歳時記(diary):二月の項

一日

日中に再び不動産めぐり。
品評するのは難しくないんだが、決断するのが難しい。結構高い買い物になるしねぇ。あんまり待ちすぎると今度は先に売れてしまったりするし、買い急ぐのも後悔のタネになりそうだし。

夜から当直。割と普通に。せいぜい深更によく判らない呼吸状態悪化の患者さんがいたくらいだろうか。

二日

明けて外来。
この日は二人くらい頭痛の患者さんが来る。ベースにはオーバーワークがありそうなのが共通点で、精神的に疲労がありそう。
精神的なダメージが軽いうちにきちっと休めると回復も早いのだけれど、仕事もできないくらいに追いつめられてからようやく医療者のところへきたり休みをとったりするケースも多い。企業の方の理解も少しは進んでいるようだけれど、片手にリストラ、片手にメンタルヘルスって感じの対応では無理だと思うんだよな。せめて雇用が安定するだけでも追いつめられ方はだいぶ違うのではないかな、と思う。

三日

午後は救急当番バックアップ。呼ばれないうちは大丈夫かな〜と思いつつ、様子を見に行ってみると──多忙を極めているじゃん。
そういうことってあるよね〜と思いつつ、手伝っていると気がつけば六時。転送行って、帰ると八時近く(爆)。

四日

夜、mnewsのコンパイルinMacOSX。
config.jshを使ってBSDシステムとして設定して、コンパイラを/usr/bin/gccにしたのだけれど、makeがいきなりこける。なんだか、Makefileの8文字以上のスペースはタブかしら?というようなエラーが出てきて。えいやとMakefileのなかのスペースの連続するところをタブで置換して再makeすると、あっさり最後まで終わってしまった。

六日

午前中往診・午後カンファレンス。最近患者さんも多いので、カンファの時間がかかること。

夜から当直。
ちょっと体制が変わって、外来当直は二人体制になる。ひとりは仕事をしながら、ひとりは休める勘定。気持ちとしては「応援を呼べるなら多いほうがいい」って感じだろうか。

七日

明けて朝からやっぱり仕事。
最近患者さんの動きが少なくて、数は多いもののまったりとしている。やることが決まっていてトラブルが少ないと、スムーズにうごくのだな。

夜、EasyPackageを使ってcannaやemacs(carbon)をインストール。これ自体はさっくりとすむ。あとは設定か.....。
なぜかEasyPackageにはmnewsまで入っており。メーラーとしてmnewsを溺愛しているわたしとしてはうれしかったりする。

八日

朝....といっても昼近くに起き出す。たっぷり朝寝坊。

MacOS Xでmnews計画は、とりあえずNNTP経由でニュースを読んで、emacs使って投稿するところまでは来た。しかし、emacsがきちんと日本語入力できない(なぜかSKKを使ってもうまく入力できない。変換時にスペースキー連打するとスペースが挿入されるだけで次の候補が出てこない)ということで、X11を導入した上でcanna+yc.elの環境にしようと思ったのだが....これもうまくいかず。どうもフェンスモードにはいるためのC-¥などcontrolキーがらみの操作がうまくできないよう。emacs本来のC-x C-sで保存、などはきっちりできるから、yc.elの問題なのかなぁ。
emacs起動時には

An error has occurred while loading `/Users/soh/.emacs':
Symbol's value as variable is void: windlw-system

なんてエラーはでてくるし。
emacs --debug-init すると、

 (eq windlw-system (quote X))
  (not (eq windlw-system (quote X)))
  (setq yc-use-fence (not (eq windlw-system ...)))
  eval-buffer(#<buffer  *load*> nil "%7E/.emacs" nil t)
  load-with-code-conversion("/Users/soh/.emacs" "%7E/.emacs" t t)
  load("%7E/.emacs" t t)
  #[nil "^H?205?227^@   ?306=?203^Q^@?307^H?310Q?2025^@ ?311=?203'^@?312?307?31$
  command-line()
  normal-top-level()

って怒られる。X windowまわりの設定が悪いのかなぁ。
不思議なのは、Carbon Emacsはちゃんとcanna+yc.elで日本語入力できること。Terminalやktermでの入力だけできないってのは....コード変換とかそのあたりが悪いのかなぁ。

九日

月曜日。キツい日〜。
今日はそれほどでもなかったか。外来も一時になる前に終わったし。カンファやって患者さんを回って、それほど遅くもならずに帰れたし。
そろそろ春からの新卒医師の受け入れの準備が始まる。気がつくともう四年目、てなことで、新卒オリエンテーションのとりまとめを仕切ることになっている。──仕切ろうとするといろいろ考えちゃうんだよなぁ....。

十日

変調の日。
受け持ちにいま免疫抑制療法をやっている人が二人いる。ひとりは昨日から発熱、ひとりは昨日の採血で病状悪化の疑い。発熱はインフルエンザだったみたいで、あわてて隔離。もひとりの方は症状なし。何だろういったい....。

