歳時記(diary):四月の項

一日

午前中往診すると‥‥呼吸状態の悪い人が。説得して入院させて、帰ると重症対応をあれこれ。
敗血症の透析患者さんに夜通し長時間持続透析の施行をすることに。何かあればすぐ呼ぶ、ということにして、医局で待機。──病院に二泊三日は初めてかも。

二日

午前午後と透析当番。数も多くて症度も高いとなかなか面倒な状況。
終わってやれやれと思ったあたりで急変。対応手伝って、落ち着いたあたりで紹介状書いたりして。帰ると日付が変わってたり。うーむ。

三日

ポリティカルコンパス。結果はといえば。

判定結果は下記の通りです。
政治的な右・左度(保守・リベラル度)
-2.08
経済的な右・左度(市場信頼派・政府介入派)
-4.09

@niftyのTTYフォーラムが終了して、全面的にWebフォーラムに移行、ということで、いきつけていたフォーラムもWebフォーラム化している。
実はこれで、ようやくClassic環境を必要とするアプリケーションが不要になる。最後まで残っていたのが魔法のナイフ──ログカッターだったりしていた。
これまで柊+魔法のナイフ+桜という環境でTTYフォーラム閲覧をしていたのだけれど、Webフォーラム化を機会にWebForumPromeneurを試用している。まだうまく発言が登録できていないけれど、とりあえず読むのは大丈夫。

四日

週明け〜。重症抱えて右往左往という感じで。
病態の解析に悩むような重症は、治療方針すら立てるのに難渋してしまって、立てた方針も正しいのかどうか気になったりする。自信持って対応できるようになるのはいつのことやら。

んで、えらく遅くに帰宅。メルティブラッド アクト・カデンツァもやってみたいなとか思ってはいるのだけれど。

五日

余裕なくなると時事ネタ仕入れる暇もなくなって、結果日記の内容はえらく淋しくなるわけで。
個人情報保護法やら守秘義務やらで、患者さんの話題は出さない方がいいかな〜と思うようになってるし。(失敗談は‥‥内輪ではともかくPublic Spaceでは書けないしね)

六日

直明け。一緒にやってた先生に「呼ばれなかったね」と労われるくらい。

お休みの先生も多くて少し身構えていたのだけれど、無事に済んで何より。

七日

クレイムの多い患者さん対応でなんか疲れていた気がする。
患者様はお客様、ということならば、できる限りの対応をするべきなのかもしれないけれど、人的物的時間的にムリ、ということってあると思う。それをかなえようとすれば、他の患者様にしわ寄せしないといけなくなりそうなことも。能う限り最高の仕事、ってたいへん。

夜、調子の悪い方が急変。お看取りする。
入退院繰り返している方で、今回わたしは初めて受け持ったのだけれど、他の先生だったら治せたのかなぁ、と、自信をなくしてみたりする。
帰り道に夜桜を眺めて、少し気持ちを休めて。

八日

往診。道すがら桜並木を眺め。満開だぁ。
数も少なくて早めに終わったので、昨日亡くなった患者様の剖検に。病理解剖。ある程度謎が解けたので、お願いしてよかったかなと思う。結果をご遺族にお伝えして、お見送りした。

九日

桜眺めながら駅へ出て、都内へ。時間が余ったすきに「壊れた脳 生存する知」(山田規畝子/講談社)読了。
「もやもや病」という病気──余談だが、欧米でも日本語で通用している病気というと「Kawasaki Disease」「Hashimoto Disease」「Moyamoya Disease」「Takayasu arthritis」などがあるらしい──のため、繰り返し脳血管障害を患った著者からみた「高次脳機能障害」の様子をつづった本、ということになるだろうか。
医師として働いていた著者自身が障碍を持ち、苦労する中で実感したことがまとめられていて、医学的なところが却ってわたしには分かりやすかった。

