歳時記(diary):五月の項

一日

昼過ぎ、ひとり入院が入る。
前入院してたときにすでに維持透析導入してもいいレベルだったのに退院。今回もようやっと入院は同意したものの「透析はもうちょっと待ってくれ」
からだが待ってくれないよと説得するのに一時間。どうやら苦しいのに我慢ができなくなった様子で、そのあと透析を始めるまでがてんやわんや。始まって一息ついたら「やっぱり先生が言った通りだったなぁ、こんなことだったら早く始めとくんだった」って。だからあれほど(ry
イロイロな意味で、疲れる一日。

二日

相方が里帰りから帰ってくる。
子どものいる生活ってきっとリズムとかいろいろ違うんだろうな〜。

三日

まりたん集中ドリル」ですか‥‥。コレを買い込んで勉強する受験生とかでないだろうかとちょっと心配になってみる。CDまでつくあたりのバカバカしさはけして嫌いではないですが、ええ。

野球で「内野でも外野でも水準以上のプレーができるけど、キャッチャーだけは苦手」って選手を、果たして常識的な選手と呼べるのだろうか?>誰となく

子どもの写真みてたら相方が「これパタリロ笑いでしょ〜」って。
いやわたしパタリロの漫画読んだことありませんが。辛うじてイメージできる程度。

四日

午前中で買い物とか済ませて、午後ちょっと病院へ顔を出す。
オーダーシステムの画面を開いたらとある患者さんのところで朱地に黒のやたら目立つレイアウトでメモが記入されており。内容は急ぎの連絡だったのだけれど。
レイアウトがすでに心臓に悪い、とか思ってみたり、した。

五日

なんとなく、本棚から以前買った同人誌をひっぱりだしていくつか読む。
中には読み損ねてたものもあったけれど、おおむねは再読で。少しのんびりした時間を過ごした。
ホントはONEのリプレイとかしたかったんだけど子どもの世話しながらは無理だったというのが事実であったり(滅)

六日

朝一でホルモン負荷試験やる予定〜と思って行ったら「すいません、延期にしました」って研修医くんが。早く言ってくれよぉ‥‥。
ま、朝っぱらから元気に泣く子どもに叩き起こされているので医局のソファの方がよく眠れたかも(爆)

「サマー/タイム/トラベラー」(新城カズマ/ハヤカワ文庫)を読み出している。始めの方でタイムトラベルSFのタイトルがあれこれ紹介されており。いくつか読んでみようかな。海外のものってあんまり読んでないから。「ゲイルズバーグの春を愛す」と「ジェニーの肖像」くらいかな?

七日

わたしの両親と祖母に子どものお披露目。祖母にとっては曾孫になるか。
さすがに四人目ともなると慣れたものという感じが。なにしろウチの兄妹は三人そろって同じ年に結婚という親孝行なんだか親不孝なんだかよくわからない歴史がある。とーぜん子どもが産まれる時期もそろってしまうわけで。

八日

考えてみればその通りです>S.B.さん。というわけで、六日の記述は「タイムトラベルを扱った小説」とでも書くべきでしょうかね。

九日

午後、透析用ダブルルーメン挿入を二人続けて。
んーと、ムチャ疲れました。刺しものはやっぱり神経使います。

十日

まだ人にものを教えられるだけの蓄積があるとは思っていないのだけれど、気がつけば”指導医”的な立場に立たされ始めている。
指導する側・される側ってのは必ずしも固定的なものではなくて、研修医が勉強してきたことを教わることもあるのだけれど、全体としては先輩の側・専門家の側が教える立場になることが多い。
ひとにものを教えて、それで自分が偉くなったような錯覚に陥らないようにしないと、と最近強く思う。

十一日

夜から当直。
外来当直研修中の先生のバックアップも務める。要領の悪さとか感じるけれど、どこまでは指導で直していくべきで、どこまでは自分で会得していくべきでしょうね‥‥。
悪い意味ではないのだけれど、自分が身につけているやり方にこだわってしまうと、新しい手法を受け入れられなくなるしね。(それがよいものと頭でわかっていても)

十二日

職員食堂で昼飯を食べていると、冷静沈着ちょっとキビしめで知られる某先生が昼飯をトレイにのせてやってきて話しかけてくる。
なんか仕事でも押し付けられる頼まれるのかっ?と身構えていたら「ソフトクリームいっしょにたべない?」って。
当院職員食堂にて、現在ソフトクリームが食券一枚で三個買えるキャンペーン中。試してみたかったらしくお仲間募集中であったらしい。もう一人看護婦さんと一緒に堪能しましたが。

十三日

日中妹が子どもを見に来る。‥‥そういう妹が実は臨月だったりして(滅) 大丈夫なものなのか?まぁ別に産気づいたりはしてないが‥‥。

夜、ちょっと病院へ行って資料作り。一区切りつけて帰りかけたところに緊急透析の依頼電話。──あと十分早ければトンボ帰りせずに済んだのになぁ‥‥。

十四日

Finkを起動してgnuplotをインストール。TeXでレジメ作り環境が徐々に進んでいる‥‥。
次の学会はポスターセッションで発表なのだが、PowerPointでポスター作るのも面白くないのでなんかいいツールないものかしら。(高価いソフトは却下ということで)

十五日

「サマー/タイム/トラベラー1」読了。2は途中。
どこにあるかわからない辺里市は、なんとなく青梅とか大月とかのイメージ。わたしが好きな、「夏」の物語。
読みながら青梅の喫茶店「夏への扉」を思い出していた。

