曲目解説


J.S.バッハ:モテット 主に向かって新しき歌をうたえ BWV225

 モテットは多声による宗教的な合唱曲に対する名称であり、とりわけ『バッハのモテット』は「二重合唱、コラール編曲、厳格な声楽フーガ等の様式によりドイツ語の歌詞をもった、宗教的多声合唱曲」と定義することができるであろう。現在、『バッハのモテット』として確証されているのはBWV225〜229の5曲である。
 今宵演奏するモテット1番「主に新しき歌を」は、1889年にベルリンへの旅の途中でライプツィヒを訪れたモーツァルトが聴き、感激したという逸話で有名な二重合唱モテットで、新年あるいは感謝祭のために書かれたと考えられる。
 全曲は大きく分けて3部分からなり、第1部(詩篇第149篇)は声楽による一種の前奏曲とフーガで、第2部(詩篇第103篇)はホモフォニックなコラール合唱(第2合唱)とポリフォニックな第1合唱の対話が美しい。第3部(詩篇第150篇)は、華麗なフーガで、最後に「ハレルヤ」と讃美しつつ曲を終える。

川上裕美子


演奏会の記録に戻る