歳時記(diary):一月の項

一日

あけましておめでとうございます。
新年最初の電話は親から。「今から行くよ〜」って。しっかり寝起きだってばれてたし。
そいでまぁ、新年のご挨拶をして、お節料理をかっくらって帰ってくる。

夜からは当直。比較的落ち着いてた、かな。

二日

夜半にひとり患者さんをお看取り。こういうものは正月とか関係ないからねぇ....。なんでももう少しで金婚式だったそうで、そこまで頑張って欲しかったとも思ったり。

カゼひく。鼻水・のどの痛み。こういうときは寝るのが一番。‥‥わかっちゃいるんだけど、午前中一杯仕事して、その後文章書いたりしてから寝に入った。

「エマージング(2)」(外薗昌也/モーニングKC)読了。未知の病原体ってきっとどこかに眠っているはずで、そもそもわたしたちの医学はまだ治せない病気、伝染を防げない病気って奴を大量に持っている。
そういうものへの相手のしかたってあると思うのだけれど、確かにそれを学んだ記憶はない。明日、この漫画の内容が現実になる可能性は、低いけれどもゼロではないと思えた。

三日

まだ本調子ではなかったけれど、午後は拝島大師へ。だるまを一つ買って、初詣。

帰ってくるとやっぱり疲れてて、昼寝して。すっかり気分は寝正月。

四日

日直。年末年始休暇の末日ということで病棟の業務もそれなりにあり、外来も大混雑。昼飯食べる暇もないくらいてんてこ舞いして、ようやっと当直の先生に引き継ぐ。あー疲れた。

帰ってきてから、相方と後輩とでささやかに新年会。
後輩は中国出身で、やっぱり話していると違った見方が出てきて新鮮だったり。
「しばらくいなかったからすっかり浦島太郎だよ」みたいな表現は、日本人同士だと当然わかってもらえるものと思って口にするのだけれど、「それ何?」って言われてしまうと、浦島太郎とはなんぞやという説明から始めねばならず。面白い経験ではあった。

五日

‥‥ぱた。
皆さんご想像の通り。もはやなにも言うまい。
唯一救いは風邪が徐々によくなってきていることか。業務にはとりあえず差し障らない程度になっている。

六日

夜から当直。そういう日の日中は、何となく気忙しかったりする。
実際には仕事山積みというわけじゃなくても、ね。

七日

検査の結果待ちの間とかでちょこちょこwebみてたら葉鍵板最萌選手権など見つけてしまう。
‥‥萌えって何だろうとかひたってしまう一瞬。葉系のゲーム知らんから何ともいえんけど、ONEの由紀子さんが二勝してたりするの見るとね。立ち絵はおろか、台詞もないキャラクターが何で勝てるかね(^^;;。わざわざトーナメントにして盛り上げてるし。
「祭りの後」ログ見るのは嫌いじゃないけど、何せ量多いからなぁ...読み切れんし。せめて入場SSくらい読んでみるか。

八日

お休み日ということでちょっとのんびり。「復活の地」を再読したりして。

‥‥でも、いきなり蒲団の中で足が攣ったのは予想外。なんでだろうなぁ....。久しぶり。

午後、鍼灸初体験。特に痛いこともなく。「左の肩の前の方が凝ってますねぇ」とは担当の先生のお言葉。効果の程はわからないけどね。

九日

早朝、スキーに行く相方を送って、そのままファミリーレストランへ。朝飯食べながら書き物して、いい加減飽きたところで帰ってきてネットをうろついたりして。

夜は焼き肉。ときどき行くお店へ行ったらえらく混んでいて待つ待つ。美味しかったのでいいことにはしたけれど。

十日

‥‥女性の買い物ってどーしてこんなに長いんでしょうね。(死)
アウトレットモールで散財。一応自分の靴なんかも買ったけど。
今履いている靴は就職した年にウィーンで買った物。我ながらよく履くよなぁとは思う。

十一日

ちょびっと患者さんが減って、少しは落ち着いた、かな。
病院全体としてはベッドが一杯で苦労しているらしいが。入院させたら退院を出さないと新しい患者さんが入れなくなるしね。

