歳時記:長月の項

一日

当直明。‥‥寝る暇も無くその後買い物など。

夕方から家族でメシなど食べる。‥‥予定だったのだが、両親はトレッキングに行った帰りに渋滞に巻き込まれて遅刻する。聞けば(電車で行ったのだけれど)行楽帰りの車でバスも身動きが取れなくなっていた由。
お料理はとてもおいしく食べられて、楽しいひとときだった。しかし、親と子+その配偶者でそろってメシを食えるというのはある意味とても仲の良い光景なのかもしれない。

三日

朝から救急外来、午後は病棟で、夜は外来当直研修。
外来当直研修はまずは泊まらずに前半部分のみの研修。本直のDrが後ろに控えて、患者さんを診ていく。幸い待合室にあふれるほど患者さんが来ることもなく、一人一人診ていけたのは比較的幸せだったと思う。
救急外来で診療の様子をチェックされなくなっているから、改めてこの時期にチェックされると、いろいろアドバイスが貰えて、そういう意味でも有益な夜だった。

四日

今朝の勉強会のお題目はNew England Jornal of Medicine誌のM.G.H.のケースカンファレンスの英文抄読。症例プレゼンテーションをわたしが担当、ということで、眠い目をこすって出かけていく。
結構長い病歴をまとめあげたので、昨日までが結構疲れた。逆にこの日は発表するだけなので気楽ではあった。

五日

そろそろ循環器研修も終わり。患者さんも一人を除いて退院のめどが立っているということで、かなりの時間をサマリ書きなどに充てていた。

そんでもって本日当直。
夜各病棟を回診して回り、要注意患者の申し送りを受けていく。終わってナースステーションを出たところでどこかで見たような人に会う。──同級生でした。ふと思い出すといま受けた要注意患者の姓と同じ。聞けば縁者だ、ということで、奇妙な縁を実感する。
出身地近くで医者をやっていると、いろいろ関係者が多くて、時に困り時に助けられる。

六日

循環器研修最終日。受持の患者さんにご挨拶をしていく。

午後から一年半の総括合宿。行きの電車内で「イリヤの空 UFOの夏 その3」(秋山瑞人/電撃文庫)読了。
とにかく「無銭飲食列伝」が気に入った。須藤晶穂と伊里野加奈の壮絶な大食いバトル。"鉄人定食"のすさまじさはわたしならきっと鉄人ラーメンを食べるのが精いっぱいだろうと思わせるものだし、それを食い切るまでの血走るような意地の張り合いがライブ感たっぷりに伝わってくる。
その翌日のエピソードのあったかさも気持ちよい。その4が楽しみな作品。

なお、諸般の事情によりしばらく更新が途絶えます。あしからずご了承ください。

二十四日

諸般の事情の間に何をしていたかは後日公開する予定。

んで、久しぶりに出勤。本日より消化器科研修。
しかし、初日は入院患者なし。半日、書類書きなどして過ごす。
午後からは初の一般外来。隣に相談役の先生はいるものの、一人で診療をすることとなる。カゼなどならいいのだけれど、「おなかが張って苦しい」「昨日血圧が高くて気分が悪かった(今日は何ともない)」などは‥‥マニュアルのない世界で、なかなか面倒。

二十五日

ひとりめの患者さんを持つ。初めは比較的分かりやすい患者さんから。
でも、この患者さん「しゃっくり」が続いている。実はこれには特効薬がなくて、民間療法とどっちが効くのかという気すらする。息を止めたりなんだりするのもけして効果がない訳ではない。薬を使ってみることにしたものの、効いてくれるかどうか。

三十日

オニのよーに忙しい日々ゆえに更新もままならず。記憶の飛びが生じてくる。

この日は当直明け。
一昨日入ったアルコール依存の患者さんが離脱症状を呈してきている。妄想も意識障害も生じてきていて、典型的な症状。暴れ出して制止が効かない。
お酒を飲ませればそれはまぁ元に戻るのだろうけれども、アルコール性肝障害を呈してきている患者にそれは出来ず。鎮静剤を使わざるを得なかった。
アルコールに対して全体に日本人は弱くて、すぐ酔う人が多い。わたしもそうだが。それでも好きで飲んでいれば徐々に体をむしばんでいく。毎日飲まずにいられなくなったら、相当に危ない状態だと思う。
他にこの日受持になった人は重症膵炎。これもアルコール性のものがあって命にもかかわる。消化器科にいると、お酒を飲みたくなくなるのだがどうだろうか?  


Written by Genesis
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