作中で何度も触れられているのが、「目で見てわからない障碍」たとえば計算を間違えるとか、方向の感覚がなくなるといった障碍に対して理解が乏しいという現実である。わたしはむしろ、障碍というもの全般を理解する感覚に乏しいという気がしている。単に段差を無くせばバリアフリーではないし、バリアフリーのため設けられた点字ブロックにつまづく人がいる、という現実があったりする。突き詰めて言えば障碍に対する想像力というか考察というか、「何が一番必要か」という分析が足りないのではないかと思った。
三度目の出血の際に言語障害も患っているけれども、どこにどんな障碍をもつよりコミュニケーションの障碍は患者と回りの人々とを隔ててしまう気がする。意味のわからないことばを聞く方、いくら語っても理解してもらえない方、どちらも辛い思いを抱く。そういったところもうかがうことができた。

夜はコミケット救護室仲間で「迷宮の国のアリス」。お店はやや狭かったのだけれど雰囲気とお料理はなかなかのもので。たくさん出てきたので少々ギブアップ気味‥‥。
帰りがけには「ミナミノミナミノ」(秋山瑞人/電撃文庫)を読む。まだプロローグ、だろうか。

十日

日中ちょろっと街歩き。桜が満開の中を歩いて、それから当直へ。
病院へ向けて自転車を走らせていたら「厨房が乗っています」「2ちゃんねらが乗ってます」なんてステッカーを張った車が通りすぎる。──AAつきですかそうですか。
ぐぐってみると車板の作品かな?

夜から当直。なんか交代したあたりから患者様が引きも切らず。
腹痛・下痢というふれこみの若い女性は結局陣痛だったなんてとんでもないどんでん返しがあり。「生理が不順だったので‥‥」って、気づかないものなんでしょうかねぇ>妊娠 あとで無事生まれたようで何より。

十一日

アル中相手で夜が明けて〜(涙)
酔いつぶれてクダ巻いてる女の子。なんかさんざん恋の悩みを語っていたが.....。

日中は割と普通に忙しく。少しは早く帰れてやれやれ。

十二日

救急外来と一般外来の違い、というと。
時間外もやっているのが救急外来。重症でも対応できるのが救急外来。迅速な対応が可能なのが救急外来。という感じだろうか。もちろん、待たせられる患者様は容赦なく待たせることもある。なにしろ重症優先‥‥。
一般外来で対応しきれないほど重症だったり厳重な観察が必要だったりすると救急に回されてくることもある。午後の救急外来はそんな人が幾人か。今はわたしも偉くなったので(違)、現在の仕事は研修医のバックアップ。診療レベルとしてはひとりでしっかり患者さんに対応できるレベルなのだけれど、数が増えるとたいへんそうだった。それでもあえて手助けせずにヘルプがかかるのを待ってみたり(鬼)。

十三日

一般外来で逸般的な疾患をあれこれ診るのってどうよ。(炸裂)
大病院の専門外来はもちろん多種多様で珍しい病気の患者様を多数みているけれど、その多くは大病院に紹介されていった結果そうなったわけで、病気の発病の時からその外来でみているわけではないことが多い。
最初にかかるのは開業医であったり手近な病院の外来であったりするわけで。これまで特に診断を受けていない、言い換えれば何があるかわからない患者様に対応するのは面白くもありたいへんでもあり。

十四日

夜はまた当直〜。
この夜は外来当直だったのだけれど、病棟からのコールが圧倒的に多く。外来で自分が診たのは四人、病棟からのコール多数。
緊急透析に看取りと、寝られない夜になってしまった。

十五日

朝方何とか少し寝て、往診へ。
患者様宅へうかがったらケアマネージャーがおり‥‥「患者様の紹介状です」って、なんで別な患者さんの紹介状を持ってくるかね。 自分一人でやってる開業医ならはいはいって受け取りますが、あたしゃ一介の勤務医ですが。筋としたら往診の事務所へ話を通すべきでしょうが。
なにかわたしのことをえらく気に入っていただいたようで「ぜひ先生に往診お願いしたいんですが」と言われても、ね。うれしいやら迷惑やら、複雑な気分。