十二日

午前中外来。──いきなりネフローゼとか来ちゃうし。いま病棟にも二人ばかりいて、最近流行ってるんでしょうか(違)。
流行ってるといえばノロウイルス。検査してないけど多分救急外来にも山ほどこれ関連の患者さん来ていると思われ。二三日きちんと脱水補正できれば普通の人なら問題ない病気だけれど、体力の落ちた高齢者には命取りになりかねないのは確か。
院内では「消毒ではだめなので流水で手洗いをしましょう」と掲示が出ている。気が抜けないね...。

十三日

職場でげんれい工房の「挫折禁止」キーホルダーを見せたら大ウケ。「ナースステーションに貼っておこう」ってねぇ....。
そーゆーものが掲示してある職場っていいのか悪いのか。どっちかね。

十四日

往診に同行する看護婦さんに「先生眼鏡かけてたんですね」言われる。「小学校三年生からずっとかけてますが」って答えたんですが。
かれこれ三年くらいのつきあいになる看護婦さんなんですが、ホントにわたしの顔見てたのかな....。

十五日

透析当番して、そのまま当直へ。
ベッドなくて入院できないという事情もあってか来院は少なめ。少し余裕があるくらいの方がいいな、やっぱり。

十六日

仮眠からふと目を覚ますと三時。──五時間も寝れたじゃん(爆)。そこで起きだしちゃうのが何だか哀しかったりして。
で、起きだして。やおら日記の手入れとかしてみたりする。Web日記の記述がやり玉に上がってるのを見たりするとねえ。

Web日記を書いているときはパソコンの画面に向かってひとりだから、独り言のつもりで好き勝手なことを書ける。けれど読むのは不特定多数。そのギャップを、認識してないと危ないんだろうな。

十七日

朝一で病院来て、六時から負荷試験〜。午後にはちょっと眠気がさしてきたりして。

夜、医局会議に研修委員会に指導医会議と会議続き。
指導、ということでいうと、だんだん体系だったカリキュラムや評価法が作られ始めたところ、という印象だろうか。客観的で多面的な評価をしようと思えば、手間も時間もかかる。そこをどうやっていくかで、教育の質も変わってくると思うと、気が抜けない。

十八日

少しずつ患者さんの退院予定が出てきている。善きことかな。
患者さんにとっては一大イベントだけれど、わたしたちにとっては日常のことであっさり過ぎてしまう、そんな差はあるんだろうな。

夜、来月から研修に来る先生との研修打ち合わせ。心配なことは、と聞いたら「コンピューター入力のオーダーシステムが使えるか心配」と。
新臨床研修システムのもと、いくつもの施設を研修で渡り歩く必要のある研修医もいて、施設ごとの違いに慣れるので精一杯という要素もあるんだろうな。

十九日

外来やって病棟回って。入院も受け持って。
持った人は往診の人。退院から再入院までの間隔が短い。在宅療養の環境が厳しいんだよね。必要なだけ療養支援が導入できるようなら幸せなのだけれど、足りない分を必死で家族が埋めているなんて例は枚挙にいとまがないくらい、ある。

二十日

夜ちょっち都内へ。行き帰りで「涼宮ハルヒの溜息」(谷川流/スニーカー文庫)と「五人姉妹」(菅浩江ハヤカワ文庫JA)。
「〜溜息」は読了。‥‥オチはなんでしょね。なんかしり切れトンボな感じ。なんかの伏線?
「五人姉妹」はわたし好みの切なめなお話がいくつも。一部は「異形コレクション」(これも好きなシリーズだ)からということで、個人的にはいい買い物したなという感じ。まだ途中だけれど、表題作がなかなか印象的。「KAIGOの夜」も、「アイ・アム」を書いた菅さんらしいという気がした。

二十一日

往診から帰ってくると二時ってのは何とかならんかなぁ....(sigh)

夜は病棟の歓送会。寸劇までやっちゃうノリのよさはなかなか。(それに看護師長も医者も出演しているあたりが何とも(爆))

二十二日

朝目を覚ましたあたりで病棟から電話がかかってくる。入院患者さんの採血が取れないとか(死)。たまたま電話口の近くにいた後輩に頼み込んで採血をしてもらう。──今度からこの患者さんの採血は自分でとる気でいた方がいいかな....。

