状は猿の如くで白い首、赤い足、名は朱厭。これが現れると大戦が起きる。
[『山海経』第二、西山経]
秦の昭王(在位B.C.307-251)の時代の蜀の太守。当時、長江の水神(蛟龍)は
毎年若い娘を二名づつ犠牲として要求し、それに従わない時には水害を起こ
して人々を苦しめていた。李冰はこの水神を退治して人々を水害から救い出
し、没後に灌口二郎神として祀られた。
[南宋、曾敏行、『独醒雑志』]
灌口二郎神とは李冰ではなく、その息子の李二郎
であるという異説も有る。
東勝神州・傲来国の近くの大海にある山。この山の頂上の霊石から石猴(後の孫
悟空)が生まれた。
[『西遊記』第1回]
三蔵法師の一番弟子。
東勝神州・花果山の霊石から生まれ、須菩提祖師に師事して仙術を体得した。
一時は天界の役人(弼馬温、斉天大聖)となるが、叛乱を起こして釈迦如来に五行山に
封じ込まれた。
[『西遊記』第1〜8回]
五百年後に三蔵法師に救い出され、その弟子となって西天取経の旅に同行すること
になる。経典を唐にもたらした後は、天竺に戻って闘戦勝仏(三十五懺悔仏の一)と
なった。
[『西遊記』第14回〜]
「陳巡倹梅嶺失妻記」によると、宋代に陳辛という者
が広東の巡倹(警備司令官)に任命されて任地に赴く途中、梅嶺で申陽公(別名・
斉天大聖)という妖猿に妻を拐われ、張紫陽という神仙の力で妻を救い出すこと
ができた。
固有名詞ではなく、名山勝境の奥深くにあって、永生を得た神仙たちが安楽に 棲んでいると信じられた理想郷を表す。
道教では七十二箇所の福地を説くが、『西遊記』では花果山も福地の一つとさ
れている。
[『西遊記』第1回]
花果山の滝の裏側に有る洞窟。石猴(後の孫悟空)が発見し、その功績で花果山の
猿たちの王となった。
[『西遊記』第1回]
弼馬温の役職に不満を持って天界を飛び出し、水簾
洞に帰った孫悟空が自ら名乗った称号で、考案したのは配下の独角鬼王である。
討伐に来た{口那}咤太子に勝った後、太白金星・李
長庚のとりなしにより、玉帝より公式にこの称号を認められた。
[『西遊記』第4回]
巫支祈などとも呼ばれる水神。姿は猿猴に似て、体は黒く頭は白く眼は金色。
力は九頭の象よりも強く、身のこなしは非常に素早い。無支奇は風雷激浪を起
こして禹王の治水事業を妨害した。禹王は無支奇の首に太い鎖をつけ、鼻に金
の鈴をつけ、淮陰の亀山の下に縛りつけることに成功した。
[唐、李肇、「唐国史補」]
講釈師の語る「唐代の李公佐という人が…」は、唐代の小説家・李公佐(代表作
は「南柯太守伝」)の「古岳涜経」という伝奇小説のスト
ーリーである。ここに出てくる「岳涜経」は『山海経』の題名をもじったものと
推定されるが、現存する『山海経』には該当する個
所は無い。
孫悟空が須菩提祖師の弟子になる前の、花果山の王だった頃の名前。
[『西遊記』第1回]
名称は緊箍。釈迦如来が西天取経の僧を探しに旅立つ観音菩薩に授けた降魔の
ための三つの輪(他の二つは金箍と禁箍)の一つである。
[『西遊記』第8回]
後に三蔵法師がこの輪を孫悟空の頭に被せ、悟空が逆らった時には呪文で頭を
緊めるようにした。
[『西遊記』第14回〜]
釈迦如来によると、通臂猿猴とは四猴混世の一種で、日月を拿り、千山を縮め、
禍福吉凶を弁じ、乾坤をもてあそぶ力を有する妖猴である。
[『西遊記』第58回]
『平妖伝』に登場する袁公は雲夢山白雲洞に棲む通臂猴で、九天玄女娘娘に師
