歳時記:六月の項

一日

深夜になっても三十分から一時間おきに呼ばれ続け、四時過ぎには呼吸停止患者がでて結局看取りとなる。
合計六人の入院患者、一人の死亡患者が出る波乱に満ちた当直となった.....。

帰って一眠りしてからいろいろしようかなと思っていたのだけれど、昼過ぎに帰って寝て、起きたら六時。タイマーもセットしておいたのだけれどあっさりぶっちぎって爆睡してしまった..。

研修先の宿舎に戻ってみると、相方がGetしてきたとおぼしい「秘密-top secret-」(清水玲子/白泉社)を見つけてしまったので即座に読了。って、この時点で既に日付変わってるし。
美しくて、綺麗でなおかつえぐい。美しい絵で凄惨なシーンを描かれると....迫力、ですね。2巻の夢のシーンなんか大迫力で見てるだけで楽しかった。

二日

昼過ぎ一人入院を持つ。症状特異的なものがないけれど高熱を発している若い女性。まっさきに思いついたのは各種膠原病系統の病気で、入院時の採血でその辺をチェックする。
やっかいな病気なんで、診断されないに越したことはないのだけれど。

三日

昨日の人は、入院して点滴してたらあっさり熱が下がってしまった。──で、退院決定。症状があって検査データにあまり異常が出てこないのは何か隠れている可能性があるけれど、症状が消えてしまうと大した病気は疑えない....。なんだったんだろうという謎だけ残ってしまった形。

保険請求とケースカンファレンス準備とプレゼンテーション準備が重なって三重苦。久しぶりに目が回りそうな忙しさ。
とかいいつつも、家に帰ってきてから「電脳炎4」(唐沢なをき/小学館)とか「こみっくパーティー3」(犬威赤彦/メディアワークス)とか読んでいたりするし.....。

四日

虫歯予防デーだったっけ?>今日

新規入院がいないのでのんびり患者さんを診てまわって。急速に変化している人がいないのである程度落ち着いてみられる。

保険請求の書類は今朝で片づけ、夜はケースカンファレンス準備にあてる。「先生の患者さんはよくわからない人が多いねぇ」なんて言われるような状態で、謎の残る人をカンファでディスカッションしてもらうつもり。
──とかやってたら、今朝方退院したはずの熱の人が再び発熱で戻ってきてしまったとの由。ぐわっ。

五日

入院一人。腹痛と発熱。高齢者でもあることだし、腹痛の部位などからは生殖器感染症かなぁ。

夜のカンファレンスでは原因のはっきりしない腹痛下痢の患者さんのディスカッション。──調べることが増えた。

六日

午前中往診して、午後は保険会社の調査員と面談、そのあと運転免許を更新して、夜は初期研修修了式。

修了式でのプレゼンは自分の言いたいことも言えたしまぁよかったかなと。相方と親も来てもらったけれど、もちょっと患者会関係の人にもきて欲しかったな。
プレゼンのあとは今研修に出てきている病院のボス(一説によるとグルとも一部で呼ばれているとか....)が来て講演。そのボスが当院の一年目研修医集団(女性陣)を見て曰く「なんかミニモニっつう感じ」──。
体が小さくて笑顔がかわいらしいのに騙されてはいけませんよって感じですが。(爆死)

七日

休み明けはいつも緊張する。休んでいる間に問題が生じてやしないかと思って。とりあえず大きな変わりはなかったようでほっとする。

営業用の文書だと思うのですけど....。こーゆーセンスで編集してる医学書ってばいったい....と思わなくもない。

「ロミオとロミオは永遠に」(恩田陸/早川書房)読了。20世紀的サブカルチャーをベースにおいた、破滅未来の学園もの。
わーっと最後まで読み流してしまったのだけれど、なかなかネタが濃い。生徒もかなりだけれども先生方もけっこうイッちゃっている気が....。

