歳時記(diary):六月の項

一日

そこそこには落ち着いているのだけれど、なんとなく不穏な予感があるのは明日の入院予定が多いせいだけだろうか。

二日

腎生検予定のない火曜日は余裕綽々のはずが、なんとなくいろいろおきる。
ふと気がつくと酸素療法の考え方や消化管内視鏡の適応と禁忌を語っていたりする。腎臓内科ですがなにか。

三日

外勤の手すきの間にPCいじることが多かったのだけれど、調子悪いPCをいじるわけにもいかず、ひたすら読書を。「RDG はじめてのお化粧」と「とらドラ!6」を。
「RDG」はまだまだ謎が深まる第二巻。能力者がだいぶたくさん出てきて今後が楽しみ。

MacBookが届く。まず第一にメール環境を復旧させる。bsfilterとCarbon Emacsとmewをいれてfetchmail〜procmail〜bsfilter〜mewな環境を。ファイルの所在位置の指定を間違えてメールをかなり無くしたりしましたが(炸裂) 元の環境を作り直しました。procmailってrcファイルの存在するディレクトリのパーミッションが他者書き込み不可でないと動かないというのを知るのにだいぶ時間がかかりました。メールの取り込みは明らかに速くなりましたね。

四日

発表の前日にスライドいじり始めるのはよくないよな〜とか思いつつ、グラフの見栄えを気にして作り直し始めてしまう。SASのグラフ機能のわかりやすい日本語の解説書希望。

五日

透析医学会学術集会ということで横浜へ。行きの道すがらで岡本賢一の新刊を読了。
夕方に発表控えてちょっと落ち着かない。それでもうろうろといくつかの演題を聞いて回る。血漿交換療法のさいの回路の工夫なんて話はすぐに応用が効きそうで参考になった。
発表そのものは、まあこんなもんじゃないでしょうかって感じで。座長の仕切りが良かった感じで盛り上がったし。

夜、ホテルの部屋でMacBookの環境設定。無線LANなのでまずAirMacの設定をしないとつなげないという罠にはまりかけたが、アシスタントが優秀なのでなんとか切り抜ける。
Xcodeをインストールして、あとはUNIX系のツールのインストール。finkをこれまで使っていたのでとりあえずインストールしたのだけれど、なぜかrsyncに失敗するようなのでMacPort使ってみることに。pTeXにgimpなど普段使いのツールをインストールした。コンソールはktermだったのだけれど、port見つからないのでrxvt unicodeに変更してみる。
pTeXは本体のコンパイルがエラーを出してうまく動かない。あきらめていったん放置。

六日

今日も透析医学会。
ランチョンセミナーというお弁当付き講演がある。だいたいは製薬会社や医療機器メーカーが後援していて、宣伝がかかった内容であるかわりに無料。朝8時から整理券配布で、8時20分ころ整理券配布場所にいったらいくつかのランチョンセミナーは配布終了していた。
自分は聞きたかった講演の整理券手に入ったからまあいいのだけれど。でもまあ、講演じゃなくってお弁当が目的で整理券ゲットしている人もたくさんいるんだろうなぁ。

発表聞きながらふと気になったこと二題。
分科会の会場で、立ち見もいるくらいの盛況で、通路側の席が2席空いているとき、通路側に座るか一つ内側に座るか。見てるとかなりの確率で通路側。一つ内側に座れば次にくる人はスムーズにすわれるのにな、と思う。
演題の中で、改善しているように見えるのだが有意な差はないとまとめられた報告について。質問した人が、「解析法を変えれば有意な差が出ると思いますよ、こっちの方が有意差出やすいですから」‥‥統計解析って、自分の思い込みに箔をつけるためのものなのかと小一時間(ry。データの性質や検定したい内容から統計手法は選ぶべきで、有意差を出すために選ぶってのは学問的じゃないはずなのだが。そもそも、一施設で得られたデータだと例数が少なくて検出力不足になりやすいはずで、そこが問題なんじゃないのかなあ。

