歳時記(diary):九月の項

一日

諸般の事情により仕事場が変わることになったのでご挨拶に伺う。そして入職手続きをして。
午後は新居のワックス塗り。一応窓開けて空気入れながらやったけれど、座ったり立ったりしながらはけっこうな労働で、大汗かきながら何とか片づけた。

帰りの道のりで「夏の名残の薔薇」(恩田陸)を読む。

二日

引越。
朝はよから引越屋のトラックが着いて搬出。それが終わった後で手回り品と子どもを積んで車に乗る。
新居はボロ家。(爆) でも住める程度とは思う、うん。

三日

出勤。
まずは右も左もわからないので、透析室業務に精を出す。まずはこれを覚えないとねぇ。
なんだかんだとやっていると夕方で、翌日の回診の準備をすませていると夜になり。まぁこんなもの、かな。

四日

午前中から総回診。
先週から今週にかけて新入院が多かったとかで、回診も時間がかかる。

少し早めに帰らせてもらって買い物など済ませた。

五日

今度の勤務先は研修医がかなり多いので彼らの面倒も見る必要がある。オレ流ではいけない部分も多々あるのでその辺の整理が必要そう。
院内のネットワークに自分のiBookを接続させてもらってInternetにつなげようとしたら、ウイルス対策ソフトが入ってないので駄目だとの由。‥‥Mac用ウイルス対策ソフトに意味はあるのでしょうかと問いかけてみたり。しょーがないのでとりあえず ClamAntiVirusでもインストールしようかと思っている。

六日

休日。子ども遊ばせて買い物して。合間で「GOSICK IV」(桜庭一樹/富士見ミステリー文庫)など。

七日

「図書館危機」(有川浩/メディアワークス)読了。高校時代に有志展示として「21世紀図書館」ってタイトルで検閲の問題を扱ったのがとても懐かしい。
今わたしたちが当たり前のように享受している程度の言論の自由でさえ、全く保障されていない地域・国が現在も存在して、そしてこの日本で現在のような言論の自由が法に定義されてから百年とたっていない。言論を言論以外の手段で圧迫しにかかるような事態が生じたとき、どのようにそれに抗していくのか。そんなことを考えながら──とても面白く進むストーリーを楽しんでいる。

八日

受け持ち患者はそう多くないのだけれど、わさわさしているうちに過ぎていく時間...もちょっと勉強しよ。

九日

外勤日。車で一時間半くらいかかる県立病院の外来をやりに。
一般外来なので何でもあり。でもまだまだ自分が腎臓専門と胸を張って言う自信がないレベルなので、その方がむしろ気楽であったりはする。

帰ってきて歓迎会。──のはずが、病棟が忙しくて開始予定時間になっても誰も来ていなかったりする罠。医者の宴会ってそんなもんだけどね。

十日

日中多数の透析患者をさばいて、夜は翌日の総回診準備に追われる。夕食の用意までして、日付変わるくらいまで。

十一日

回診はこともなく終わる。
夕方の回診のあたりで状態の悪い患者さんがいるということで、結局挿管・人工呼吸管理へ。せっかく早く帰れそうだったんだけれどなぁ。

十二日

ちょっと手の空いたところで上の先生としゃべりながら。
「ウチのボスは6リッターエンジン積んでるからなぁ」って表現に思わずウけていたりした。

やっとそれなりの時間に帰れたので「Sicko」を鑑賞する。前作より悪ふざけ的表現は少なく、ドキュメンタリー映画的に。
質問者であり語り手であるマイケル・ムーア監督の立ち位置は、「米国流がスタンダード」という思いを基礎に持った位置にあるように思った。おそらくそれは監督がそう思っているというよりは、この映画を見る米国の人々の多数がそうである位置なのではないかな、と思った。観衆の疑問に答えられるように、いくつもの角度から質問を繰り返し、映像を別な角度から撮っているのではないかと思った。

十三日

日本一硬派なアニメオタク診断

Genesisさんの得点は、 39 点です。
ランク: D (A〜E)
偏差値: 45.6
順位: 6,413位 (10,334人中)
正解数: 2 (全25問中)

なんでこの手の診断に「正解」があるのかがやや謎ですが。総合評価が一般アニメファンというのは妥当なところかと思います。オタクとはいえないレベルだそうで。

十四日

「“文学少女”と神に臨む作家」(野村美月/ファミ通文庫)読了。“文学少女”シリーズ完結編。ヘタレの雰囲気ばりばりだった井上心葉くん、最終刊では“文学少年”に出世できたようで。佳作であったと思います。

十五日

日直。
外来はやや暇だったのだけれど、三時を過ぎる頃からどんどん受付してくる。救急車の依頼もぼつぼつきて、必死になってさばき。
あとで看護師さんに「淡々とさばいてましたねぇ」っていわれたけれど、そんな落ち着いたもんじゃあなかったけどなぁ。(集中はしてたけど)

十六日

外病院の外来へ。
祝日明けの火曜日ということで前回より来院が多い。中には内科にくるべきか悩むような患者さんも。

コミケットでまちおこし。‥‥ほんとに町おこしになるのか?