事して仙術と武芸を授けられた。後に昇天して玉帝より白雲洞君の号を受け、
玉帝の文書庫の管理人に任ぜられるが、方術の秘伝書「如意宝冊」を盗み出し
て白雲洞に戻り、左右の壁に百八種類の方術を彫り
写した。
[『平妖伝』第1〜2回、第37〜40回]
道教の神で、清源妙道真君という神号を有する。
玉帝の妹と楊氏(李冰という説も有る)の間に生まれた子
(つまり、玉帝の外甥)で、梅山の六兄弟(康大尉、張大尉、姚大尉、李大尉、郭
申将軍、直健将軍)及び千二百の神兵を従える勇猛な神将である。観音菩薩の提
言・玉帝の聖旨によって斉天大聖を退治するために出撃し、太上老君の助力を
得て孫悟空の捕縛に成功した。
[『西遊記』第6回]
水害の元凶である悪龍を退治したのは父の李冰ではなく、この李二郎であると
いう伝説も有る。それによると、二郎神に追われて逃げ疲れた龍が一人の老婆(正
体は観音菩薩)から麺をもらって食べたところ、麺が腹の中で鉄の鎖に変じて龍
の心臓を縛りあげた。『西遊妖猿伝』において二郎真君の神像が無支奇の心臓
を縛妖鎖で縛りあげる話は、この伝説が基になってことは間違いないだろう。
西天取経に旅立った三蔵法師が遭遇した最初の難所。三蔵一行は寅将軍・熊山
君・特処士の三妖魔に捕らえられ、当初の従者(普通の人間だった)は妖魔に喰わ
れてしまった。
[『西遊記』第13回]
双叉嶺で三蔵法師を救い、五行山に封じ込められている孫悟空のもとへ案内し
た猟師。あだ名を鎮山太保という。
[『西遊記』第13〜14回]
西暦600年前後に河南省に生まれた。仏教研究の為にインドへの旅行を志した が太宗の許可が出なかったので、629年に無断出国 してインドのナーランダー寺院に学んだ。645年に帰国して、後半生は『大般 若経』や『瑜伽師地論』をはじめとする多くの訳 経及び『大唐西域記』等の著述に従事した。以上は史実。
前世では釈迦の弟子の金蝉長老だったが、教えを軽んじたために唐土の陳光蕋
の子として転生させられた。陳光蕋は江州の長官として赴任する途中で殺され、
子供は生まれるとすぐに川に流された。子供は金山寺の法明和尚に拾われ、成
長後に出家して玄奘の法名を授けられた。
[『西遊記』第9回]
太宗の命により水陸大会の会主として説法しているところに観音菩薩が出現し、
天竺に大乗経典が有ることを伝えた。玄奘は太宗より「三蔵法師」の号を授か
り、西天取経に旅立つことになったのである。経典を唐にもたらした後は、天
竺に戻って栴檀功徳仏(三十五懺悔仏の一)となった。
[『西遊記』第12回〜]
牛魔王と羅刹女の子で、枯松澗火雲洞に棲む魔王。一見あどけない幼児のよう
な姿のため、別名を聖嬰大王と称する。火焔山で三百年間修行し、火を自在に
操る「三昧真火の術」を駆使する。最後は観音菩薩に破れて仏教に帰依し、善
財童子(『華厳経』入法界品の主人公)となった。
[『西遊記』第40〜43回]
唐の第2代皇帝(太宗)。玄武門の変で兄(皇太子・李建成)と弟(斉王・李元吉)を 殺し、父の李淵(高祖)を退位させて帝位に就いた。以上は史実。
魏徴に処刑されたケイ河の竜王(
袁守誠の項を参照)が太宗の違約を冥府の法廷に告訴したため、太宗の魂は
閻魔王のもとに連行された。魏徴の手紙を受け取った判官の崔{王王}は、「生死
簿」を改竄して太宗の寿命を延ばし、太宗が現世に戻れるよう工作した。太宗
が地獄を巡って現世に帰る途中、兵乱で太宗に殺された亡者の霊が餓鬼と化し