別の場所でも書いたけれど、イレッサにからんで、販売中止は延期となった模様。
この事件については、「イレッサは効くのか効かないのか」という問題と、「副作用情報や使用法についての情報公開や販売承認の過程が適切だったか」という問題とを分けて考えないといけない気がする。効く薬であるならば販売を続ける必要があるし、効かない薬ならば取り消しもやむを得ない。
医者にとっては「効く薬なら使いたい」「少しでも可能性があるならためしてみたい」という気持ちがあるし、治療薬のない病気を持つ患者も同じ思いでいる人がたくさんいる。薬を扱うのは難しいと、つくづく思う。

二十三日

朝起きして、朝飯喰いながら「五人姉妹」を読む。「賎の小田巻」は菅さんお得意の和物SF。情念がこもっていて、印象深い。
その後はぐたぐたしたあと当直。──寒かった。

二十四日

ふと気がつくとiBookの電源ケーブルを自宅に置き忘れてきている罠。しょーがないので(ぉ 書き物とかできずに早めに帰る。

眼鏡が一つ、うまく見えなくなってきている。微妙に度がずれているのか、両眼視するとうまくピントが合わない。フレームのゆがみか、はたまた視力の減退か。一回眼科行かないとな。

二十五日

ここ三日ほどバイクに続けて乗っている。今朝も霜が降りるほどの冷え込みだったけれども、キックでしかエンジンがかけられない我がCB400SSは割とあっさりと始動してくれた。──毎日乗れってことですかそうですか。

「鳥の詩」が最近の脳内ヘビーローテーション。なんでってまぁ、埼玉県最萌選手権決勝FLASHが気に入ったからだったり(超爆)。AIRやってみるかなぁ、Kanonはそんなに魅かれないんだけど。

二十六日

夜は毎年恒例寿司の会。にぎり寿司をしっかり食べる。

ちょっと前になるけれど、抗がん剤「イレッサ」の使用についての見解が厚生労働省から出された。当面使用抑制の必要はないという結論で、すぐには販売に制限は設けないという内容。
間質性肺炎の副作用がかなりあるということで問題になっている薬ではあるが、院内の呼吸器科医師に効くと効果ありと思われるケースがあるのも事実であるらしい。副作用があるから薬を使用中止にしなければならないわけではないし、イレッサの場合には特に治療の難しい病気への効果が期待されているわけで、販売中止にしてしまえば一縷の望みを奪われる患者もいるのは確かだと思う。
一方で冷静な効果の検証のための資料が十分に説明・公開されない現状も、よくないね....。

二十七日

先日直腸出血をしてしまった痴呆の患者さんがおり。止血を内視鏡の先生にやっていただいたのだけれど。治り具合の確認をお願いして本日再CF。
結果を記載した伝票を確認して、吹いた。
「ばかやろー、なにすんだ、あほ。なぐるける という具合でした。」て書きだし。検査自体は無事済んだらしい。出血でぐったりしているときには検査が無事済んだけれども元気が出てきたころ合いでの経過観察の時は大暴れということだったらしい。
‥‥また検査しなきゃいけないようなことになりませんように。

二十八日

往診から帰ってきて、さて病棟はどうかなと思うと、インスリン導入中の患者さんが「やっても血糖が下がらないじゃないか」とご立腹とのこと。‥‥昨日「血糖はゆっくり下げていくからしばらくは高いままですよ」って説明したじゃないかぁ。
ただまぁ、あまりやる気を示してくれていなかった患者さんが「血糖下げるためならインスリンぐらい何回でも打ってやらぁ」なんて啖呵を切ってくれて。これって災い転じて‥‥ってやつかしら。
患者さんがその気になってくれないといけないしね。

二十九日

昨日から当直。なんか低血糖の人がきたり。
明けて朝方、前入院で診た糖尿病の人が救急へきてsick dayだろうってことになったり、やっぱり前入院で診ていた人が低血糖で救急受診して呼ばれたり。なんか糖尿病対応で動き回ってた気がする。
そーいや最近インスリン導入も二人ばかり受け持ってたなぁ....。

三十日

久しぶりにバイクで遠くまで。──寒かったけど。まぁ着込んでいればそれほどでもないので、ときどきは乗ってあげよう。それなりに爽快だから。
しかし、向かい風がきつくて、首を支えるのに力を入れていたせいでえらく肩がこった気がする。

三十一日

相変わらずばたばたとしつつ、症例まとめにも手を出す。──患者さんだけ診ている方が楽な気はする、正直。
学んでレベルをあげないといけないのはわかっているのだけれど、上がっているのかどうかわからないのが悩み所、かな。

 


Written by Genesis
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