歳時記(diary):六月の項

一日

システム変更があるということで院内がざわついている日。
患者さん相手の仕事はな〜んも変わらないのだけれど。そう割り切るのも難しくはあるのだが。

二日

ふとネット巡りしてたら、腎臓学会のプログラムがいつの間にか肝臓学会のプログラムに化けている
ページ置いている会社はどうも学会の運営なんかの取り仕切りを業務内容の一つにしているらしく。使い回ししているんだろうなあ。

夜は再びgnuplotでグラフ描き。さて、描けたはよいが‥‥

三日

都内で会議。行き帰りの車中で「リリアとトレイズ イクストーヴァの一番長い日」「学校を出よう!(6)」を読む。‥‥途中で両方読み終えてしまってリリアとトレイズを読み直したりしたが。

四日

kiss meねぇ‥‥。知ったのは天下のSankei Webに記事が載ったということから。
旗にせよ、歌にせよ、敬うひとは敬えばいいし、軽視するひとは軽視していればいい。ただ、それをお互いに押しつけ合わないってのは最低限必要なことじゃないかと思うし、一方で他人が敬意を捧げるのを邪魔してもいけないと思う。
「国歌斉唱」の時に、礼儀正しい沈黙を捧げる自由があって欲しいと思う。

五日

午後四時半過ぎ。診療所の事務長さんから電話がかかる。「以前ご相談した火曜日来ていただく件なんですが、明日からお願いします〜」
‥‥いきなり明日からですか。しかも連絡来たのはもう終業時間近くですか。六月入ったあたりからお願いしたいとの前振りはあったにせよ。
予定はもちっと早めに伝えて欲しいなとか。

六日

朝より診療所へ。
透析診療所なんだけど朝一から調子悪くて紹介になる患者さんが発生。所長先生はそっちの対応とか今日中に紹介状書かないといけない別件の患者さんのことでばたばたしており。「先生来てくれててよかったわぁ」とか喜ばれてもいいんだか悪いんだか。

終わって病院戻ると三時過ぎで、自分が外来診ている患者さんの入院受け持ったりなんだりかんだり。午後四時から七時までの間に院内PHSの着信は17件を数えた。
とどめは外科の緊急手術のあとのPMX-DHP(エンドトキシン吸着療法)が一晩で二件。一件終わって帰りかけたところで「いまから緊急オペするから‥‥」って連絡入るというのはなかなかの荒れ方かと。
手術する外科の先生もお疲れさま、なのだけれど。

七日

結局夜更けに食事するために家に帰っただけで病院にとんぼ返りして泊りになる。
ちょっと寝不足で仕事して、夜の準夜透析当番まで勤めて‥‥手術後に心不全になった患者さんの緊急透析を回す。(死)
連夜の緊急透析に「いやぁ、これで緊急透析対応は安泰だねぇ」とかって外科の先生ににこにこ言われてもあんまり嬉しくなかったり。

八日

連日日付変わってから帰ってますが、今夜は当直。勤務医なんてこんなもの〜(自棄)

九日

外来は予約外来なのだけれど、予約無しの外来の先生から相談が入る。「腎不全の患者さんみたいなんですが‥‥」と。検査結果見るとかなり悪い。
数として多いのは、これまで気がつかれていなかっただけで慢性に進行してきている腎不全の患者さんなのだけれど、話聞く限りでは急性の腎不全。久しぶりで緊急腎生検しないといけないかも。
でもまず入院を承諾してもらうのに苦労する。痛くならないと治療を受けたがらない患者ってのは少なからずいて。仕事とか生活とか、あるしね。

十日

紙切り一年戦争。これだけの名人芸が永遠でないのが惜しまれる。

土曜日の回診はやっぱり多忙。ひぃひぃいいつつ。

十一日

新しいお家は若葉萌え出ずる季節を迎え、ますます薮の中に立つ様相を強めつつあり。草刈りとか剪定とか樹木の間引きなんかの計画を立てている今日この頃。午前中は雨ということもあって玄関先だけ草刈りしたけれどそれだけでもたっぷりゴミ袋に二杯分、刈った。
その後買い物してからsharminの未来人さん生誕記念祭へ。久しぶりに秋葉原行きましたが‥‥以前は食事なんかできる街じゃなかったんですが、変わりましたねぇ...びっくりしました。
例によって周囲が多分ついてこれない濃ゆい会話を堪能して、帰宅。行き帰りで「銀河英雄伝説」(田中芳樹/徳間デュアル文庫)の七巻と「サマー/タイム/トラベラー」を読了。