七日

子供の相手をする休日。
朝から自治会の清掃ということで、自宅周辺の清掃を。まあ団地だからねぇ、仲良くしとかないと。

そのあと子供を遊ばせて、買い物して。本も読んでで割とのんびりした休日。

八日

夜、再びpTeXのインストールに挑戦。MacPortから

port install pTeX +utf8 +motif

すると、tetexなんとかのディレクトリは既にありますとかエラーが出て止まる。それを削除してやればよいようなのでrm -rfでそのディレクトリを削除して再度installかけると今度は別のディレクトリがどうしたと。再度installかけると今度はまたtetexなんとかのディレクトリのエラーが。
makeしている間にできるディレクトリが邪魔で、makeかける前に全部削除しておく必要があったらしい。そこでかなり時間を食い。
果てはbabelに含まれるらしいファイルのところで引っかかって先に進まず。調べてみるとbabelなくても日本語対応できそうなのでえいやと切ろうとしたが、+no_babelのオプションを見つけるのにまた時間がかかり。‥んで、そうやってもmakeが通らないという。

メモ:MacOSX Tiger全般情報:MacPortsBeginning OS X 10.5

九日

日中は診療関係のよしなし事に時間を使い、夜スライド作りなど、というパターンができつつある。
一つ発表終わったところでもう一つ予定があるのでそちらの準備に。

十日

外勤。スライド作りを進めて、「星虫年代記2」を少し読み進める。
夜はBootCampからWindowsのインストール。Vistaも考えたけれど、どうせ高機能はいらないと踏んで必要十分と思われるXpに。特に問題なく終わったが‥‥ウイルス対策ソフトをインストールしないと怖くてネットに接続できないな‥。

十一日

午前総回診。ちょっと患者が増えてきて、時間がかかる。
今週頭からバングラデシュの医師が見学目的で滞在している。日本語は当然できないので英語。質問にさらりと答えられないのがちょっときつい。
昼食かねた勉強会でお弁当が出たのだけれど、さすがに回教徒らしく豚肉はだめ、と。

十二日

ふと、なぜ日本では日本語で医学が学べるようになったのか、と考えた。
さかのぼればまず中国から漢方医学が輸入され、それが伝統的な医学と並んでそれなりには浸透していたのが江戸時代。そこへ蘭学が紹介され、西欧医学書が輸入された後、「解体新書」をはじめとした翻訳医学書が刊行されたのは、すぐといってもよいくらい短期間のあいだだと思う。解体新書の底本となった「Ontleedkundige Tafelen」刊行が1734年、
もしかしたら日本人は諸外国の人々よりもずっと、自分たちの母国語で外国の文物を表現するということへのこだわりが強いのかもしれない。その恩恵を受けて、わたしたちは発展してこられているのかもしれない。

十三日

オンコールでCHDFまわしながらパソコン仕事。文章書く合間でふたたびpTeXにトライ。問題になっているエラーが以下のようなもの。

Error: `pdfetex -ini -jobname=latex -progname=latex -translate-file=cp227.tcx *latex.ini' possibly failed.
Error: `pdfetex -ini -jobname=pdflatex -progname=pdflatex -translate-file=cp227.tcx *pdflatex.ini' possibly failed.
Error: `omega -ini -jobname=lambda -progname=lambda lambda.ini' possibly failed.
Error: `aleph -ini -jobname=lamed -progname=lamed *lambda.ini' possibly failed.
Error: `ptex -ini -jobname=platex -progname=platex platex.ini' possibly failed.
###############################################################################
fmtutil: Error! Not all formats have been built successfully.
Visit the log files in directory
/opt/local/share/texmf-var/web2c
for details.

しかし、ふつうにmakeするとエラーなく終わる。make babelだとエラーが出るのでここを省略して、make otf; make fontyとし、make testが問題なく通るのでえいやとportからではなくコンソールからmake installすると、最後に上記のエラーが出たものの一応インストールはされたらしい。いざとなったらmake uninstallするかと思いながらTexShopを立ち上げてみると、一応表示はされた。しばらくこのままで使ってみるつもり。

あとはSKKをインストール。Carbon EmacsにSKKをインストールを参考に、ddskk-13.1とSKK-JISYO.Lを手に入れておいて

$ tar zxvf ddskk-13.1.tar.gz
$ mv SKK-JISYO.L ddskk-13.1/dic
$ cd ddskk-13.1
$ setenv SKK_LISPDIR /Applications/Emacs.app/Contents/Resources/site-lisp/skk
$ setenv SKK_INFODIR=/Applications/Emacs.app/Contents/Resources/info
$ setenv SKK_DATADIR=/Applications/Emacs.app/Contents/Resources/share/skk
$ sudo make EMACS=/Applications/Emacs.app/Contents/MacOS/Emacs prefix=/Applications/Emacs.app/Contents/Resources install