て苦しむ姿を目撃し、水陸大会(施餓鬼の一種)を行うことを約束した。太宗が生
き返った後に実行された水陸大会の会主に任命されたのが玄
奘で、これが西天取経の旅のきっかけとなった。
[『西遊記』第10〜12回]
『西遊記』中には直接対応するキャラクターはいないが、三蔵法師の竜馬がこ
れに相当するのではないかと考えられる。
# アニメ『悟空の大冒険』の竜子という先例有り。
竜馬の正体は西海竜王の三太子で、火事を起こして竜宮の宝珠を焼いてしまっ
たために死刑になりかかったところを観音菩薩に救い出された。三蔵法師の馬
として西天取経の旅に従うことになる。経典を唐にもたらした後は、天竺に戻
って雷音寺の八部天竜に任ぜられた。
[『西遊記』第8、第15回〜]
本来は雄竜であるが、宝象国で三蔵法師が危機に陥った時には、官女の姿に化
けて黄袍と戦った。
[『西遊記』第30回]
東海竜王の竜宮の蔵に伝わる神珍鉄の棒。かつて禹王が洪水を治めた時に用い
たもので重量は一万三千五百斤も有り、孫悟空だけが武器として自在に使うこ
とができる。
[『西遊記』第3回]
平頂山蓮花洞に棲む兄弟の魔王で、精細鬼・怜悧虫・巴山虎・倚海竜などの小
妖魔を配下としている。正体は太上老君に仕えて煉丹の作業に従事していた金
炉童子・銀炉童子で、老君のところから盗み出した紫金紅葫蘆・羊脂玉浄瓶・
幌金縄・芭蕉扇・七星剣の五種類の武器を使う。紫金紅葫蘆や羊脂玉浄瓶は、
名前を呼んで相手が返事をすると、その相手を吸い込んで溶かしてしまう強力
な魔力を有している。
[『西遊記』第32〜35回]
釈迦如来の手から飛び出すことが出来るかどうかの賭に敗れた孫悟空を、五百
年間閉じ込めた山。「オーム・マニ・マドメー・フーン」という六字真言を記
した金札を貼って孫悟空の力を封印している。
[『西遊記』第7回]
玉界から方術の奥義書「如意宝冊」を盗み出した袁公が棲む洞窟。東西の壁に
は、「如意宝冊」に説かれる三十六天{网/正}・
七十二地サツ変法の合計百八種類の方術が刻ま
れている。七十二地サツ変法を蛋子和尚が写し取り、これを解読した聖姑姑や王
則・胡媚児らが妖術を用いて叛乱を引き起こした。
[『平妖伝』第1〜2回、第8〜11回]
天{网/正}星とは本来は北斗七星を表す。地サツ星は通俗暦書に記された凶星らしい。
シナの古典通俗小説には以下のようにしばしば登場する。
万寿山五荘観に住む仙人で、与世同君と号する。五荘観の庭には不老長寿の効
能を有する世界でも唯一の人参果樹が生えている。鎮元大仙自身の法力もすぐ
れていて、人参果を盗み食いした悟空たちが逃げ出した時は、「袖裏乾坤」の
法で簡単に捕らることができた。
[『西遊記』第24〜26回]
「斉天大聖」と「九天玄女」の名前から創作されたものだろう。
九天玄女娘娘は道教の女神で、黄帝が蚩尤相手に苦戦していた時に、呪符や方
術を授けて黄帝を助けたとされている(九天玄女娘娘ではなく西王母とする伝承
も有る)。また、『水滸伝』において、宋江に天書を授けたのも九天玄女娘娘で
ある。『平妖伝』には袁公の仙術・武芸の師として登場する。
[『平妖伝』第1回]
不詳。名前は須菩提に似ているが…
なお、『平妖伝』では老雌狐の聖姑姑が蛋子和尚が写し取った白雲洞の文字(雷門雲篆)を解読している。
[『平妖伝』第12〜13回]
不詳。
「怪の十九」において竺達羅が語る天竺の猿神がそうだとすると、インドの叙
事詩『ラーマーヤナ』でラーマ王子を助けて活躍する猿神ハヌマーンのことか?