十二日

一つの外来透析施設で、年間大体5%位の患者さんがお亡くなりになっていくと言う。百人を管理している施設で年に五人くらい。当院透析室ではやや比率は低いが、それでも3%程度は死亡患者さんが出ていると思われる。
とはいえ、数日前まで元気にしていた方が急に調子悪くなってあっというまにお亡くなりになったりすると、やっぱり凹みますな‥‥。

十三日

受け持ちが日々増加中。最近では病棟以外の仕事も多いから多忙感が強く。
おかげでえらく帰りが遅くなる。

十四日

先日入院を承諾してもらった人の病態がなかなか掴めず。イロイロ検査を出して文献漁って。まだ若いからなんとか診断はつけないと‥‥。

十五日

わりと早めに帰れた日。
Walking Tour。前にも見たことがあったけれど、BGMがプラネテスとは。本元のバージョンとあまり変わらない雰囲気と思う。

十六日

帰り際、医局で巨人戦チケットをもらってしまう。なんでも後輩が、受け持った患者さんから貰ってしまったようで。
ウチの病院の規定としては付け届けは全面お断りなのだが実際には断り切れないことも多く。お金は病院への寄付として赤字補填に(ぉ 使えるのだが食べ物などはそういうわけにも行かない。賄賂っぽい性質を帯びていると思えば力いっぱい断るのだが正直に感謝の気持ち、と思うと断るばかりが正しいとも思えず。
まぁ、付け届けするしないで患者の診かたが変わるような医者はだいたいロクでもないと思っていいんじゃないかと。技術者としての腕はともかく、人格/品格はね。正規の報酬は診療報酬という形で貰っているわけだから、

十七日

薄曇りの天気。夜から雨の予報ということで、草刈り・枝打ち。鉈なんぞ振り回して枝落としするのは久しぶりか。
夜は近くで蛍が見られる場所があるということで見に行くつもりにしていたのだけれど‥‥出がけにぽつぽつ雨が降り始める。かろうじて一つ二つ光る蛍をみたのでそれで撤退してきた。

名前言うとしばしば女の子と間違われるウチの息子。本日お会いしたオグマさんにも間違われた様子で。でも名前お伝えした記憶がないのだが‥‥。
ちなみに服は彼の従兄からのお下がりが多く、青とか白とかが中心。間違いやすいとも思えないのだが。

十八日

降っては止みのぐずついた天気。すき間をついて草刈り。
草刈ったあとをほっとけばまた生えてくるのは予想できるので、何か手を打とうかと思ったのだけれど、園芸趣味の母親に相談したら砂利まいたりしてもやっぱり生えてくるし労力もかかるし、時々刈るのが結局一番手間が少ないのではないかという結論に。他の案としては踏み固めて生えにくくする案も出たのだが、普段通るところ以外は難しいしね。除草剤は一応論外ということで。

「ゆきのはなふる」(わかつきめぐみ/白泉社)読了。全くの新作は一作だけで他は再掲とか。でも気に入ったのでよしとする。

十九日

朝行きがけに小学校の隣を通るのだが、今朝は遠足行きとおぼしい小学生集団が先生の引率で信号を渡っていた。
‥‥でも、もう黄色になっている信号を無理やり渡るのはどうかと思うんですけど。「黄色は急げ、赤は突っ込め」って人がいるのは否定しないけれど、せめて学校活動では建前通りにして欲しいなと思ったり。

二十日

朝から診療所へ。
先日のような荒れかたはせず、まあ普段通りで。
終わって帰ってしばらくすると当直。はぁ‥‥。

二十一日

そろそろ学会発表の準備を急がねばならず。だいたい調べ事は終わっているのだけれど、それをまとめて発表原稿をきっちり作らないといけない。十年前だったらPCも普及していなかったし、これだけのんびりしたペースではやっていられなかっただろうけれど。
とはいえ、締め切りが後ろに延びた分作業のテンポがゆっくりになっただけのような気はする。最後の追い込みで何とかしていることばかり。