十四日

まったりの日。カラオケでかけて軽く歌って。教育上(笑)あまり大きな声は出さずに。

「鵺姫序翔」読了。「鵺姫真話」あるいは「異聞」の前日談。さらりと読めた。

十五日

午後内シャント手術予定が一件。しかしハマる。事前に血管が細そうだな〜とは思っていたのだが、なんだかんだで三時間かかってしまった。

十六日

血漿交換に緊急透析。夜が多忙な日。
しかし、別に回診前日というわけでもないのに夕食の注文とりにくるってのはどういうわけかね>研修医 そんなに病院が好きかっ。

MacportにpTeXインストールの続き。
TeXShopたちあげて編集してみると、やっぱりうまくインストールできていなかったようで、手動でmake uninstall打ち込んでアンインストール。そのとき/opt/local以下を削除しますかと聞かれたのでええいと全削除(註:portシステム自体のアンインストールにはそれなりのお作法があるのでそれを守る方がいい) 私はまだ各種daemonなどを使用していなかったので。
それでふと思いついてfinkもざっくりアンインストール。一からmacportシステムをインストールし直した。その上でまず最初にpTeXのインストールを行うと、なぜかあっさりコンパイルが通る。+utf8 +nox11 +no_babelの構成でしたが。
その後lvをインストールして完了。
TeXShopの初期設定にいくつか工夫しないといけないところはあったけれども、無事にTeX環境構築。‥‥って、ホントに必要なのかこの環境.....。

十七日

外勤の空き時間に症例報告をちまちま書く。クリニカルパスも書くことになってるしなぁ。

夜、gimpインストールを試してみると今度は途中で止まる。どうもboostをインストールするべくダウンロードしたあとchecksumが確認できずに止まるらしい。あきらめて放置。そのうち必要なファイルが補充されるだろう。

十八日

回診はボスの都合で遅れて始まる。「巻いてすすめるよ」と言ってあったのになんでどうでもいいくらい古い話まで蒸し返してプレゼンする>研修医

「現代萌衛星図鑑」購入&読了。 プロジェクトXノリがいいな〜(死)

十九日

臓器移植法改正案、衆院通過、と。
通過した案そのものについてはわたしは賛成できる内容。脳死は不可逆的な状態で、時間経過はともかくそのまま心臓死に至るわけで、そうであれば使える臓器を使うこと自体は許容した方が公共の福祉に適う、と考える。
ただ、この概念が普及するには審議時間・その前の準備期間とも少ないな、とは思う。そういう意味では、参院で継続審議にでもしていただいて衆院選で争点の一つにして、その上で再度採決するようなことをしてもいいのではないかと思う。
反対論の中には「まだ心臓が動いている状態で死んでいると言われても受容できない」といった趣旨のものもあるが、病態の受容をむしろ迫るためにこういった規定は存在するのではないか、と思う。心臓死にしても、止まった心臓が動き出したケースはないわけではないし、一方で心臓は動いていてももはや不可逆的に死に到るとしか判断できない状態は存在する。受容はひどく心の問題で、法を 整備すればできる問題ではない。医学的に「脳死」と判断されたとき、それを社会が「人の死」と判断するかどうか。そこが問われていると思うのだが。
もうひとつ、脳死法が決まると医療現場での医療が変化するという危惧も抱かれている。脳死になりそうな人への医療が手控えられるのではないかとの思いだ。医者の思考はどちらかというと目の前の患者中心だ。どこにいるかもわからない移植を待つ患者よりも、目の前で横たわっている患者に力を注ぐことを考える。基本的には杞憂と思うが、脳死寸前の患者に対する実験的治療が今後どんどん開発されるかということまで言うと、確かに難しくなるかもしれない。
脳死は人の死、と規定し直したところで、「現在の医療水準では助からない患者」は助からないだろう、これは確かだ。だが「神の目からみて、助かる手だてがないわけではない患者」が適切な処置をされないために死に至る可能性は否定はできない。対応する医師に神が舞い降りて、失われた道を辿りその地を見いだすことができる可能性をゼロと医学的に言うことは不可能で、それを飲み込んだ上でどう社会的に死を規定するか。それが問われていると思うのだが。

