デーテーペーな1日

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8月17日(Sun)
「夢のキッチン」

 広々とした対面式のカウンターと深めのシンクは、つなぎ目のないオールステンレス製で汚れもさっと洗い流すだけ。業務用の大型に匹敵する容量の冷蔵庫はあらかじめキッチンの裡に組込まれていて、表面のパネルもナチュラルオークの無垢材を使った同じ仕上りで、一見して冷蔵庫とは見えないようになっている。ガスオーブンは当然七面鳥が丸ごと入る大型のサイズで奥行も充分。一番にこだわったディスポーザーもGE製のアメリカンサイズをわざわざ注文したもので、少々音がうるさいのが難点だが何よりもその能力の高さが日本製とは較べものにならない。
 壁と床は全てイタリア製のタイルで、冷え冷えとした印象をやわらげるように薄いクリーム色の同系色でコーディネイトされ、ワンポイントにはこれもイタリア製の手書きタイルがはめ込まれていた。
 これでもう完璧と言える仕上りに我ながらうっとりと真新しいキッチンを見渡してみる・・・まさに此処が私にとっての夢のキッチンだった。そう、ようやく全ての準備は終ったようだ。子供達は2階でぐっすり眠りこけている。隣の居間でテレビの野球中継を眺めている主人を呼んだ。

 「今ちょうど良い処なんだから、気安く呼ぶんじゃない。」

 いつものように不機嫌な顔で扉を開けた主人が、テレビの歓声に思わず振返った瞬間、背中に隠し持ったハンマーを渾身の力を込めてふり降ろした・・・少し薄くなってきたその男の後頭部に。

 後はフランス料理の講習会で習ったとおり・・・血抜きをして、鴨の解体の要領で関節と関節の間に包丁を入れていけば良いだけ。その為の真新しい冷蔵庫とディスポーザーが私を手助けしてくれるはず。
 しばらくは子供達が大好きな肉料理が続くのだろうと、私は上機嫌でミンチマシンを探すことにする。

 キッチンは奥さんの夢のかなう処というのが、コマーシャルなどでくり返し語られてきた真実だとするなら、まさにこんな夢は有ってしかるべきでしょう。
 熱心に住宅機器メーカーのカタログ眺めている奥さんは日本全国に多いはずです。


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