十六日

当直の合間にgnuplot。とりあえずset xdata time〜set timefmt〜set style data lpとかして時系列のグラフを書いてみる。この自由度の高さはなかなか面白そうではある。

十七日

CPCの発表資料作らなきゃ‥‥と思いつつ眠さに負けてあまり進まず。
明日一日でなんとかせねば‥‥。
ここに至るも過去のカルテが全部届いていないという罠。過去の病歴調べようにもこれでは....。

十八日

一回家に帰って晩飯食べて子ども風呂に入れて‥‥それから病院へ取って返す。
TexShopを使ってgnuplotで描いたグラフを文書に挿入するところで悪戦苦闘。EPSにしてもPNGにしてもうまく画像が文書中に挿入されない。果てはktermからplatex〜dvipdfmxまで試してみたがやっぱりうまくいかず。(このときにはdviファイルまではうまくできたようだったがそこからプリントアウトできずに挫折)
やむなく原始的に切り貼り対応。次こそはっ。

十九日

CPCはなんとか無事に終了。
噂によると中堅どころの先生方の飲み会の予定があって巻きが入ったとかなんとか(ぉぃ

二十日

土曜日で手が少ないところに限ってどうしてこうアレコレと小トラブルに手を取られるかなぁ。大事は少なかったにせよ。
夜は当直。未明の吐血の患者さんは消化器科呼び出しでの緊急内視鏡の顛末に。迷うまでもなかったか‥‥。

二十一日

明けてふらふら家に帰って一眠り。これができるというのが土曜日当直の醍醐味(違)。
プラネテス」アニメ7巻を視聴。木星往還船乗組員選考試験篇のあたり。
何をも蹴り倒して目標まで一途に突っ走る、それはその過程で生じるあれこれの犠牲を省みないという点できっと傍迷惑なものなんだろうと思うのだけれど──そうやって突っ走ったたくさんの人がいて目標まで届いた僅かな人たちがいて、そしてわたしたちはその果実を得て今を生きている、と思う。
ハチマキは目標まで、どのようにして届かせるのか。目が離せない。

二十二日

少し早く帰って「プラネテス」アニメ7巻を最後まで。
「冷たい方程式」ってネタがある。簡単に言えば、宇宙船の中にひとが二人、酸素は一人分、二人はどうやって生き抜くのか、というシチューエーション。どちらかが犠牲になれば、どちらかは助かる。または、酸素の量を増やすか、ひとが消費する酸素量を減らすか。
いきなりふたりが殺し合い始めるってのはストーリーとして今一つ、と思うのだけれど(「バトル・ロワイアル」って考えてみるとこういう話か)、殺さず生き残る術を探る、というのはしんどくて大変な作業なのだろうとは思う。

二十三日

女性の医師が仕事を続けていく上で、妊娠・出産は大きな問題となる。その後の育児も含めて、仕事との折り合いをつけていかなければならない。
「妊娠出産の期間はけしてロスではないし、キャリアとして生きる」と小児科の先生が言っていたのを聞いたこともあるのだけれど。純粋に医師としての技量をあげるためだけで考えれば、どうしたって現場を離れなければならない期間があることはハンディになるのだと思う。
けれど、現場を離れて出産を経験し、育児を経験することは、人間としての経験値を大きく上げることなのかもしれないと最近思うようになった。わたし自身はそれほどきっちりやっていない落第親父だろうけれども、それでも子どもを見ていることで得られたものは、かたちに表しにくいけれども某か、あると思う。

二十四日

落ち着いてるかな〜と思っていると透析中に不整脈を出してきたり。
最近心臓の検査する患者さん多いですね〜と看護師さんに言われたけれど。リスク高いひとが多いからねぇ‥‥。

二十五日

夜、新入職の医師・腎臓グループ所属医師の歓迎会。
酒好きな某先生「入院中の夕食にお酒をつけてもいいよなぁ」って。寝酒で寝つくのと睡眠剤とどっちがいいとか怪説を。
‥‥調べてみると「ヘタにお酒を飲んで寝つこうとするとお酒の興奮作用や却って眠りが浅くなるとか副作用が大きいので依存症になったりする」と書いてあったりするんだが。

二十六日

外来。前に比べると大分速度が上がった気がする。それでもけして早くはないが。

二十七日

「少女探偵金田一」(あさりよしとお)読了。うーんやっぱりあさりよしとおだなぁ。

夜は病棟の歓送迎会。しっかり喰って、騒いで帰ってくる。

二十八日

午後、妹夫婦のところへ、姪の顔を見に。
家の一角にパラグアイの国旗が飾ってあり。まぁこいつら出会ったのはパラグアイだったしな。
面白いと思ったのは表と裏が違うということ。何でも他に例がないとかなんとか。基本は赤・白・青の三色の横帯なのだけれど、表と裏にそれぞれ違った紋章が描かれるために表裏が違うとのこと。世界は広いねぇ。

二十九日

庭木が夏を控えて鬱蒼と繁り始めている。ヤブカもひそみ始めているらしく。早いところ切らないとなぁとは思いつつ、夜も更けてから帰る日々では庭掃除もままならず。
せめて近所迷惑にはならないようにしないといけないのだが。

三十日

当直の夜はヒマを見つけては寝ることにしている。寝ないと持たない体、と自覚してのことだが。もうちょっと寝ないでも持つ体だとイロイロできるだろうなと思ったりはするのだけれど、仕方なかろう。

三十一日

当直明け。──ほとんど呼ばれず、普通に目覚める。これだったらちょっと夜更かしして別な仕事してもよかったかなとか。
そう思って別な仕事してると寝れなかったりはするのだけれど。


Written by Genesis
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