長安城の西門で開業している百発百中の易者。長安のケイ河の竜王は彼の予言
を出し抜こうとして玉帝の勅諚に背き(雨の降る時間と量を故意に変更した)、そ
の罪で魏徴に処刑されてしまった。
[『西遊記』第10回]
紅孩児の部下。この四名に霧裏雲と掀{火共}興の二名
(『西遊妖猿伝』では既に死亡したことになっている)を加えたのが六健将である。
[『西遊記』第41〜42回]
牛魔王の弟、つまり紅孩児の叔父で、西梁女国の解陽
山破児洞に住む仙人。破児洞中に湧く落胎泉の水を飲めば胎児を堕ろすことが
できる。子母河の水を誤って飲んで妊娠した三蔵法師と猪八戒を助けるため、悟
空は水をもらいに行くが、吝嗇な如意真仙に断られてしまった。
[『西遊記』第53回]
李淵(高祖)・李世民(太宗)の二代の皇帝に仕えた実在 の武将。没後に仏教の護法神・毘沙門天と習合して、武神・托塔李天王として 信仰された。
『西遊記』では、金咤(前部護法)・木叉(恵岸行者)・
{口那}咤の三人の息子及び英貞という幼娘がいる。
托塔李天王は玉帝の命により四大天王・{口那}咤太子・二十八宿・九曜星官等を
はじめとする十万の神兵から成る大軍団を率い、降魔大元帥として孫悟空討伐
に向かった。孫悟空の部下である独角鬼王と七十二洞の魔王を捕らえることが
出来たが、孫悟空の捕縛には失敗し、観音菩薩の助言で二郎真君の援軍を求めることになった。
[『西遊記』第5回]
『封神演義』では、息子の名は金咤(文殊広法天尊の弟子)・木咤(普賢真人の弟
子)・{口那}咤となっている。李靖は仙道を志して度厄真人に師事したが、仙骨
が足りず下山して俗世に戻り、陳{土唐}関の総兵まで出世した。自殺した{口那}
咤の復活後に燃燈道人の薦めに従って棄官し、後に三人の息子とともに姜子牙
(太公望)率いる周軍に加わった。
[『封神演義』第11〜14回]
大乗仏教唯識派において心の最奥部に想定された領域で、「蔵識」と意訳され
る。阿梨耶識の中に潜在している「種子」が原因となって外界が生起し、その
外界に対する認識から新しい「種子」が生じて阿梨耶識の中に蓄えられる、と
いうのが唯識派の基本教理の一つである。
三蔵法師に破門された悟空が水簾洞に帰るとそこにもう一人の悟空がいた。三 蔵法師にも観音菩薩にも玉帝や地獄の十王にもどちらが本物の悟空か区別がつ かない。地蔵菩薩に仕える神獣・諦聴と釈迦如来だけが、偽悟空の正体が六耳{犬 彌}猴であることを見抜くことが出来た。
釈迦如来によると、六耳{犬彌}猴とは四猴混世の一種で、よく音を聞き、理を察
し前後を知り、万物ことごとくを明らかにする妖猴である。
[『西遊記』第57〜58回]
陥空山無底洞に棲み、三蔵法師を誘惑しようとした魔女で、正体は釈迦如来の
香花と宝燭を盗んだ金鼻白毛鼠精である。托塔天王父子に捕らえられて一命を
救われた彼女は、托塔李天王を尊父、{口那}咤太子を尊兄と拝し、日夜香を焚いて父子の位牌
を祀っていた。
[『西遊記』第80〜83回]
仏教・道教における地獄の閻魔王の宮殿
道教における武神で、五営神軍の総帥・中壇元帥として信仰されている。一般 の道教信者には太子爺の愛称で親しまれている。
『三教源流捜神大全』によると、{口那}咤の前世は玉帝麾下の大羅仙で、身長六
丈、首に金輪を帯び、三頭・九眼・八臂を有し、口から青雲を吐き、足に磐石
を踏み、一度叫べば風雨を呼び、天地を震動させるという。
托塔李天王の三男として生まれ、幼時に竜王と争ったことが原因で父親と
対立して自殺した。その霊魂は釈迦如来により蓮の根や葉から出来た新しい肉
体を得て復活し、九十六洞の妖魔を退治した。
[『西遊記』第83回]
孫悟空が弼馬温の役職に不満を持って天界を飛び
出した時、{口那}咤太子は玉帝の命を受けて孫悟空討伐に向かった。三面六臂に
変身して斬妖剣・{石欠}妖刀・縛妖索・降妖杵・綉毬・火輪の六種の武器を駆使