八日

朝まずはお掃除とかたづけ。そのあとはコミケット64の拡大準備集会ということで有明方面へ。相方と一緒にVenusfortをふらついてウィンドウショッピングと昼食をとって、その後に。

九日

現在の研修先での残り期間も徐々に少なくなってきている。いまのうちにわーっと受け持ちしておいたほうがあとあと暇をぶっこかなくていいかなぁとおもったり。
この日持った人は大腸カメラ後の腹痛。でもあっさり良くなっているとのことで即日退院。これまでの最短受け持ち記録の更新をしてしまった。(三日、というのはいたのだが。二日、というのは当直でみてそのまま退院or転院or死亡された方だけで、かたちだけの主治医扱い)

十日

相方からの希望で、車椅子で入れる温泉, ということでいくつか検索する。お宿でポン!とかほっとホテルのなかのバリアフリーの宿特集とか。ちばの温泉リストの中にも車椅子対応の温泉がいくつかある様。
‥‥とかやってたら、本庄ネットの身障者用温泉紹介を発見。情報量が多い。(関東にシフトしてるけど)

介護用パワードスーツなんてものを見つけて、わーこんなものが実用化されたらどんなにか福音だろうかと思ったりする。白衣の天使達の持病は腰痛だったりするし。
ふと連想したのは「アイ・アム」(菅浩江/祥伝社文庫)。機械のかかわる介護、というだけなのですが。

十一日

一人受け持ち。肝硬変・肝性脳症。
まだ若い人なのだけれども、けっこう進んだ肝硬変。余命、という意味ではけっこう厳しいものがあるかもしれないと思いつつ対応していく。──どーしたもんかなぁ。

十二日

哀愁日記の記述が一昨日からなぜかiCabで読めなくなっていて、今日ふとIEを立ち上げたら読めてやんの。なんでかねぇ。韓国語が混じっているっぽいのでそのせいか。

地元へ戻るところで「キノの旅」読了。パターン化してきてる気もするのだけど、けっこうウケてるようで。個人的にはアリソンとかのような長編希望。
家に帰ってくると、留守電に大学の先輩の訃報が。白血病だったとのこと。うーん.....。

十三日

午前中往診。
ひとり褥創のひどい患者さんがいて、入院加療をしたほうがいいだろうということで息子とヘルパーさんに話をして帰ってくる。帰ってくると留守番の看護婦さんが「息子から電話で、入院したくないって」
ほっとけないということで電話し直すと、言うことには「手続きが面倒」「ヘルパーさんが手続きをしてくれない」──親の介護の責任者は家族しかいないぞ?
ほっとくと命にかかわるかもしれないですよ?と伝えて再考を促すけれど....。本人に罪は無いが家族が問題ということは時にある。

午後ちょっと病院へ戻ってから、関連の病院も含めての二年目終了レセプション。忙しいのか参加数がちょっと寂しくて、しかも取り仕切り役の先生が受け持ち患者大変のため参加できず、とのこと。しょーがないので少し「印象に残った患者さん」ということでプレゼンだけして、喰って飲む。
同期もこもごも印象的な患者さんの話をしたけれど、順調に治った患者さんよりも難渋した患者さん、退院できた患者さんより亡くなられた患者さんの方がやはり印象が強い。

十四日

朝から会議の続き。ひさびさの同期の顔など見て、いろいろ語る。

そのあと大塚から秋葉原まで自転車を飛ばし、少し電気街を見る。ゲームセンターに入ってみたら、懐かしのバーチャロン(オラタンでもフォースでもない無印)を見つけたのでバイパーで入ってみる。最後ジグラットの大砲で焼かれはしたものの楽しめた。

病院へ戻って当直。外来はぼちぼち来て....という感じ。前は一人で当直で最近二人になったのだけれど、二人なら十分かなという感じではある。
研修修了式も終わったということで、ひとまずここまでで「研修医的ナラザル日々」は打ち切りにしようかな、と思う。
タイトル変えて出直し。(でもタイトルはまだ思いついていない.....。)  


Written by Genesis
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