合唱団たちばな

第18回 演奏会


2011年11月13日に行なった「第18回演奏会」のプログラムを紹介します。
当日、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

ごあいさつ
 本日はお忙しい中、合唱団たちばな 第18回演奏会にご来場いただき誠にありがとうございます。
 合唱団たちばな も早いもので創立から33年が経過し、演奏会も今回で18回目となりました。ここまで活動を続けてこられましたのも日ごろから応援してくださっている皆様のご支援の賜物と深く感謝しております。
 今回も4ステージ構成でお届けいたします。
 最初に演奏いたします「遠藤雅夫小品集」は、昨年9月の唱久演奏会〜遠藤雅夫合唱作品選〜の合同演奏で演奏したもので、なじみやすい曲風でありながら、日本語の持つ抑揚と意味を大切にした小曲集です。第2ステージでは、上田真樹作曲の「夢の意味」をお送りします。上田真樹の若々しいメロディと、林望の「夢の意味」に込めた人生の達観とも言える奥深い詩に、若い人たちとは違った味が出せることを願っています。第3ステージは、ヴォーン・ウィリアムスのミサ曲です。ラテン語の宗教曲というどちらかといえば合唱団たちばな が苦手としている分野で、しかも二重コーラス+ソリストのアカペラ曲となると、無謀と言える挑戦かも知れません。第4ステージ、今回は前田憲男編曲のやや古めの映画音楽を集めてみました。合唱団たちばな の変わらぬ元気をお届けします。
 それでは、どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみください。


♪♪♪ プログラム ♪♪♪
1st Stage …… 遠藤雅夫 小品集
 
 T 窓のとなりに
 U ワクワク
 V 雨よ降れ
 W お月さましか話相手がいなかったら
 X 静かな雨の夜に
 
 
作 曲
作 詩




指 揮
ピアノ
遠藤 雅夫
谷川俊太郎
谷川俊太郎
谷川俊太郎
寺山 修司
谷川俊太郎
岡本 俊久
米良 賀代
2nd Stage …… 混声合唱とピアノのための組曲 夢の意味
 T 朝あけに
 U 川沿いの道にて
 V 歩いて
 W 夢の意味
 X 夢の名残
作 曲
作 詩

指 揮
ピアノ
上田 真樹
林   望

岡本 俊久
米良 賀代
3rd Stage …… Mass in g minor
 T Kyrie
 U Gloria
 V Credo
 W Sanctus
 X Agnus Dei
作 曲

指 揮
Ralph Vaughan Williams

岡本 俊久
4th Stage …… 魅(困)惑の映画音楽
 T Anchors Aweigh
 U My Wayn
 V Love is a Many-Splendored Thing
 W Serenade from "Student Prince"
 X Edelweiss
編 曲

指 揮
ピアノ
前田 憲男

岡本 俊久
米良 賀代



曲目紹介
遠藤雅夫 小品集
 このかわいらしい作品集(遠藤先生のブログでの表現)は、1976〜77年に歌曲として作曲された13曲の中の5曲(2010年9月に混声合唱用に編曲)です。
 谷川俊太郎の「うつむく青年」のあとがきに、「あなたに読まれることによってはじめて、これらの作品は詩として生き始めることができるのである。」とあります。であれば、遠藤先生がこれらの詩に作曲という手法で新たに息を吹き込んだことで、さらに曲としても生き始めたと言えるのではないでしょうか。そして、谷川俊太郎、寺山修司の詩が、旋律にのり、我々の心のひだの奥までにも届くものとなりました。
 生あるものに生まれた我々の感情の中には、はかり知れない揺らぎ、震え、移ろいがあります。遠藤先生ならではの旋律の細部の変化、彩り豊かな伴奏譜により、それらが素敵に表現され、何故か自然に引き込まれていく作品に仕上がっています。「静かな雨の夜に」は、遠藤先生自ら「大好きです。」という曲。皆様も「静かな雨の夜に」あれこれと思いをめぐらせたことが一度はあるでしょう。この曲を聴き終わったら、自分の身の置き場を見つけたようで、ほっこりと温かく優しい気持ちになれるのです。
(亀田比布美)


混声合唱とピアノのための組曲 「夢の意味」    The meaning of Dream
 上田真樹さんは東京都出身の作曲家。最近活躍され始めた方です。この合唱曲は林望氏のとのコラボにより生まれたすばらしい作品です。
 私達は、幼い頃から、たくさんの夢を見て、またさまざまな夢を心に抱きながら成長していきます。布団の中でうつらうつら見た夢。将来の希望にときめき抱く夢。またときにはその夢に破れ、「夢か現(うつつ)か」とこの「現世(うつしよ)」を一瞬の夢のようなものかもしれないと思ったり・・・
 柔らかい旋律が膨らんだり縮んだりと、夢が呼吸しているような自然な旋律は夢を見ているようであり、「夢のような、現(うつつ)のような」という詩のテーマを全篇にわたって歌い上げます。
 「ああ、これでよかったさ」と言えるような演奏をお見せできることを夢見ながら・・・
 「せめてもゆめよ、さめるなゆめ・・・」
(鎮目裕子)


Mass in g minor
 作曲者レイフ・ヴォーン・ウィリアムズは、イギリスで生まれ、聖職者であった父親の他界後、母親の実家で育ちます。と言っても母親の伯父は進化論で知られるダーウィン、また曾祖父は陶器で有名なウェッジウッドという恵まれた環境でした。その後教会オルガニストや留学を経て、王立音楽学校の作曲科教授になりますが、イギリスの民謡や古い教会音楽に造詣が深く、1921年に作曲されたこの曲にも16世紀の旋法が取り入れられています。また教会で演奏されるよう、ミサ通常文を歌詞とし、四重唱と二重合唱という小編成で演奏されます。
 1曲目のキリエに印象的な旋律が現れますが、同じ旋律が終曲のアニュス・デイにも現れます。「主よ、あわれみたまえ」という願いが、静かに、ゆったりと漂っているようで、創造主による終わりのない時のようなものを感じます。
 初演は1922年、バーミンガムのコンサートホールで行われましたが、その後作曲者の望みが適えられ、ウエストミンスター寺院で演奏されました。1958年に亡くなった彼は、そのウエストミンスター寺院に葬られています。そして今も、永遠のときの中にいることでしょう。
(秋吉 亮)


魅(困)惑の映画音楽
 最終ステージは、前のステージから雰囲気をガラリと変え、前田憲男編曲による映画音楽をお届けします。
魅惑の映画音楽となるか、前のステージで体力を使い果たし困惑のステージとなるか? どうぞお楽しみください。
 はじめは「錨を上げて」。1906年に作曲された有名な行進曲(軍歌)ですが、これをテーマに同名の映画が1945年ジーン・ケリー、フランク・シナトラの共演で制作されました。2曲目は「マイ・ウェイ」。1967年のフランス語の歌にポール・アンカが作詞し、フランク・シナトラが歌って1969年に世界的ヒットになりました。この曲をテーマに同名の映画が1975年に制作されています。3曲目は1955年のジェニファー・ジョーンズ主演の名作映画「慕情」のテーマをお送りします。おしまいの2曲はミュージカルが映画化されたものをお届けします。4曲目の「セレナード」は、1924年にブロードウェイで初演されたミュージカル「学生王子」の中のナンバーです。このミュージカルは、1928年と1954年の2回映画化されています。そして本日の演奏会の最後を飾るのは「エーデルワイス」。1959年にブロードウェイで初演されたミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の中のナンバーです。ジュリー・アンドリュース主演で1965年に公開された映画はあまりにも有名ですね。
(仲田雄作)


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