局のところ彼は守秘義務に反した責を問われる必要があるだろうと、わたしは思う。彼がなんら責を問われないとしたら、今後日本では義憤にかられた公務員があれこれの情報を流出させたとしてもそれは正当だとされるということになるだろうし。

十一日

二週目の外来はちょっと混むので緊張していたが、それほど数はなく。一人急性膵炎の入院がいたくらい。
膵炎というと酒飲みの病気で。肝臓より簡単に死ねる病気だけに、慎重に相手したいと思ってしまう。最も本人はそんなことはつゆ知らずに酒が飲みたいとぐずぐずいうのもこれまたよくある話なのだけれど。

十二日

石原都知事が「保安官は愛国者」と発言したとか伝えられているのだが。
この人、自分がなしたことについて、東京都職員が内幕暴露して都合の悪いことを公表したとしても同じ台詞が吐けるか、よぉくみてみたいとは思ったりする。

夜歯医者へ。噛むと痛む奥歯があって気になったのだが、しっかり虫歯だったようで。麻酔して神経殺して、帰ってきても口の中が麻痺している...。メシを喰ってもちっともおいしくないのは困ったもので。

十三日

土曜出勤。割とのんびり過ごす。
もっともここの所結構ハードなのでそうでないと困る感じではあるのだが。

十四日

朝から関連診療所の患者会の講師。透析患者とリンのコントロールについてというお題でひとつ。
何年か前に入院で髄膜炎を治療した患者さんが来ていて。来院したときの状態は意識も悪くて「死ぬか後遺症が残るかどちらかでしょう」ぐらいの説明をした気がするのだが、歩いてきていてありがとうございましたなんて頭を下げられると、純粋に嬉しい思いになる。

帰ってきてから子どものお散歩に連れ出されて、歩き回るのにつき合ったらかれこれ二時間くらいかかった.....そいでもってその後当直。

十五日

当直明け。そのまま外来やって日常業務へ。
書き物もしなきゃと思いつつ進まなかったり。

十六日

朝方五時に電話が鳴る。末期患者の病状悪化とのこと。10%位眼を覚ました感じの相方に病院行ってくると言い残してバイクで出る。
患者対応して帰ってくると、家の前を相方が掃除している。ああ起きてるんだなと思ってバイクを止めて家に入ると、相方にビックリされる。「よその人のバイクだと思った」って、エンジン音で気付けよと。単気筒なんて独特の音を立ててるんだから。

十七日

午前夕方と透析外来して、そのまま当直へ。
入院ベッドが空いてないとあまり患者も来ず。

十八日

夜は腎生検カンファレンス。終わった後「痛風が治りかけなんで、少しだけ」という先生を引っ張ってしっかり飲んできてしまう。大丈夫だったのだろうか。

十九日

夜、こどものお迎え担当。それだけでずいぶん早帰りしなければならない気がするのはなんでだろうか。実際は六時頃に退勤なのだけれど。

二十日

休日。午前中保育園の懇談会ということで子どもの面倒を見て。

二十一日

日曜日直。
昼前にCPA(心肺停止)の搬送依頼があり受けてみると、ついてきた患者さんの奥様は結構重度の認知症の様でまるで状況が把握できていないようで。あんまりこういう場で直截的な表現って使いたくないんだけど婉曲な表現してもわかってもらえなそうなので「心臓止まってます」と説明しても「はあ...」みたいな感じ。
通常こういう場合蘇生処置を止めることについて説明して了解をもらってやめるのだけれど、ほかに話の分かる方もいないようで、誰と相談して処置をやめようかと悩んでしまったひととき。

日直終わって帰ってきてみると子どもたちが「電車乗る!」とやる気満々。しょーがないので駅まで子どもつれて自転車こいで、電車に数駅乗って帰ってきた。

二十二日

人手不足の日。普段のルーティンワークに加えてシャント処置もあって。外来の隙間を縫って透析室の回診を手伝ったりしていた。
午後はサテライト診療所の透析。合間でスライド作りしたり、していた。

二十三日

朝から国立科学博物館へ。「空と宇宙展」が狙いだったのだが、まあ軽く楽しんだ、というところか。
子供たちも「これなに〜?」がやかましかったのだけれど、さすがに説明してもあんまりよくわからなかったようで。とりあえず、息子は飛行機よりずっと電車に興味を引かれていることがよくわかった。

昼ころにはだいぶ機嫌も悪くなってきたので早々に撤退して飯を食って帰る。このくらいのペースじゃないと四歳児はついてこられない感じ。もっと遅くまで引っ張り回していると確実にさらに機嫌悪くなって駄々こね始めただろうなぁ。
その後は散髪したりなんだりとゆっくりした。

二十四日

外来透析回診して、処方を書いて。普段のお仕事を。

二十五日

夜は当直。といってもあまり呼ばれず。
救急車の依頼も入院不要なレベルのみ。もっとも一件は他院管理の妊婦さんで、「内科だと思うから内科に診てもらえ」と言われたとの由。一応主訴は下腹部痛だったんだけどなぁ。

二十六日

昼過ぎ、そういえばインフルエンザの予防接種してなかったなあと思って注射。……当直明けだったけどさ。
夜には歯医者で治療まで受けて。いいのかなぁ。

二十七日

土曜出勤。普段通りの仕事。
昨日治療を受けた後から歯の痛みが増しており。前回の治療のあとはそんなに痛くはなかったんだけどなあと思いながら、もう1回急患で出向く。
神経が殺しきれていない感じと思いながら行ったのだが、一応残っているところはなさそうとのよい。ただ詰め物を外してみると、若干出血があったのと、歯のかみ合わせの問題で噛むときに当たりやすいということで少し削って。これで様子を見てくれといわれた。

二十八日

午後から研究会。その前に近所の神社へ出向いて簡単ながら七五三参り。まあ子どもたちにとってはいつもの遊び場であるのではないかと思うのだけれど。

「守り人シリーズ」の最終巻「天と地の守り人」を読了。世界のしっかりしたファンタジーの力作、と思う。時間見つけて読み直してみたいな。

二十九日

普段通りに仕事。……それ以上に書くことがない....。

三十日

歯の方は何となく落ち着いてきたのだが、時々強めに疼くことがある。はじめは噛む時に痛みが走っていたのだけれど、それは落ち着いてきた。よくなっているんだとは思うのだけれど。


Written by Genesis
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