十六日

透析当番にて出勤。
患者様はけして多くないのだけれど、それぞれに病態やら何やらが複雑で面倒。休みを取る関係もあっていろいろと先読みして仕事をしていく。
先読みが当たらないことも多いから余計辛いんだけど。

夜から京都へ。新幹線の車中で「復活の地」の再読。──いろいろ考える。

十七日

朝からイノダコーヒにて朝食。セミナーに行く相方と分かれた後、ひとりでふらふら八坂神社へ。素戔嗚尊を祀るという由緒ある社だけれども、行ったときにはたまたま婚礼が行われていたようで、綺麗に着飾った花嫁さんが歩く姿が拝めた。
あと面白いと思ったのは悪王子社。素戔嗚尊の荒魂を祀るという神社。荒魂と和魂があるのは知っていたけれども、それを分けて祀るという祀り方は興味深い。

そのあと高台寺を回って、六道珍皇寺へ。小野篁ゆかりの寺で、昔の葬場鳥辺野近く。日は明るく照っていたのだけれども何だか境内はしん、としていて、これ幸いとゆっくり座って本を読んで。
それから六波羅蜜寺をまわって、四条烏丸へ戻ると三時を回っていたりする。

夜の宿は吉野の竹林院。庭の桜のライトアップがとても綺麗。

十八日

朝起きするとやおら吉野の山を登り出す。道々桜を愛でながら山登りすること数十分、吉野水分神社まで登る。本当はもう少し上まで行きたかったのだけれど、時間もないということで元きた道を戻って、宿へ戻って朝食。
空気も清々しいし、わりと朝の花見はよいかもしれず。

チェックアウトの後は山を下って電車に乗り、法隆寺へ。
奈良見物のコースを組もうとすると一つはずれたところにある感じで組み込みにくくて、実はこれまで行ったことがなかった。駅前で自転車を借りて十数分で南大門に到着。
南大門のところで斑鳩の里 観光ボランティアの人に声をかけられる。無料でガイドしてもらえるということでお願いしたら、まぁ面白い。見どころがいろいろ出てきて飽きない話がたくさん。
一時間半くらい、といって案内してもらったのだけれど、半日くらいかけないと全部は語れないとのことで。法隆寺見物は時間をとってするべきものらしい。

十九日

休暇中はこともなかったようでよかったよかった。

つぎつぎ患者さんが退院すると‥‥サマリ書くと仕事が少なくなったりして(爆)。そんなときに密度濃く短時間で仕事できるわけではないあたりがダメさを示している気がする。

二十日

夜、小宴会。なんだか巨体系な同僚たち(一部で相撲部とかよばれているらしく(ぉ)とかに伍して食べまくっていた気が。

二十一日

夜、当直。
結局お呼びがかかったのは引き継ぎ間際の一件だけ‥‥まぁこういうのもいいか。
空き時間にこわれかのんとか読めたし(ぉぉぉ

二十二日

「巌頭の感」を初めて知ったのはさだまさしのアルバム「夢の吹く頃」収録の「理・不・尽」のライナーノートで、だったと思う。曲名に引きずられてか、「曰く、不可解」という名台詞が「理不尽」に記憶の中で置き変わっていたりはしたが。
初めて「理・不・尽」を聴いたのが中学生の時。はじめは何せアルバムを買うお金なんてなかったから、初めて買った「夢の吹く頃」は何度も聴いた。だから、そんなに好きな歌じゃなかった「理・不・尽」もしっかり記憶に残っていたし、そのせいで後になって印象深い歌になってきた。
ほんのしばらくでも、抱えた重荷を降ろして休めたなら、人は活力を取り戻せるのかもしれない、と、「理・不・尽」を聴きながら思う。