二十二日

仕事終わったあとでPowerPointとかExcelとかいじりながら発表資料をつくる。
形式はポスターセッションということで、一枚の紙にポスター印刷できるとかっこいいなぁという思いはあるもののそのために高いアプリケーション買う気にはならず。PowerPointでスライドを作る要領で作って張り出す形式とする。
最後に喋る内容を文章にまとめたころには日付が変わっていた。

二十三日

日本透析医学会学術集会。夕方のポスターセッションのために朝一から出る。
もうひとり看護師さんが発表をするのだけれど、勤務シフトの関係でポスターの受付締め切り時間迄に会場に来られないということで二人分持って横浜へ。ひとりで黙々とポスター張っていたのだけれど、なんでこうポスターセッション用の掲示板って押しピンが簡単に通らないくらい硬いんでしょうね。指が痛くなるじゃないか。

首尾よく発表終えたあとは職場の人々とそろって中華街へ。大ボスの意向で聘珍樓へ。美味しかったんですが払いもかなりのものになり。お土産に買った江戸清の豚まんの方が口に合ったんじゃないかとか(滅)

二十四日

ここんとこ土曜日はいろいろ起きるパターンが多かったので身構えていたのだがそれほどでもなく。ただまぁなにせ入院患者さんが多い。業務終了すると八時超えるんだもの‥‥。

二十五日

義弟に頼んで庭木の剪定。漆と思われる二本を切り倒して椋榎(と義弟は言っていた)の大枝を切り落とし。これでずいぶん庭が明るくなった感じ。
あとは山桜も少し枝を落として、ネズミモチも伐採予定。金柑も数を減らしてドクダミもできるだけ引っこ抜いて‥‥。
なんか園芸をルーチンワークにしなければいけなくなる悪寒予感がする今日この頃。

椋榎って知らなかったのでぐぐってみたら、ニレ科の椋の木の別名らしい。実は食用になるとのこと。──早まったか。(笑)
かなりの大木になるらしいので枝を落とすのもやむを得ないと思うが。

二十六日

「手斧」を「ちょうな」とは一応読めますが、普通の文中に「手斧」って書いてあったら「ておの」って読むと思う‥‥>自分。やっぱり消毒ですか?

二十七日

同期の某が急に予定が入ったとかで本日当直。
今夜は緊急手術が大はやりで。盲腸とか腸閉塞とか盲腸とかで計三件。外科が緊急手術すると腎臓科が血液浄化をやることになるわけで。ふっ‥‥。

二十八日

ICUでPMX-DHPが終わってCHFが始まり、さて一眠りしておくかと寝ついたあたり。急変で叩き起こされる。患者さんまだ若くて諦めるのはまだ早いっていろいろやったんだけれどうまく行かず。
病気があるから入院している、とはいえ、必ずしも全員が命の危険にさらされているわけじゃない。ある意味ほんとの急変、という感じで驚いたというか呆然としたというか。

そーやってへばって帰れば、赤ん坊がなかなか眠らず母親を消耗させている。「自分がやる」とか宣言して日付も変わろうかという時間から子供をあやして寝かしつけて。はぁ。わりとあっさり子供が寝ついたのがまだ幸運か。

二十九日

「『uuencodeされた本』ってあってねぇ‥‥」
「それって読めないじゃないですか」
打てば響くように答えてくれる後輩(♀)を持ったわたしって倖せなんでしょうか(謎爆)

uuencodeって何?って方はこちら参照。
uuencodeがそのまま読めちゃう人外な方は掲示板にでもお名乗りを。(笑)

三十日

プチ急変というか、予想外の事態にあわてる一日。フォローアップでばたばた。
まぁ"Trouble is my business"というか、健康の危機管理対応が仕事だしね‥‥。何事もない方がお互い幸せではあるのですが。


Written by Genesis
感想等は、掲示板かsoh@tama.or.jpまで。リンクはご自由に。

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