
ユダヤ教の暦では、一日は日没から始まります。キリスト教でも、例えばクリスマスの一日は12月24日の日没から始まるとされ、12月24日の夜のことをクリスマス・イブと言います。この曲は、シャルパンティエが、音楽監督を務めていたパリのイエズス会サン・ルイ教会の、1694年クリスマス・イブのミサ曲として作曲したものです。
当時フランスでは、印刷技術の発達ともに多くのノエル(フランス語のクリスマスソング)の歌詞が出版されました。人々はその歌詞を、よく知っているメロディーにのせて歌っていました。シャルパンティエは、そのようなよく知られているノエルのメロディーにラテン語をうまく当てはめ、ミサ曲を作ったのです。
例えば“Kyrie eleison”「主よ あわれみたまえ」は、その元の歌である"Joseph est bien marié"「ヨセフ(=マリアの夫)は良い結婚をした」と同じ7音節のため、このよく知られていた元の歌のメロディーで歌うことができるわけです。
終曲“Agnus Dei”の元歌は”À minuit fut fait un réveil”「真夜中に羊飼いたちは目を覚ました」です。YouTubeで聞くことができるこの元の歌は、軽快な演奏もあれば、子守歌のような演奏もあります。さて今日の演奏はどちらでしょうか?
戦後80年の今年、”dona nobis pacem”「私たちに平和をお与えください」という祈りをもって、今日のプログラムを閉じます。
東京オラトリエンコール団内指揮者 秋吉 亮