救急当番の時にはどかどか入院適応が来るわCPAが来て看取り方針とかってふれこみなのによく聞いたらそんな方針は決まってなかったりとか原因のはっきりしない病態の患者さんが来たりとかして大忙し。いちおうバックアップってことになってたりするのだけれど、研修医ひとりで対応するにはヘビーすぎる外来で、ほとんど張り付きになる。
こんなときには「誰の行いがいいのか悪いのか」がよく話題になるのだが.....。少なくともわたしのせいではないと思いたい。

十一日

建武節、といった方が本来的かもしれず。(この日に対する賛否は別として、ね)

家探しで一件よさげな物件を見つけていたのだが、契約するかどうかの土壇場まで行って、もう少し考えることにする。なんつうか、新しい家での生活の姿がまだ見えてないんだよね。
引っ越しのタイムリミットとか、いろいろ交絡因子もあるのだけれど、できるだけゆっくり考えられたら、と思う。

mnews on MacOSX計画は、mnews + im + X11.app + Carbon Emacs + canna + yc.elという組合わせで一応の成功を収めた。
mnewsとimはFreeBSDでの設定を持ってくることで組み合わせて動く。Carbon Emacsの設定はくまりんがみてた!あたりの記述を参照して行っておく。そして.mnews_setupに

edit_command:	/Applications/Emacs.app/Contents/MacOS/Emacs

と書き込んでおくと、メール編集時にCarbon Emacsが起動する。

十二日

ぼーっ。スローテンポな一日。
木曜日って何事もなければわりとスローな日だけど。

十三日

往診・カンファと穏やかに過ぎる。患者さんの変調がないせいかなぁ。
正確にはかならずしも順調によくなっていっているわけではないのだけれど、とりあえず待つしかない人が多く。時間が解決する問題ってのも少なくはない。

十四日

午後から法人内での発表会の司会。
なんでこんな若造が、とか思いつつ、必死でこなす。はぁ、疲れた。
その疲れをいやすべく、帰りがけに「乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル」(牧野修/ソノラマ文庫)「キーリII」(電撃文庫)「涼宮ハルヒの憂鬱」(谷川流/スニーカー文庫)など買ってきた。読む暇は未定。

チョコレットってなんの話ですかね?

十五日

だらだらする日。
遅く起きて布団干して、あとは「OZ」(樹なつみ/白泉社)を一気読みしたり「ブラインド・エスケーブ」(樹川さとみ/富士見ミステリ文庫)を再読したり。
どっちも痛い話だな、考えてみると....。けど割りと痛い話は好きなんだな。
ちなみに、NIDDMでも低血糖は起こりえます。高嶋クン、ディテールにこだわるのね....。

こんな番組の予定があるのか....。

十六日

外来してカンファ終わると三時。ばたばたと患者さんに会いに行っていると五時が来て、救急外来からお呼びがかかる。
最初のケースは問診をとり始めたところから(心の中の)危険アラームが鳴りっぱなしになるようなケース。胸部レントゲンより先に心電図と造影付きCTを撮る。予想通り大動脈瘤解離。
循環器のボスによると最近流行っているとの由。(ぉぃ) ──そういえば内分泌代謝科の方では副腎腫瘍が流行っているとか言っていた記憶が。
都内某地域には珍しい病気が流行っているらしいです、お気をつけを。(まて

十七日

大動脈瘤解離の人を他院に搬送して、帰ってきて一眠り。日付変更間際で起こされて外来を診る。
もうそろそろ朝だな〜ってころに急性アルコール中毒が救急搬送されてくる。──そういえば前回もアル中が来たんだよな〜とか思い出す。前回も搬送患者がいたのだな、そういえば。
搬送とアル中が来るとかってジンクスができたらやだな。

十八日

一日病棟単位。午前中でゆっくり患者さんを診て、午後は少し余裕もあるし職員検診受けてのんびりしようかな、とか思っていたら。受け持ち患者さんのシャント血管形成術が二時間もかかってしまった....。
透析のためのシャントは週三回のペースで穿刺を受けるのでどうしても傷むし、ところどころに狭窄を起こして血流不良を起こしやすい。狭窄部を風船のついた管で広げ、元に戻すのが血管形成術なのだが。「そのうち先生にもやってもらおうかなぁ」なんて冗談とも本音ともつかない口調でおっしゃる先生に、あははと笑ってごまかしてみたりした。

十九日

本日振り回されたのは退院希望の患者さん。医学的には絶対不許可なのだが、勝手に離院してしまったりするような元気な患者さんだから始末におえない。結局「何があっても知らないからね」みたいな話をして退院とする。
もっとも、治療自体を拒否しているわけではないから管理は続ける。精神的ストレスが大きくなりすぎて入院継続に我慢ができないというのは、一概にわがままということもできない理由だと思う。──我慢して欲しいんだけどねぇ。

二十日

午前往診・午後カンファレンス・夜当直。あの、いつ患者さんところ行けばいいですか?(死)

