曲目解説


J.S.バッハ:カンタータ 目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV140

 カンタータ第140番BWV140は、詩人で宗教家で音楽家でもあったフィリップ・ニコライ(1556〜1608)の有名なコラール「目覚めよと呼ぶ声あり」をもとに作られたコラール・カンタータである。讃美歌第225番「起きよ、夜は明けぬ」として親しまれているコラールの全3節が、第1、4、7曲に用いられ、その他の曲には新たにアリアとレチタティーヴォの歌詞が書き加えられた。
 この曲は三位一体節後の第27日曜日のために書かれたもので、バッハがライプツィヒ在任中、1731年11月25日の上演のために作曲され、1742年に再演されたであろうと推察される。したがって三位一体節後第27日曜日に朗読されるべきマタイ伝第25章にある、十人の処女の話に題材がとられ、キリストは花婿に、そして信仰篤きキリスト者の魂は花嫁にたとえられている。
 このため、このカンタータは結婚のときに歌われることもあり、喜ばしく明るく、華やかで壮大な曲である。

川上裕美子


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