十七日

回診準備に追われる夜。晩飯出前してもらってみんなで透析室で食べて。‥‥毎週これ、ってのもねぇ。

十八日

総回診はこともなく。
夜はCKDについてのお勉強会。「腎臓専門医だけじゃ数が足りなくて対策しきれない」ってのが基本認識としてあるだけに、いかに非腎臓専門医に関心を持ってもらうかがキィ、ってあたりがなかなか難しいところで。

十九日

内シャントの手術が二件予定あり。人手がそれで取られている関係もあって透析室に入り浸り。
帰るのは比較的早かった。九時頃(ぉぃ) 帰って子ども寝かしつけてたらそのまま寝ついてしまった....

二十日

朝ちょっと病棟回りをして、その後買い物とか。
「天使のベースボール」(野村美月/ファミ通文庫)読了。ネタ的にはありきたりっていえばそうなのかもしれないが、好み。

二十一日

一般向けの医療福祉イベントの要員でかり出される。医療相談受ける担当、ってことだったんだけれど、結果的にはほとんど回って来ず。まず宣伝というか参加組織がまずかったんじゃないかなぁとかいろいろ思ったのだけれど、ヒマな間に「ヴァルプルギスの後悔 Fire1」(上遠野浩平/電撃文庫)が読めたのでまぁいいかとか。

午後本屋に行った間に「あの扉を越えて」(飯田雪子/X文庫WhiteHeart)を確保する。わたしはこの人好きなので復刊するのは喜ばしい限りなのだが、なぜいまさら復刊するのかちょっと謎。

二十二日

夜半に研修医の指導体制についての相談事。
大所帯になるほど役割分担も必要になり選択の余地も出てくる。それが故に逆に頭を悩ませる問題も発生してくるなと思ったり。
でもこんな相談を当事者の研修医いるところでは話せないってことで、遅い時間にこそこそ始めているあたりが何とも。

仕事中に院内PHSが鳴る。出てみるとボスからの電話。
「先生、今日何使って病院来た?」
「バイクですけれども」
「あーそうか。‥‥実は患者さんからお米をもらってね。30kgくらいあるけれど欲しいかい?」
「‥‥頂戴します」
後で聞いたらなんでも貰ったお米をえっちらおっちらご自分で医局まで持ってきたらしい。

二十三日

昨日のお米を車で拾いにいき。あとはアカチャンホンポでベビーチェアの買い物をして。

桜庭一樹割と気に入っていて、取りあえずGOSICKのシリーズを読んでいる。ハードカバーには手を出していないのだが、書店で早川文庫に入っていたのを見つけたときは思わず購入していた。‥‥偏愛、と呼ぶべきでしょうかねぇ。

二十四日

現在腎臓内科をローテート中の研修医諸君らは月末で配置替えとなる。そんなわけで深夜突発的に歓送会が。回診準備を一休みして透析室にて、ってあたりが何ともいえず。

二十五日

回診こなした後は割と穏やか。比較的早く──九時前に帰れた。

二十六日

とある患者さんのカルテ画面を開くと、名前の隣にプレゼントマーク。一瞬訝ったが、よくみると本日が誕生日。ムダっていえばムダな機能なんだけれど、こういうの、好き。

二十七日

朝一番で患者さんの様子を見に病院行って、そのあとお買い物とか。
お子様連れて遊びに、ってのはけっこう難しくて、機嫌を損ねると公衆の面前で大泣き始めて非常に精神的に疲れたりする。大して買わなくても、店を連れ回す程度ならば疲れない、ってのが実情。

二十八日

下の子どもの活動性が徐々に上がってきており。ハイハイだけだったのがつかまり立ちしているし、食べ物やら何やらに手を出すようになったので食事の際も動向が要注意になっている。もうちょっと自分である程度できるようになると楽なんだが。

二十九日

研修医諸君らの配置替えを控えて、引き継ぎサマリやらの記載のチェック。サマリ記載見ながら抜けている検査を思い出したりする。──いまさら、ってなるんだが。

三十日

週に一度の外勤。
最初の頃にカルテ見ながら「この人なんか癌でも抱えてるのでは」と思った人が、今日カルテ見たら癌見つかっていた....。予想的中と素直に喜べない結末、であったりする。


Written by Genesis
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