当直入ってぼちぼちと患者さんが来る。大量ではなくてちょっと一息。数が来ちゃうとさばけないというわたしの力量....。
交代して一寝入りしていたところで電話が鳴る。──転送だってさ。(爆) これはますますジンクスかも....。もっともこの患者さんは結局は当院へ差し戻しとなって入院になりましたが。

二十一日

直明けて軽く患者さんを見て回る。終わって医局へ引き揚げると十二時。ちなみにこの日は出勤日ではない。日本の医療現場の実情は時間外労働で支えられているといっても過言ではないのだろうか。

帰ってちょっとゲームして一寝入り。──うっかり爆睡する。
しょーがないので起き出してから夕食を摂り、古書店で「機動警察パトレイバー」(ゆうきまさみ)とか読みふけってみたりしていた。

二十二日

起きて聖マリアンナ医大へ。総合診療学会の講演を聞きに。ちょっと遅れて講義室に入ると、今中先生(天理よろず相談所病院)が熱弁を振るっていた。
春から卒後臨床研修必修化一期生たちが医師になる。これまでとはがらりとかわったシステムの中でどう研修を進めていくのかが問われているし、内容次第では「『勝ち組』病院には研修医が集まってますますレベルアップがすすみ、『負け組』病院には研修医が来ないまま没落していくのではないか」という危機感もある。「年棒制にすることで、お互いに緊張感を持ちながら研修を進めていく」というやり方は教育的かどうかはわからないけれど、淘汰圧を高める作用は持っていると思った。

夜は相方と一緒に「The Lord of the RIng -Return the King-」。超大作の最後を締めるにふさわしい圧倒的な迫力の物語。合戦シーンなんてどれだけエキストラ使ったんだろうとか思ったりする。
「指輪」の壮大な世界を描ききるにはこれくらいの力の入れ方が必要なんだろうなとか思った。

二十三日

外来は落ち着いている。気候が少し暖かくなってきたせいかな?
何人か、「これはインフルエンザだろう!」と思いながらチェックしたら外されるケースが。診断キットは九割方正しいらしいから、やはりこれはインフルエンザではない感染症なのだろうとは思うのだけれど。

二十四日

キレたくなった午後。
うっかり書くと問題ありまくりなケースなんで詳細は書かないけど、邪推すれば自分ところで気に入らなかった患者を他所に紹介して(それもいい加減な紹介で)厄介払いしようとしたように見えた一例。
ま、キレましたけどね、軽く。「そんなやりかたがあるか」と。
その患者さんもわがままいう人みたいでしたから、問題はもちろんあるんですが。でも、だからって礼を失した対応していいってことにはならないはず。

ちなみに、失礼な医者に相対して、「こんなヤツ縁切ってやる!」と思いつつもうまく言い出せないとき。「他の先生のご意見も伺ってみたいので、紹介状をいただいてもいいですか?」みたいな言い方は一つの手かもしれません。
時々こういう人がいるんですね。
「○○先生のところに通ってたんですが、薬があわない感じで....」って外来に来て、
「どんな薬を飲まれていたんですか?」
「えーっと、赤い薬が一つと白い薬を二つ、毎朝飲んでました
あの、色や形では薬剤の名前は判りません。 前にどんな治療をされていたかを知る上でも、イヤな医者と縁を切る前に紹介状だけは貰っておいた方がいいです、はい。

二十五日

水曜日は比較的業務も少ないし、早めに帰ってみようかなとか思ってたわけですよ。
そんな構想は、今夜の当直を頼まれた瞬間に終わってしまいました。(苦笑) 本日予定の先生が体調不良のため。ま、しょうがない。

二十六日

直明け。今日こそは、と少し早めに帰って、晩ご飯作ってみたりする。嫌いじゃないんだけど、時間がないと面倒に思ってしまっている。かなり久しぶりにきっちり食事作って、少しいい気分。

二十七日

夜のケースカンファレンスは、当院における結核患者の動向についてのまとめ。
年に何人かは入院患者から見つかる病気であったりする。初めから疑っていてそれなりの隔離をしているケースはまだましだけれど、全くノーマークの患者から発病したりすると大騒ぎになる。
正直、非典型的なケースはいくらでもあって、胸のレントゲンも見慣れていないと結核を疑える訳ではないらしい。結論としては「つねに結核を鑑別に入れよ」って位になってしまうようで。

二十八日

昼頃から出勤して、夕方から当直。だいぶ慣れても来た。
当直の合間ってあんまり仕事する気になれないものだから、ちょっとWebをみたりする。最近のお気に入りは「諸君、わたしは〜が好きだ」。自分でも何かできないかな〜とか考えてみるけど、けっこう大変そう。

二十九日

当直明けて、そのまま日直の延長戦。日曜にもかかわらず透析の必要な患者さんの指示を出す。
うちひとりは研修一年目の先生の持ち患者で。状態が悪くて透析をするのもなかなか大変。つきっきりで透析を続けた経験が彼女の財産になってくれればいいのだけれど。  


Written by Genesis
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