して戦ったが、孫悟空には及ばなかった。
[『西遊記』第4回]
『封神演義』では、{口那}咤の正体は乾元山金光洞の太乙真人が千年かけて作り
出した霊珠である。李靖の三男として生まれ、幼時に竜王と争ったことが原因
で父親と対立して自殺した。その霊魂は太乙真人の処に帰って蓮の根や葉から
出来た新しい肉体を得て復活し、姜子牙(太公望)率いる周軍に加わった。
[『封神演義』第11〜14回]
道教や小説における颯爽とした{口那}咤太子と比べると、『西遊妖猿伝』におけ
る{口那}咤太子の姿は実に情けない。
西海竜王の妹とケイ河の竜王(袁守誠の項を参照)の
子で、正体はスッポンである。父竜王が魏徴に処刑され
た後は伯父である西海竜王に引き取られていたが、そこを抜け出して黒水河を
乗っ取った。
[『西遊記』第43回]
西海竜王の長子。三蔵法師を捕らえて喰おうとした従弟の
{單/黽}潔を討伐するために派遣された。
[『西遊記』第43回]
アサンガ(無着)の主著で、唯識派の教理を体系化し、それに基づいて大乗仏教の
教理をまとめたものである。パラマールタ(真諦)による旧訳と玄奘による新訳が有る。旧訳『摂大乗論』に基づいて摂論宗(摂
論派)が成立した。
大乗仏教唯識派に属する最も初期の文献で、漢訳の伝承ではマイトレーヤ(弥勒)
の著書、チベット訳の伝承ではアサンガ(無着)の著書とされる。パラマールタ(真
諦)によって漢訳されたが、散佚して現存していない。後に、パラマールタが訳
した部分を含む完全なテキストが玄奘によってもたらさ
れ、『瑜伽師地論』の題名で訳された(こちらは現存する)。
『漢武故事』によると、東郡から漢の武帝に送られた侏儒で、武帝の寵臣・東 方朔が西王母の仙桃を三度盗んだことを暴露した。
『西遊記』では、孫悟空討伐のために天界から派遣された{口那}咤太子麾下の神将の一人で、あっさりと返り討ちに
あった、
[『西遊記』第4回]
最初は群雄の一人・李密に仕え、唐軍に降って皇太子・李建世の東宮官になり、 玄武門の変で李建世が殺された後は李世民(太宗)に 顧問官として仕えた。「人生、意気に感ず」という句は、名君・太宗に巡り会 った時の魏徴の述懐とされる。以上は史実。
玉帝の勅諚に背いたケイ河の竜王(袁守誠の項を参
照)は魏徴に処刑されることになり、太宗の夢に現れて命乞いをした。太宗は処
刑の日時に魏徴と碁を打っていたが、魏徴は夢の中で魂を飛ばして竜王を処刑
してしまった。竜王が太宗の違約を冥府の法廷に告訴した時、冥府の判官・崔{王
王}(生前は魏徴の親友)に手紙を書いて太宗の命を救った。
[『西遊記』第10〜11回]
孫悟空が最初に天界で与えられた役職(御馬監の正堂管事)。避馬瘟(馬の疫病避
け)の語呂合わせになっている。悟空は当初は真面目に勤務していたが、この役
職が等級外の下等なものであることを知って激怒し、天界を飛び出した。
[『西遊記』第4回]
碗子山波月荘に棲む魔王。宝象国の第三王女・百花
羞を拐って妻としている。人間に化けて宝象国に乗り込み、三蔵法師を虎
の姿に変えてしまった。その正体は二十八宿中の奎宿である。
[『西遊記』第28〜31回]
黄風大王配下の妖魔の一人であまり強くない(八戒ごときにあっさり殺されてし
まう)。その名の通り、正体は虎である。
[『西遊記』第20回]
乱石山碧波潭の万聖竜王の娘婿。なかなか強力な妖魔で、悟空は二郎真君の助力を得てようやく倒すことが出来た。その
正体は九頭虫(または九頭鳥)である。
[『西遊記』第62〜63回]
車遅国で妖仙・虎力大仙と三蔵法師が法力比べ(雨乞い)を行った時、虎力大仙が
五雷法で召喚した神々の一人で風を司る。
[『西遊記』第45回]
ただし、『西遊妖猿伝』では名前を借りただけで、内容的にはほとんど無関係
である。