二十三日

相方に恨まれながら休日出勤。赦せ。
入院治療って患者の同意がないと進まないので、時に「帰る」「まだだめだ」みたいなやり取りをしないといけない。患者の同意がないまま入院させられるのは法律では精神科での措置入院や医療保護入院なんかだけ、だろうと思う。

夜、「AIR」のセットアップ。ちょっと前にStandard Editionを買ってあったのだけれど、自宅のWin98マシンがDVDの読み込みに対応していなかったという罠にはまり(核爆)。
しょーがないのでDVDドライブのあるiBookのWindows共有を設定してWin98からファイルが読めるようにし、それでもマウントしてあるDVD-ROMは読めないので、ディスクの内容をすべてユーザー領域にコピーしてWin98から参照するとようやく読めた。
あとはsetup.exeを起動して全部のファイルをコピーするように設定してやって‥‥見事起動。
Win98マシンの残りディスクが200MBくらいになってますけどね。(爆)

二十四日

ぽやーっとして過ごす。
「星界の戦旗 III・IV」を読んだり、「モノクローム・ガーデン 3」を買ったり。

夜は「AIR」。あんまり進まない。一日のイベント多い?
比べる対象が「ONE」しかないんですけどね。Kanon?──なんとなくパスしてます。二次創作読むだけで満足してしまった。(死)

二十五日

落ち着かないままにあれこれ手を動かしてたら終わってしまった。

心臓カテーテル目的入院の透析患者さんにご挨拶したら、開口一番「穿刺うまくなった?」ふん、どーせヘタクソですよーだ。

二十六日

朝から骨髄穿刺。それほど頻繁にある検査ではないので新人の医者やら看護師やらが見学に来ているのがそれとなくプレッシャーだったり。
検査自体は無事終わったけれど、やっぱりもたつきがでてしまったり。かっこいい先輩への道のりは遠い。

午後来た患者さんは治療開始の甲斐もなくその日のうちに看取り。
もーちょっといろいろできなかったかなぁと反省したりする。

二十七日

午前中外来。比較的落ち着いているのはやはり気候のせいだろうか。
検査後診察、と指示していた患者さん、診察室に入ってきて「検査していただいたら、『よくこんな血管でこれまで我慢していましたね』とねぎらわれました」とのご報告。あの、それ絶対褒めてませんから(炸裂)。

午後は病棟みて歩く。そしたら他の科からPMX-DHPの実施依頼。かくしてまたもや夜半までICUで透析を診ている羽目におちいる。連続午前様は堪える‥‥。

二十八日

昼過ぎに入院になった患者さん、貧血が進んでいることがわかって緊急内視鏡〜緊急輸血&透析のコンボ。そっちを診ながら外来当直では若い方の心膜炎を見つけてみたり。
‥‥んで、また夜半過ぎまでICUにて透析。ああ人間らしい生活をしたい‥‥(^^;
しかし、当直でもないのに一緒に仕事をしている同僚が複数名ってあたりも(以下略)

二十九日

毎日新聞の題字が緑色になっているのをみてああ今日はみどりの日だったと気づくお馬鹿‥‥。

透析当番ということで休日出勤。サテライトの透析クリニックの回診をする。夜間透析もあるのでそこまでいて‥‥と思っていたのだけれど、仮眠してたら目覚めると午前二時という罠。やっぱり疲れているらしい。

三十日

朝方まで医局で寝て(超爆)、一回家に帰ってから出勤。
そして今夜は当直。比較的呼ばれる回数は少なかったのだけれど、またもや急性アルコール中毒が来たりして。先日はアルコール中毒で人工呼吸器管理までいっちゃった人がいたらしい。季節がら、注意したいところだと思う。

すき間の時間で「1/2の恋愛劇」読了。わぁSFだぁ、「タイム・リープ」とかみたいだぁなんて喜んでいた。  


Written by Genesis
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