合唱団たちばな

第8回 演奏会


1986年11月20日に行なった「第8回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 皆様、本日は合唱団たちばなの第八回演奏会においでくださり、団員一同、心より御礼申し上げます。果たして何が飛び出すか、最後までごゆっくり御覧くださいませ。


プログラム
混声合唱とピアノのための「五つのアイロニー」
 T けふといふ日
 U わらひといふもの
 V 知らずにわかれた人びと
 W たまゆらびと
 X 昨日いらっしって下さい
作 詞
作 曲
指 揮
ピアノ
室生 犀星
平野 淳一
秋吉  亮
米良 賀代
混声合唱「風  紋」
 T 風と砂丘
 U あなたは風
 V おやすみ砂丘
 W 風 紋
作 詞
作 曲
指 揮
岩谷 時子
石井  歓
岡本 俊久
混声合唱曲「ジプシ−の歌」
 T ヘイ!ジプシー!
 U その名も高きリマの流れよ
 V 授かった恋人
 W 唯一度の接吻を
 X 踊 り
 Y 独身でいるのは罪悪
 Z 聖き誓い
 [ 別 れ
 \ 我が夕星
 ] 月さえかげる
 XI 夕 雲
作 曲
指 揮
ピアノ
J.Brahms
岡本 俊久
米良 賀代
ミュージカル in 1986
 T I'm Flying. (ピーターパンより)
 U What I did for Love. (コーラス・ラインより)
 V One (コーラス・ラインより)
 W Somewhere (ウェストサイド物語より)
 X Sunrise,Sunset 〜 Tradition (屋根の上のバイオリン弾きより)
 Y You'll never walk alone (回転木馬より)
編 曲
指 揮
ピアノ
ドラムス
金川 明裕
岡本 俊久
米良 賀代
星  雅子



曲目紹介
五つのアイロニー
 一般向けの合唱曲の新作は、70年代前半から十余年の低迷期を経て、再び隆盛に向かいつつあります。その原動力となっている若い作曲家たちの一人に、この平野淳一氏が挙げられます。
 その氏にとって、おそらくライフワークになるであろう、室生犀星の詩への作曲。その一つとして、この曲は85年3月に作曲(初演)されました。
 「五つのアイロニー」という表題からもわかる様に、犀星の詩の中心にある世界 − 人生を斜に構えたふりをしながら、その実深い所で人生の機微を見据えている − を時に甘く、時にほろ苦く五線紙上に散りばめてあります。
 技術的にはむしろ平易といえるが故にこの曲は、歌う人個々の感性が、どこまで犀星の世界を捕えることができたかにより、演奏の優劣が大きく左右されることになるでしょう。そんな当然のことを喚起させるのも、この曲集が平野氏なりの一つの「アイロニー」なのかもしれません。

風 紋
 風は、砂丘をわたり、風紋をのこす。風紋は風の気まぐれにより変化する砂丘の表情のひとつである。この自然の気まぐれが造りだす美を、岩谷氏は、愛のつくりだす言葉におきかえた。風は男性、砂丘は女性。海をわたり、風は砂丘に愛を教え、砂丘にしか読めない言葉をのこし去っていく。あらゆる形の愛により、人は言葉の表現法を覚えていくものである。
        風がかいた  見はてぬ夢を
        風がかいた  夜明けの文字を
        人は呼ぶ   風紋
    こうしている今も、暗い海をわたり愛をきざみに、風はやってくる。
    遠くから、闇の中を……今。

ジプシーの歌
 この「ジプシーの歌」は、ピアノ伴奏をもつソプラノ、アルト、テノール、バスの4つの声部のためのもので、11曲からできている。
 ブラームスは、ハンガリー・ジプシーの要素をとり入れた音楽を好んで書いたが、この「ジプシーの歌」は「ハンガリー舞曲」と並んで、その方面の代表作である。
 また、「ジプシーの歌」は、ブラームスが書いたもののなかで、最も音響的な色彩の豊かなものに属する。各11曲は、すべて四分の二拍子でジプシーの感傷や情熱を示す点で一致し、動機的・調的にも関係づけられているが、それぞれ異なる技巧を駆使して1つとして同じ色彩感覚を示していない。形式、旋律、リズム、そして和声は、単純で親しみやすく、全曲をブラームスの数多い声楽曲のなかで、最もひろく愛好されている。



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