盤糸洞には七人の女妖魔(蜘蛛精)が棲み、それぞれ捕らえた虫たち(ミツバチ、
アブ、クロバチ、ハンミョウ、ブヨ、ウシバエ、トンボ)の命を助けて、自分
の養子としている。
[『西遊記』第72回]
この七仙姑は、上記の七人の女妖魔と養子達とをそれぞれ組み合わせたものだ
ろう。
『西遊記』には直接対応する人物は登場しないが、盤糸洞の女妖魔の「盤糸洞
の主」という要素を独立させたものと考えられる。
[『西遊記』第72〜73回]
麒麟山の魔王・賽太歳の使う三つの鈴で、それぞれ火・風・砂を吹き出す。
[『西遊記』第70〜71回]
別名は多目怪。黄花観に棲む妖道士(『西遊記』では百眼魔王という名)で、眼か
ら怪光線を発する。『西遊記』では盤糸洞の女妖魔(蜘蛛精)の兄弟子である。そ
の正体は大百足なので、毘藍婆菩薩(正体
は牝鶏らしい)を大の苦手としている。
[『西遊記』第73回]
烏斯蔵国(チベット)の国境近くの富豪。その第三女・翠蘭に猪悟能という男を婿に取った。猪悟能は仕事は真面目にこな
すが、底抜けの大飯喰らいで、正体はどうも妖怪らしい。
[『西遊記』第18〜19回]
三蔵法師の二番弟子。
前世は天河の水軍の大将である天蓬元帥(北極四聖と称される道教の降魔神の
一)だったが、酒に酔って嫦娥(月の仙女)に戯れ、その罪で下界に追放された。
その際に魂が牝豚の胎内に入ったので、豚頭人身の姿で生まれた。福陵山雲桟
洞に棲んで人を喰っていたところを観音菩薩に出会い、猪悟能という法名を授
かった。その後、烏斯蔵国の高太公の第三女・翠蘭の
婿になっていた時に、三蔵法師の弟子となって猪八戒の別名を授かり、西天取
経の旅に同行することになる。経典を唐にもたらした後は、天竺に戻って浄壇
使者に任ぜられた。
[『西遊記』第8回、第18回〜]
紫雲山千花洞に棲む女菩薩。二十八宿中の昴日星官(昴宿)の母親で、その正体
は牝鶏らしい。
[『西遊記』第73回]
なお、『法華経』や『孔雀王経』では、毘藍婆は羅刹女の一人とされている。
正確な題名は『阿毘達摩倶舎論』。ヴァスバンドゥ(世親)の著書で、説一切有部
(いわゆる「小乗仏教」の代表的な部派の一つ)の教義を批判的にまとめたもので
ある。パラマールタ(真諦)による旧訳と玄奘による新訳
が有り、多くの宗派で仏教の基本テキストとして学ばれた。
車遅国において悟空・八戒・悟浄が三清(元始天尊・霊宝道君・太上老君)に化け
て、虎力仙人・鹿力仙人・羊力仙人の三妖仙を騙すエピソードが元ネタだろう。
[『西遊記』第44〜45回]
鎮元大仙の下で修行している童子の名。清風は
1320歳、明月は1200歳になったばかりの若輩者である。
[『西遊記』第24〜25回]
托塔李天王の次男で俗名は木叉といい、出家して観音 菩薩の弟子兼護衛者となった。
観音菩薩が蟠桃大会に招かれた時には、自ら鉄杖を武器にして孫悟空と戦った。
また、観音菩薩が西天取経の僧を探す為に唐土に旅した時にも同行した。孫悟
空は良く観音菩薩に助けを求めるので、恵岸行者の出番も意外と多い。
[『西遊記』第6回、第8回、第12回等]
浮屠山の樹上に鳥の巣のような庵を作って修行している僧。三蔵法師に『般若
心経』を伝授した。
[『西遊記』第19回]
三蔵法師を焼き殺して袈裟(釈迦如来が西天取経の僧のために観音菩薩に託した
五つの宝の一つ)を奪おうと謀ったが、悟空が奸計に気付いて広目天王(四天王
の一人)から借り出した火避け籠で火を防いだため、三蔵法師の身は無事だった。
逆に観音院が全焼した事と、火事場泥棒の黒大王に袈裟を盗まれたショックで
院主は狂死した。
[『西遊記』第16回]
黄風嶺黄風洞に棲む魔王。三昧神風という妖術を使うが、霊吉菩薩の飛竜杖で
術を封じられて敗れた。正体は霊山の麓に棲んでいた黄毛のイタチで、灯明の
油を盗んで逃亡し妖怪となった。
[『西遊記』第20〜21回]