二十日

サイバーダインスタジオにロボットスーツを見に行く。
入ってみると各種ロボット・アンドロイドが展示されており。「鉄人28号」から「ガンダム」「ターミネーター」「エヴァンゲリオン」そして「タチコマ」まで。「8マン」と「サイボーグ009」の違いなんかも簡単に解説が。
「HAL」の実機を動かす実演もあったのでやらせていただいた。筋電図を感じるだけではなくてシナプス電位でも検知しているような感じ。筋の協調運動もある程度検知しているのかな。
オムニビジョンのフロアでは「TARGET HAL マイクロアドベンチャー」を上映。監督河森正治というだけあって、これだけみても結構楽しめる、と思った。

二十一日

雨の中、朝早くから研究会ということで車を走らせる。七時出発ってのはどうにかならなかったのかと(以下略
自分の発表はつつがなく終わり、のんびり演題を聞いて帰ってきた。
帰りがけの書店で「みのりちゃんの実験室 世界征服のすゝめ」を購入。本棚を見回っていたら「ブレイブストーリー」(宮部みゆき)の角川つばさ文庫版の表紙が目に留まる。「をを、これは鶴田謙二ではないかっ」。ブレイブストーリー気になっている作品だったのだけれど、どこかで買うことにしよう。

二十二日

ハードディスクのアイコンを自分のマシンにするを参照してアイコンをカスタマイズ。操作はコンソールからやってしまった。

‥で、表示させてみると実はうまくいっていないというオチがつく(滅) 

二十三日

朝方尿毒症症状出てきた人が受診して、緊急透析導入。
夜、ちょっと離れたところで発表会ということで早めに仕事を終わらせようと思っていたところが、朝入院した人が意識消失を起こしたとの報。朝もやってたよな〜と思いつつ病室へいって心電図モニター確認してみると一過性に心停止してる‥‥。
循環器内科を呼び出して緊急ペースメーカーやってもらってどたばたして。発表会は見事にブッチ。
せめてメシくらい喰おうよと出前を頼むとやってきた出前は器に入ってない。ビニール袋に入ってたぷんたぷんしているカレーの汁って出前を許せます? 喰いましたが。

二十四日

外勤。透析室のラウンドをすませると書類仕事タイム。ネット環境がないせいか(滅)ほかのことを始めなくて仕事が進む。

米沢嘉博記念図書館ができて、蔵書が搬入され一部は整理が始まったそうなのだが、パッキングをコミケット館内担当が代々受け継いだゆうパック最密充填の技で行ったため、箱から本を出した後返ってきた本をもとの箱に戻してフタを閉めることが決してできないという罠にはまっているそうな。
‥‥日本のサブカルチャーに栄光あれ(遠い目)

二十五日

総回診して、午後透析して。
なんということもなく日がすぎる....。

二十六日

相方帰省につき早め帰宅の予定だったのだが、そんな日に限って夕方に緊急入院の依頼があったりして。なんとか整理をつけて帰る。
保育園に迎えにいってメシ喰わせていたら長男が食べながら寝てしまう。なぜかウチの子供らは夜元気なんだよね。珍しく撃沈したのはやっぱり普段より保育園にいる時間が長かったからだろうな。

二十七日

朝ははよから子供らが起き騒ぐ。メシ喰わせて遊ばせて、外へ連れ出して散歩させて。
子供の世話は自分ではそれなりにできるつもりでいる。朝も昼も一応冷蔵庫の材料使ってなんとなく食事作ったし。たまにやって満足してるのは相方におこられそうだが、一応事実であったりする。

二十八日

実家にちょっと顔を出して、庭掃除して帰ってくる。
「千円高速」になって以来、週末ごとに高速道路が混んでしまって困り者。温暖化対策とか何とかやるくらいなら、まず高速料金を元に戻した方がいいんじゃないかと思ったり。鉄道や公共交通の利便性をあげて、自家用車の使用を抑える方向が炭酸ガス排泄抑制には必要なんじゃないかなあ。
メディアで盛んに宣伝される「エコ」は、「エコロジー」ではなくて「エコノミー」のことなんじゃないかと思ってしまうことがある。

二十九日

内シャント手術を行って、夜は当直。
結果的にはざっくり足を切ってしまった人を一人対応したくらい。

三十日

それほど呼ばれなかったけれど、やはり眠く。早めに帰ることにした。
今日で研修医の入れ替え。‥それなりに気合い入れていろいろ指導した研修医があんまりのびてないのをみるのはちょっとがっくりくん。


Written by Genesis
感想等は、掲示板かsoh@tama.or.jpまで。リンクはご自由に。

日記のトップへ
ホームページへ